酸素ボンベ

ヤクモ

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出会い

1話

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「ほんと振り回されたわ。大変だったんだよ」
 知るか。そんなこと言うならさっさと離れればよかったじゃないか。
 そんな声を喉にとどめる。グラスを覆う水滴を指でなぞりながら、震えた声で小さく抗議した。
「離れればよかったのに」
「離れたら、もっと酷いことになってたでしょ?」
「……そうかもね」
 ただ、その酷いことは、わたしにとっては良いことかもしれないけれど。
 そんなことを言うと、また言葉が跳ね返ってくるのは目に見えるため、わたしはぼそりと言った。
「ごめんね。美羽のこと、好きなんだよ。大切なんだよ」
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