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11話

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「動くな!」

 振り返ると騎士団のような格好の男達が剣を向けていた。

「なんですか?」

「とりあえずご同行願おうか。」

 あいを警戒しているのだろうか。
 どう考えても賊を倒した人なのに警戒されるとは。
 まぁ騎士達からすれば山賊に襲われていると情報が入った村で、不審な行動をしている人がいたら取り押さえるものだろう。

 ジリジリと近づいてくる騎士たち。
 するとあいの目の前にルーナが飛び込んできた。

「お姉さんを傷つけちゃダメ!
このお姉さんは悪い人じゃないの!
村を助けてくれたいい人だよ!」

 両腕をめいっぱい広げ、あいを庇うように前に立つ。
 騎士たちも子供の言うことを信用して剣を下げてくれた。

「疑ってすまなかった。
この賊たちを倒してくれたんだな。
礼を言う。」

 そして団長らしき人が頭を下げる。

「いえ、誤解が解けたようで良かったです。
ルーナもありがとうね」

 するとその人が部下達に指示を出した。

「直ちに怪我人の治療、山賊の確保、生存者の確認をおこなえ!」

「「「はっ!」」」

 騎士たちはいっせいに動き始める。
 
「私はルージュ王国第3騎士団団長、オスカー・ルージュだ。
君たちは?」

「私は…」

 名前を言おうとするが、本名を名乗ってもいいのかと躊躇いが生じる。
 この世界では珍しい名前のため、間違いなく詮索されるだろう。
 そうなると厄介だが、騎士団ならと話すことにした。

「私は加藤あいです。」

「カトウアイ?珍しい名前だな。」

「その辺はあまり詮索しないでいただけるとありがたいです。」

「まぁ今は置いておこう。
それで、どんな状況だったんだ?」

「村に来たら山賊に襲われていて、そいつらが私たちに気づいて集まってきたので凍らせたんです。
村の人達は後ろにいる私の仲間が回復してくれました。
そうでしょ?」

 そう言いながら後ろを振り返る。
 りょうまは急に話を振られて驚くが、つまづきながらも答えた。

「あ、あぁ、怪我人が沢山いたから回復した。
もうみんな治ったと思う。」

「そうか、協力感謝する。
だが、詳しい話を聞きたいため、1度国まで同行していただけないだろうか。
もちろん、途中の宿代や食料は我々が負担しよう。」

 あい達は顔を合わせて確認する。

(どうする?ついて行く?)

(本当について行って大丈夫かな)

(この後予定もなかったし、とりあえずついて行ってもいいんじゃない?)

(そうだね、もしやばそうなら逃げればいいし)

「わかりました。
一緒に行きます。」

 そしてあいたちはカルテット王国の隣、ルージュ王国に行くことになった。

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