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26話

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「ん…」

 なんだか懐かしい夢を見たような気がする。
 家族で旅行に行って、その移動中に車でくだらない話をして、沢山笑って。
 あれ?日本に帰ってきたんだっけ、いや、そんなはずない。

 やっと意識がはっきりしてきた。
 目を開けると天井が見える。
 今まで天井を眺めたことなんてなかったなぁ…なんて思いながら今の自分の状況を思い出す。
 気を失った時のことから考えると、おそらくここは魔王城だろうと推測できた。
 
 ……それにしても体が動かない。

 さっきから考えながら動こうと頑張っていたのだが、体が鉛のように重く指先さえ動かせなかった。
 魔法を使おうとしても上手く発動しない。

 結局誰かが来るまでぼーっとしていることにした。


 しばらくして「ガチャッ」と扉の開く音がした。
 近づいてくるのは2人の足音。
 ゆっくりと目を開けると、視界にさっきの魔王とお付きの人が入ってきた。

「起きてるのか?」

「さっき起きました。あの、体が全く動かないんですけどなにかしましたか?」

「多分国が違うせいだろうな。人間の国と空中にある魔力が違うから馴染むまで時間がかかるんだよ」

 と言いながら魔王は向かい側の椅子に座る。

「そうですか……それで色々と説明してくれるんですよね」

「ん?何を?」

 ………コイツはバカか。
 そんな疑問を抱いてしまった私は悪くないと思う。
 普通許可なく連れてきたなら説明するよね。

 魔王は冷酷な最強キャラだと思っていたのにこんなバカキャラだったなんて、と裏切られた気分でいると何となく体が軽くなったような気がした。
 今なら魔法を使えるかも、と思いとりあえず変身する。
 結果は成功。
 体を起こすことができた。

「もう魔力が馴染んだのか?」

「少しは…それで、なんで私はここに連れてこられたのでしょうか」

 さっさと帰りたい。
 というわけでストレートに質問してみた。

「面白そうだったからだが、問題あったか?」

 それだけかよ。
 ついため息が漏れてしまう。

「はぁ…もういいです。それで、早く帰りたいんですけど要件はなんですか?」

「まあまあそんな焦らなくても、まだ魔法を使えないんだろ?少しくらい付き合えよ」

 確かに今自力では帰れない。
 それなら少しくらい相手をしてもいいかと思った。

「早速だが、お前は何者だ?」

「バカな国に召喚された可哀想な異世界人ですよ」

「そうか、異世界人はみんな強いのか?」

「どうなんでしょうね。まあ私は強いと思いますけど」

 他にも、質問されたことに正直に答えていく。
 しばらく話して聞かれるばかりではつまらないから自分も質問してみた。

「そういえば闇状態の動物と魔族ってなんか関係あるんですか?」
 



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