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10話

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(みんな、村の人達を助けに行って。
賊は全員ここに集合しているから、今のうちに!)

 あやか達に聞こえてきたあいの声。
 
(今使っているのは念話、会話を聞かれたくないからみんなこれで話して。
話したいことを思い浮かべるだけで通じるから。)

(助けてって、もう手遅れじゃ…)

(そんなことない!
りょうまのスキル回復だったよね?
死んでない人ならどんな傷でも治せるんじゃないの?)

(確かに)

(だから早く行って!
本当に手遅れになる前に!
私が引き付けておくから)

 賊たちが氷を溶かそうと奮闘していた時、あい達の間ではこんな会話が行われていた。



「無駄だよ」

そして今この状況に至る。

「どう足掻いたって無駄。
その氷は溶けない。」

(今!)

 そしてあい以外の9人が動き出した。
 賊たちの横を通るが、急に動き出したため捕まえることができず逃がしてしまう。
 足も凍っているため、追いかけることもできなかった。

「行かせないよ。
あなた達はここで止まってて」

 逃がしてしまった賊たちは動けないため、とりあえず目の前にいるあいの相手をする。

「お前、何もんだ?
急に姿変えて魔法使って。」

「あんた達に答える必要ないし。
それに、その汚い口で話しかけないでくれる?
私今めっちゃ怒ってるから」

 そして再びあいから冷気が放たれた。

「こんな小さな村でも一生懸命生活しているんだよ。
それなのに誰も苦しまないって?
頭おかしいんじゃないの?
なんの罪もない人たちを沢山傷つけて、それを当たり前のように。」

 あいは自分から冷気が放たれていることに気づいていない。
 賊たちは徐々に凍っていった。
 足から上に向かってゆっくりと。
 魔法が使えるものは何とか溶かそうと頑張っていたが、その努力もむなしく全身が凍っていく。

「他人を傷つけて得る生活ほど、最悪なものは無いよ」

 そう言って前を見ると、固まって動かない賊たちがいた。

「あれ?凍ってる。
知らないうちに魔法使ってた?」

 1人で回想していると、後ろから声がかかった。

「動くな!」




────────
 一方その頃、あやか達は村の人達の救助をしていた。

「回復ってどうすればいいんだろ。」

「みんなが治るところを想像して発動すればいいんじゃない?」

「とりあえずやってみる。」

 そしてりょうまはこの世界に来て初めて魔法を発動した。

(傷が全部元通りになるように思って、回復)

 すると怪我人達の周りにキラキラと光るものが見え、倒れて瀕死状態だった人も次々と立ち上がった。



 


 しばらくして子供たちも無事に親と再会でき、村人達の傷も癒し終わったためあいの所へ戻ると、そこには大勢の人に囲まれ剣を向けられているあいがいた。


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