7 / 36
7話
しおりを挟む
「ありがとう」
倒れているくまに近づくとゆっくり体を起こしながらそう言われる。
「大丈夫?」
「うん、お姉さんが助けてくれたから。
でも不思議だね、僕人間と話せるようになったんだ」
「多分それは私だけだと思うよ。
現に、私の友達はポカンとしてるから」
そう言いながら後ろを見ると、口を開けたまま動かない親友が立っていた。
「あい、大丈夫? だと思うけど、動物と話してんの?」
「そうだよ」
しばらくの間沈黙が流れる。
「えええええええぇぇぇぇぇぇ」
いやまて、長すぎだよえが。
「そんなに驚くこと?」
「そりゃそうだよ!
はぁーーー、なに、あいはこの世界に来てちょー強くなったってわけ?」
長いため息の後、とりあえず納得したのだろうか。
大雑把にまとめて、頭を抑えながらあいに聞く。
「まっ、そゆことー。
ね?この人あなたと話せないでしょ」
「本当だ。
お姉さんはすごいんだねぇ」
「それで、どうして暴れていたの?」
それからゆっくりと話し始めた。
まず、くまが大怪我をして、死ぬ間際だったこと。
そしてそこに知らない人が現れて、助けてあげると言われたこと。
まだ死にたくないと思ったくまは助けてと言ってしまい、それから急に力が湧いてきて体が勝手に動いたこと。
自分の意思では止めることができず、何か暗いところに落ちていくような感覚に陥り、最後の頼みであいに話しかけたこと。
「その大怪我したところは大丈夫なの?」
「うん、力を貰った時に治ったよ」
そしてくまは頭を下げる。
「ごめんなさい。
僕がよく考えずに行動しちゃったから、森も人間も動物も、たくさん傷つけた」
しゅん、という効果音が聞こえてくるような感じで、とてもわかりやすく落ち込んでいた。
「誰だって、死にたくないと思うことはあるよ。
あなたが悪いんじゃない。
1番悪いのは弱っているあなたに近づいたやつ。
それに、森は私が直したから大丈夫!!」
あいの言葉を聞いて安心したくまは涙を流しながら笑う。
「本当にありがとう」
そしてあいは立ち上がった。
「それじゃあ私は行くね」
「お姉さん、名前なんて言うの?」
「あい、加藤あいだよ。
元気でね、くまさん」
──────────
くまと別れたあいは、あやか達と合流する。
そこには最初に襲われていた3人の子供たちも一緒にいた。
「お姉さん大丈夫?」
「おー、大丈夫だよ。
心配かけちゃったかな?」
1番上の男の子はルーク、2番目の男の子はルート、1番小さな女の子はルーナというらしい。
少し会話するだけで懐いてくれた。
「とりあえず、この子達を家まで送ろう」
倒れているくまに近づくとゆっくり体を起こしながらそう言われる。
「大丈夫?」
「うん、お姉さんが助けてくれたから。
でも不思議だね、僕人間と話せるようになったんだ」
「多分それは私だけだと思うよ。
現に、私の友達はポカンとしてるから」
そう言いながら後ろを見ると、口を開けたまま動かない親友が立っていた。
「あい、大丈夫? だと思うけど、動物と話してんの?」
「そうだよ」
しばらくの間沈黙が流れる。
「えええええええぇぇぇぇぇぇ」
いやまて、長すぎだよえが。
「そんなに驚くこと?」
「そりゃそうだよ!
はぁーーー、なに、あいはこの世界に来てちょー強くなったってわけ?」
長いため息の後、とりあえず納得したのだろうか。
大雑把にまとめて、頭を抑えながらあいに聞く。
「まっ、そゆことー。
ね?この人あなたと話せないでしょ」
「本当だ。
お姉さんはすごいんだねぇ」
「それで、どうして暴れていたの?」
それからゆっくりと話し始めた。
まず、くまが大怪我をして、死ぬ間際だったこと。
そしてそこに知らない人が現れて、助けてあげると言われたこと。
まだ死にたくないと思ったくまは助けてと言ってしまい、それから急に力が湧いてきて体が勝手に動いたこと。
自分の意思では止めることができず、何か暗いところに落ちていくような感覚に陥り、最後の頼みであいに話しかけたこと。
「その大怪我したところは大丈夫なの?」
「うん、力を貰った時に治ったよ」
そしてくまは頭を下げる。
「ごめんなさい。
僕がよく考えずに行動しちゃったから、森も人間も動物も、たくさん傷つけた」
しゅん、という効果音が聞こえてくるような感じで、とてもわかりやすく落ち込んでいた。
「誰だって、死にたくないと思うことはあるよ。
あなたが悪いんじゃない。
1番悪いのは弱っているあなたに近づいたやつ。
それに、森は私が直したから大丈夫!!」
あいの言葉を聞いて安心したくまは涙を流しながら笑う。
「本当にありがとう」
そしてあいは立ち上がった。
「それじゃあ私は行くね」
「お姉さん、名前なんて言うの?」
「あい、加藤あいだよ。
元気でね、くまさん」
──────────
くまと別れたあいは、あやか達と合流する。
そこには最初に襲われていた3人の子供たちも一緒にいた。
「お姉さん大丈夫?」
「おー、大丈夫だよ。
心配かけちゃったかな?」
1番上の男の子はルーク、2番目の男の子はルート、1番小さな女の子はルーナというらしい。
少し会話するだけで懐いてくれた。
「とりあえず、この子達を家まで送ろう」
91
お気に入りに追加
271
あなたにおすすめの小説
7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません
ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」
目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。
この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。
だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。
だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。
そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。
人気ランキング2位に載っていました。
hotランキング1位に載っていました。
ありがとうございます。
石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!
udonlevel2
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。
皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。
この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。
召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。
確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!?
「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」
気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。
★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします!
★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
へぇ。美的感覚が違うんですか。なら私は結婚しなくてすみそうですね。え?求婚ですか?ご遠慮します
如月花恋
ファンタジー
この世界では女性はつり目などのキツい印象の方がいいらしい
全くもって分からない
転生した私にはその美的感覚が分からないよ
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる