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9話

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 村につくと、とても悲惨な状況だった。
 建物は荒らされて火をつけられて燃えている。 
 そして地面には戦って殺されてしまった村の男の人達の亡き後。
 女性達は髪を引っ張られどこかに連れていかれるところだった。
 見るところまだ戦っている村の人もいた。

 あい達は動かなかった、と言うよりも動けなかった。
 人が殺されているところを見るのはもちろん初めてで、血だって大量に流れているところは見たことがない。
 足が竦んでしまい、動こうにも動けなかった。

「お父さん!お母さん!」

 そんな中1番早く動き始めたのは子供たち。
 親を探しに行こうと走り出してしまった。
 
「待って、今行ったら危険だよ!」

 しかし、もう遅かった。
 子供たちが叫んだことにより、山賊が村の入口に立っているあい達に気づく。

「なんだぁ、まだいたのかよ。
おっと、不思議な格好をしている奴らがいるぜぇ、高く売れそうだなぁ。
おい、そっちはいいからまずはこいつらを捕まえるぞ!」

 賊の長だろうか。
 あい達の格好を見た途端不気味な笑みを見せ、周りにいた部下らしき人達を集める。

「みんな後ろに下がって!」

 あいは咄嗟に叫んだ。
 走り出してしまっていた子供たちも戻ってくる。

「見た感じどっかのいいとこの嬢ちゃん坊ちゃんだろうが、とっとと捕まっちまいな。
もう逃げ道はねぇよ」

 そう言われて自分達が賊に囲まれてしまっていることに気づく。
 いつの間にか背後にもいて、下がれない状態だった。

(どうしようどうしよう、殺すなんてできないし、もう囲まれた。)

「どうして、こんなことをしているの?」

 あいは何か方法を考えるため、とりあえず話しかける。

「そりゃあ生活のためだな。
俺たちはこうすることでしか生きられねぇんだよ。
それにこんなちっさい村ごとき、なくなっても誰も苦しまねぇだろ?」

 プツン、そう、何かが切れる音がした。

「こんなちっさい村ごとき?」

 あいは急に下を向き、ボソボソと呟く。

「あァ?なんだって?」

(変身)

「なんだ?急に姿が変わって…」

「みんな凍ってしまえ。」

 その言葉と共に、あいから冷気が放たれた。
 1番近くにいたあやか達や、子供たち3人には何も起こらず、賊と、燃えている建物にだけ変化が訪れる。

「うわっ、足が凍って動かねぇ」

「なんだこれ?!」

(なんだ?急に話さなくなったと思ったら当たり一体が凍っちまった。
一体なんなんだ?)

「おい!炎の魔法を使えるやつはさっさと溶かせ!」

「頭!どんなに魔法を発動しても溶けません!」

 そう喚き散らして焦っている賊たちに聞こえる声。


「無駄だよ」
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