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魔力があると言うこと!

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 魔力検査が終わり、寮へ戻る道。
 フローラと二人で歩いているが、無言のままだ。

 記憶はないものの、フローラにはかなりの魔力があることがわかった。
 ここの制服を着ていたので、学園に無関係とは考えられないが、これほどの魔力を持った人間に関するデータがないというのも不思議だ。

 フローラも、思うところがあるのかもしれない。
 まぁ、もともと多くを話すタイプではないけど。


 「なぁフローラ。その、凄いそうじゃないか魔力。あのクリムと同じか、それ以上らしいぞ」

 「……そうですね。大樹さんにも少しあったそうで、良かったです……」


 やはり元気がない。
 
 言われて思い出すが、俺にも魔力が少しあるんだよなぁ。
 練習すれば魔法使えるのか。


 「そうだフローラ! 俺たちには魔力があったんだぞ? 学園で学べば魔法が使えるんだ。今は難しいこと考えないで、楽しんじゃおうぜ!」

 「……そうですね。そう言われて少し気が晴れました。やはり、私を見つけてくださったのが大樹さんで良かったです」


 そう言うフローラは、久々とさえ感じる笑顔を見せてくる。
 こうもハッキリ言われると照れる。
 
 そしてやっぱり、可愛いなぁ。

 すると、笑顔でこちらを見ていたフローラがバッと顔を反対に向け。


 「えっと、あの、その……。可愛いだなんて……」


 ああ、思わず声に出してたのか。
 先ほどまでとは違う、不思議な沈黙が訪れるのだった。




 あの後フローラと二人、寮に着くまで何も話せなかった。
 そのまま寮の中へ入り、部屋へ向かうフローラを見届けた後、俺はギルドの方へ向かうことにした。


 「マスターいますか?」

 「ああ、いるよ。どうしたのかな?」


 相変わらずの渋く優しい声で、マスターが返事をする。


 「実はさっき、学園で魔力検査したんですよ。そしたら何と、俺にも魔力が少しあるらしいんです」

 「ハハハ、嬉しそうだね。これで本格的に魔法使いを目指せるじゃないか。学園での勉強にも力が入りそうだね」

 「正直ホッとしてるんです。今日の授業で、みんな得意不得意あったけど、魔法が使えることは同じで。後どれだけいるのかわからないけど、この中で生活していくって考えると、不安が強くなってたんです」

 「それは当然のことだよ。君の場合、そもそも魔法のない世界からこちらに来たばかりで、生活が一変したんだ。不安で仕方ないさ」

 「でもこれで、少しは差がなくなりました! 俺がどんな魔法を使えるか、俺自身が今は一番楽しんでますよ」


 そう、今まであった不安は消えた。
 俺にも魔法が使えるかもしれない。
 ゲームや漫画の世界みたいに、かっこいいやつを!


 「という事でマスター。俺も魔法が使えるようになったら、依頼をバンバンよこしてください! 役に立ちますから」

 「わかったわかった、その時は頼りにしているよ」



 マスターとの会話を終え、一人部屋に戻ると、すっかり夜遅くになっていた。

 そうか、俺にも魔法が。
 テンションが下がらず、結局その日はほとんど眠れなかった。
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