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モブキャラ男子に話題を
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桜さんとの会話から数日が経つが、大きな変化は特にない。
でも、これはきっと間違っていない。
無理に話しかけても、上手くいかないのはわかっているから。
僕は僕なりの方法で、少しづつ変わっていこう。
「じゃあこれ、明日の授業で使うから教室にもう置いといて」
「わかりました」
放課後、先生に頼まれ、渡された大量のプリントを教室へと運ぶことに。
学級委員って、ほとんどこうした雑用が多く、思いの外目立たない。
それに対して少しホッとする自分もいるわけだが。
「ねぇ佐藤君、本当に大丈夫?」
無言で運ぶ僕に、隣から同じ頼みを受けた本田さんが話しかけてくる。
「大丈夫って何かな? プリント運んでるだけだし……あっ」
本田さんと僕のプリントの量が明らかに違う。
おそらく僕の……半分ではないだろうか。
そんな違いにも気がつかない僕はすごいな。
「佐藤君がいいなら、何も言えないけど。重たくない?」
「別に大丈夫だよ。一応男子だからね、普段外に出なくても問題ないよ」
「そっか、なら良かった」
そして再び音がなくなる。
学校の人気者を隣にして、これだけ話さないというのは、どうなんだろう。
だけど実際にはこうなっているわけで。
主人公たちはよく、美少女たち相手に話せるな!
今なら尊敬すらできそうだ。
「よいしょっと」
少し先に教室へ着いた本田さんは、指定されていた場所へプリントを置く。
遅れてプリントを置こうとした僕に、本田さんが。
「最後くらい手伝うよ」
そう言って、半分ほど持っていき二人でプリントを置く。
これってあれか、初めての共同作業ってやつか!?
「本田さん、ありがとう」
「いいよいいよ、ほとんど佐藤君が運んだんだし。それに、助かったのは私だから」
いい子だ、本当に。
アニメとかだったら、実は裏では……的なキャラかもしれない。
「本田さんって、やっぱり凄いよなぁ~」
「えっ!?」
驚いた声とともに、僕もハッと気がつく。
「あっと、あの~もしかして声に出てたかな?」
「う~んと、はい」
モジモジしながら本田さんは答える。
何ということだ、こんな恥ずかしい状況他にあるか?
本人の目の前で。
「あのね、佐藤君。私はみんなが思うような人じゃないかもよ? 実は悪い人かもしれないし」
本田さんは照れているのか、突然聞いてもいないようなことを。
それでも何か、言ったほうがいいだろうか。
「そうかもしれないね。本田さんみたいな人は、実は悪い人ってことアニメとかならあるよ。でも、少なくても僕たちから見える範囲ではいい人だ。それに、もし悪い人だったとしても人には知られたくない部分はあるだろうし」
……長く話しすぎたかな。
少しの間だけど、長く感じる沈黙。
「そっか、うん。そうだよね。ゴメンね、変なこと言っちゃって」
「き、気にしないでよ。そもそも僕が思ったこと言っちゃったからだし」
僕の言葉になぜか少しだけ、本田さんが微笑んでくれたように見えた。
きっと誰にでも知られたくないことがあるんだ。
それは本田さんにも……きっと。
でも、これはきっと間違っていない。
無理に話しかけても、上手くいかないのはわかっているから。
僕は僕なりの方法で、少しづつ変わっていこう。
「じゃあこれ、明日の授業で使うから教室にもう置いといて」
「わかりました」
放課後、先生に頼まれ、渡された大量のプリントを教室へと運ぶことに。
学級委員って、ほとんどこうした雑用が多く、思いの外目立たない。
それに対して少しホッとする自分もいるわけだが。
「ねぇ佐藤君、本当に大丈夫?」
無言で運ぶ僕に、隣から同じ頼みを受けた本田さんが話しかけてくる。
「大丈夫って何かな? プリント運んでるだけだし……あっ」
本田さんと僕のプリントの量が明らかに違う。
おそらく僕の……半分ではないだろうか。
そんな違いにも気がつかない僕はすごいな。
「佐藤君がいいなら、何も言えないけど。重たくない?」
「別に大丈夫だよ。一応男子だからね、普段外に出なくても問題ないよ」
「そっか、なら良かった」
そして再び音がなくなる。
学校の人気者を隣にして、これだけ話さないというのは、どうなんだろう。
だけど実際にはこうなっているわけで。
主人公たちはよく、美少女たち相手に話せるな!
今なら尊敬すらできそうだ。
「よいしょっと」
少し先に教室へ着いた本田さんは、指定されていた場所へプリントを置く。
遅れてプリントを置こうとした僕に、本田さんが。
「最後くらい手伝うよ」
そう言って、半分ほど持っていき二人でプリントを置く。
これってあれか、初めての共同作業ってやつか!?
「本田さん、ありがとう」
「いいよいいよ、ほとんど佐藤君が運んだんだし。それに、助かったのは私だから」
いい子だ、本当に。
アニメとかだったら、実は裏では……的なキャラかもしれない。
「本田さんって、やっぱり凄いよなぁ~」
「えっ!?」
驚いた声とともに、僕もハッと気がつく。
「あっと、あの~もしかして声に出てたかな?」
「う~んと、はい」
モジモジしながら本田さんは答える。
何ということだ、こんな恥ずかしい状況他にあるか?
本人の目の前で。
「あのね、佐藤君。私はみんなが思うような人じゃないかもよ? 実は悪い人かもしれないし」
本田さんは照れているのか、突然聞いてもいないようなことを。
それでも何か、言ったほうがいいだろうか。
「そうかもしれないね。本田さんみたいな人は、実は悪い人ってことアニメとかならあるよ。でも、少なくても僕たちから見える範囲ではいい人だ。それに、もし悪い人だったとしても人には知られたくない部分はあるだろうし」
……長く話しすぎたかな。
少しの間だけど、長く感じる沈黙。
「そっか、うん。そうだよね。ゴメンね、変なこと言っちゃって」
「き、気にしないでよ。そもそも僕が思ったこと言っちゃったからだし」
僕の言葉になぜか少しだけ、本田さんが微笑んでくれたように見えた。
きっと誰にでも知られたくないことがあるんだ。
それは本田さんにも……きっと。
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