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深き森の中で!

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 「なぁフローラ。俺たちこの中から魔法石を探すのか?」


 そう話してフローラを見ると、同じように困った表情をしている。
 クレアさんの話していた特殊な魔法石は、この広い森の中にあると言う。


 「こん中から石ひとつ見つけるとか、相当大変だろうなぁ……よし、帰ろうか」

 「大樹さんダメですよ。いったん受けた依頼なんですから、責任持ちましょう」

 「うん、まぁ冗談だったけどね……半分くらい」


 真面目なフローラは、どうやらやる気満々といったところ。
 一方の俺はすでに諦めモードだ。


 「この森、かなり魔力で満ちていますよ。大樹さんでも感じるのでは?」


 そう言われると、そんな気がしてくる。
 それでも薄らとだが、不思議な感じはしている。


 「魔力ってこんな感じなんだな。エン先輩と戦った時も感じたけど、なんとも言えない不思議な感覚になる」

 「感じ方は人によって違うそうですよ。私にはビリビリと感じます」


 そんなもんなんだなぁ、結局は感覚的なものか。
 そんな話をしていると、近くから声が聞こえてくる。


 「本当にこの森に魔法石なんてあるのかよ!?」

 「わからんが、そんな噂があちこちで」

 「他の奴に見つかる前にゲットしないとなぁ! 一儲けしようぜ」


 ……なるほど。
 クレアさんの言うように、俺たちだけじゃないようだ。


 「なぁフローラ、ひとつ約束しておきたいことがあるんだけど」

 「なんですか?」

 「途中、誰かに会っても魔法石の話はナシにしよう。もしかしたら面倒な事になるかもしれない」

 「なるほど、確かにそうですね」


 納得してくれたのか、ウンウンと頷く。


 「もし聞かれたら、散歩とか迷いましたとかって誤魔化そう。戦いとか面倒だしな」

 「わかりました、私もそのほうがいいと思います」

 「んじゃ、早速石ころ探しはじめよう」


 俺がそう言うと、フローラはポケットから紙を取り出し。


 「出発直前にクレアさんがこの紙をと。どうやら、魔法石の多くある場所の特徴が書かれているみたいです」

 「なるほどね、さすがにこの中から闇雲にって訳じゃないか。どれどれ」

 『魔法石は魔力が集まる場所に出来やすい。しかし特殊な魔法石は違う。魔力は当然だが、人目につきにくい場所に隠されたように置かれている。傾向的には、古くからある洞窟などが多い』


 洞窟ってこの森にあったか?
 とにかくこれで、闇雲に探す必要からは解放されたってわけだ。


 「それじゃあ早速、洞窟みたいな場所を探そうぜ? もし近くにあれば、フローラが感じ取れるかもしれないし」

 「そうですね。まずは洞窟らしい場所を探していきましょう」


 ふと気がついたのは、俺一人じゃなくて良かったと言う事だった。
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