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番外編 父と母の攻防戦 その1
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本編「眉毛」の裏側です。どうして母:晶さんが思い切った作戦に出たか分かると思います。
娘love過ぎる父:渉(わたる)とそれを迎え撃つ母:晶の攻防戦をお楽しみください。(^v^)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
父:渉(わたる)が、出張から帰ってきた。
「いやあ。2週間ぶりの我が家だ。やっぱ日本は、いいなあ。ほっとするなあ。みんなお土産、喜んでくれるかな。」
車から降りて、我が家を見上げた。部屋からもれる灯りに、ほっとするものを感じた。
「ただいまあ。」
「お帰りなさい。出張お疲れ様。」
車の音で、気がついてくれたのだろう。晶さんが、玄関まで来ていてくれて、出迎えてくれた。
「晶さん、ただいま。」
愛する妻に会えて、顔がほころぶ。
「茉鈴、航平、お父さん、帰ったわよ~。」
「「はーい」」
晶さんは、僕を大切にしてくれる。子供たちを必ず出迎えに呼んでくれるのだ。
「父さん、お帰りー。」
中3の航平は、今、成長期だ。見ない間にまた背が伸びたように思う。
「航平、ただいま。また背が伸びたか?」
「うーん、そんな変わってないよ。今176㎝だよ。」
「前に聞いた時は、171㎝だったから、5㎝伸びたんだなあ。」
「そうだったっけ?」
この分では、まだまだ伸びそうだ。背、追い抜かれないといいな。
「お父さん、お帰りなさい。」
茉鈴が顔だけ出して出迎えた。
ドサドサッ
渉は、思わず、手に持っていた荷物を落としてしまった。
「ま、茉鈴。その髪型。それに・・・痩せた?」
茉鈴の腰まであった髪が、ショートヘアに変わっている!
「へ、変かな。」
茉鈴が、自信なさそうに聞いてくる。
「いや、よく似合っているよ。」
本当に、その髪型は茉鈴によく似合っていた。
「ずっと髪長かったから、見慣れないでしょ。でも、私もこの髪型は、茉鈴によく似合っていると思うのよね。」
晶さんが楽しそうにそう言った。
「イメチェンしたのかい?」
どういう心境の変化だろう。
「う・・・うん。」
茉鈴が、気まずそうに視線を僕から外した。何かあったようだ。聞いても大丈夫だろうか?
「母さん、お腹すいたあ。」
航平が待ちくたびれたように言った。いつもは、先に食べているのだけど、今日は僕に合わせて待っていてくれたようだ。
「今日は、渉さんの好きな すき焼きよ。」
晶さんが笑顔で僕にそう言った。
「あ、ああ。ありがとう。」
「早く、着替えてきて。航平、お父さんの荷物、運んで。茉鈴、食事の準備手伝って。」
「へーい」「はーい」
晶さんと茉鈴が台所へ行くと、
「父さん、荷物持つよ。」
と言って、荷物を運んでくれた。
「あ、ああ。航平、お姉ちゃんは、どうしたんだい?」
茉鈴の変化が気になり、航平に質問した。
「えーと、話せば長いような短いような・・・。ごめん。母さんから聞いて。とりあえず、姉ちゃんのこと褒めてればうまくいくから。」
航平は、目をウロウロさせて困ったように言った。
「あ、ああ。」
何か特別なことがあったのは間違いない。僕がいない間に、茉鈴に彼氏でもできたのだろうか?元々可愛かったのに、ますます可愛くなったのだ。茉鈴を褒めるのは、真実を言えばいいのだからいくらでもできる。
「父さん、早く台所へ行こうよ。俺、ほんとーうに腹ペコなんだ。」
「待たせてごめんな。すぐ行く。」
僕は寝室に入ると、急いで部屋着に着替えた。
誤算だった。
まさか出張の間に、茉鈴が激変しているとは・・・。
僕の計画が台無しだ。
時間を巻き戻して出張を断りたい・・・。はぁ。
娘love過ぎる父:渉(わたる)とそれを迎え撃つ母:晶の攻防戦をお楽しみください。(^v^)
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父:渉(わたる)が、出張から帰ってきた。
「いやあ。2週間ぶりの我が家だ。やっぱ日本は、いいなあ。ほっとするなあ。みんなお土産、喜んでくれるかな。」
車から降りて、我が家を見上げた。部屋からもれる灯りに、ほっとするものを感じた。
「ただいまあ。」
「お帰りなさい。出張お疲れ様。」
車の音で、気がついてくれたのだろう。晶さんが、玄関まで来ていてくれて、出迎えてくれた。
「晶さん、ただいま。」
愛する妻に会えて、顔がほころぶ。
「茉鈴、航平、お父さん、帰ったわよ~。」
「「はーい」」
晶さんは、僕を大切にしてくれる。子供たちを必ず出迎えに呼んでくれるのだ。
「父さん、お帰りー。」
中3の航平は、今、成長期だ。見ない間にまた背が伸びたように思う。
「航平、ただいま。また背が伸びたか?」
「うーん、そんな変わってないよ。今176㎝だよ。」
「前に聞いた時は、171㎝だったから、5㎝伸びたんだなあ。」
「そうだったっけ?」
この分では、まだまだ伸びそうだ。背、追い抜かれないといいな。
「お父さん、お帰りなさい。」
茉鈴が顔だけ出して出迎えた。
ドサドサッ
渉は、思わず、手に持っていた荷物を落としてしまった。
「ま、茉鈴。その髪型。それに・・・痩せた?」
茉鈴の腰まであった髪が、ショートヘアに変わっている!
「へ、変かな。」
茉鈴が、自信なさそうに聞いてくる。
「いや、よく似合っているよ。」
本当に、その髪型は茉鈴によく似合っていた。
「ずっと髪長かったから、見慣れないでしょ。でも、私もこの髪型は、茉鈴によく似合っていると思うのよね。」
晶さんが楽しそうにそう言った。
「イメチェンしたのかい?」
どういう心境の変化だろう。
「う・・・うん。」
茉鈴が、気まずそうに視線を僕から外した。何かあったようだ。聞いても大丈夫だろうか?
「母さん、お腹すいたあ。」
航平が待ちくたびれたように言った。いつもは、先に食べているのだけど、今日は僕に合わせて待っていてくれたようだ。
「今日は、渉さんの好きな すき焼きよ。」
晶さんが笑顔で僕にそう言った。
「あ、ああ。ありがとう。」
「早く、着替えてきて。航平、お父さんの荷物、運んで。茉鈴、食事の準備手伝って。」
「へーい」「はーい」
晶さんと茉鈴が台所へ行くと、
「父さん、荷物持つよ。」
と言って、荷物を運んでくれた。
「あ、ああ。航平、お姉ちゃんは、どうしたんだい?」
茉鈴の変化が気になり、航平に質問した。
「えーと、話せば長いような短いような・・・。ごめん。母さんから聞いて。とりあえず、姉ちゃんのこと褒めてればうまくいくから。」
航平は、目をウロウロさせて困ったように言った。
「あ、ああ。」
何か特別なことがあったのは間違いない。僕がいない間に、茉鈴に彼氏でもできたのだろうか?元々可愛かったのに、ますます可愛くなったのだ。茉鈴を褒めるのは、真実を言えばいいのだからいくらでもできる。
「父さん、早く台所へ行こうよ。俺、ほんとーうに腹ペコなんだ。」
「待たせてごめんな。すぐ行く。」
僕は寝室に入ると、急いで部屋着に着替えた。
誤算だった。
まさか出張の間に、茉鈴が激変しているとは・・・。
僕の計画が台無しだ。
時間を巻き戻して出張を断りたい・・・。はぁ。
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