鬼の行く末

甘党七味

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六話 うん、全く動く気配がしない

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どの位時間が経っただろうか?
気付けば、《鬼力》そのものの感知に成功していた、《生命力感知》で感知できる生命力と、とても良く似ているが少し違う、
この《鬼力》、進化した時に感じた様に角にかなり集中しているが、それ以外に眼にもかなり集まっていることが感知できた、それ以外はムラがあるが、身体中に薄く広がっている、まるで血管の中で血液とともに流れている様な広がり方をしていた、

「ふぅ~、取り敢えず感知は出来たな……次は操作か……長くなりそうだ」

身体の内部は感知だけ出来ても意味がない、血液ならまだしも、このファンタジーの世界で不思議な力を操作できなければこの先困った事になるかもしれない、と思い頬を叩き気合を入れ直す。

パッシン!「よし!」

薄く広く広がっている身体の方は最初の取っ掛かりとしては難しいだろうから、より多く集まっている角から操作していく、角が出来れば眼、その次に身体に広がっている《鬼力》を順番に操作するのが理想だ。

先ずは念じる、目を閉じて角に意識を向けながら、声に出して

「動けー動けー」

何十分と同じ事を繰り返すが、全く動かない

「うん、全く動く気配がしない、おかしいなライトノベルならこれで動くのに、やっぱり現実は厳しいな……はぁ」

新しい力に目が眩んだが、進化したんだ今、《鬼力》の操作が出来なくとも感知が出来たんだ、その内操作出来るだろう、スキル説明にも"どの様な力になるかは、今後の成長次第"と書いてあったのだから、そう自分を励ます。

「ふぅ~、いよいよ25階層か……行くか」

静かに気合をいれ、25階層に進んでいく、
25階層について直後、階層全体にピリ付いた気配があったがそれが薄れている事に気すぐ。

「ん?なんか前によりもマシだな、進化のおかげか?」

《気配感知》で感知できる魔物がこの階層では1体だけ感知できた、恐らくそいつがあの時の轟音とこのピリついた雰囲気の犯人だろ、そう確信しその気配がする方え進んでいく、しばらくして大部屋の前までたどり着いて感じる相手の気配、今までのどの魔物よりも遥かに強者としての気配がしていたがここで逃げる選択肢はなかった。

気合を入れて大部屋の中に入って直ぐに気づく、まるでダンジョンボスかの様に部屋の中央で佇んでいるその魔物は、顔が大きな角を生やした鹿、それ以外が人型の化け物が腕を組んで目を瞑り佇んでいた。

「あれは…」

その魔物を見て、姿形も異常だが何よりも異常なのは、その魔物の雰囲気だろう、まるで一回の武人の様なただ住まい、間違いなくこの階層全体に漂うピリついた雰囲気はこの魔物か発せられるものだろう。

静かに俺は《気配遮断》を行う
そして…静かに駆け出したその瞬間、鹿顔の魔物は手を地面に突き刺し何かを握り締めながら取り出した、それはまごう事なき巨大な斧であった、巨大な斧を取り出して直ぐに鹿顔の魔物は巨大咆哮を上げる

「グガァァァァァァ!!!」

その咆哮の効果か動きが少し止まる、鹿顔の魔物はその隙を逃さず巨大な斧を振るう、が《気配遮断》のおかげか距離が甘く後ろに飛ぶ事で回避する事ができた、が次はないだろう気合を入れ直す。

「分かっていたがこいつ…強い!」

《気配遮断》の効果をつけて、消してを繰り返し、今度は真っ直ぐではなく鹿顔の魔物の側面を沿う様に周りを走りながら近づく、これで鹿顔の魔物が距離感を間違えてくれれば良い考えながら相手の隙を窺う。

鹿顔の魔物は顔を左右に揺らし、巨大な斧を地面に叩きつけたその直後地面から岩の棘が一直線につぎ出した、周りを走られるのを嫌がったのだろ、その隙に岩の棘を沿う様に一直線に走り鹿顔の魔物の巨大な斧を持っている右手を斬りつける!ザシュ!っという音と共に斬り口に不気味なオーラが入っていく。

「ギヤァァァァ!」

深追いはせずに直ぐに後ろに飛び相手の様子を伺う、が相当痛いのだろう鹿顔の魔物は巨大な斧を地面に落とし不気味なオーラが入った斬り口を抑えなが悲鳴を上げ此方を睨みつけている、直ぐに鹿顔の魔物に近づきトドメを刺そうとしたその時、鹿顔の魔物は口から吐息ブレスを吐いてきた。炎避けながらその吐息ブレスをみる。

「なんだこの炎!」

その吐息ブレスを見てやはりここは異世界だと再確認した、なぜならその吐息ブレスが緑色の炎だったからだ
が、今は戦闘中、吐息ブレスを避け首に向けて石斧を振るう。

「ギヤァァ!」

やはり傷口に武器なオーラが入り込んでいくその時、鹿顔の魔物が急にもがき苦しみ出した、首と腕の傷口を交互に掻きむしりなが叫ぶ。

「グギャァァァァァァァァ!」

「な、なんだ何が起こった!」

鹿顔の魔物はもがき苦しみ、叫び声が消えた瞬間、鹿顔の魔物は倒れ伏し、静かに消えた。その場に残されたのは巨大な斧と先に続く道と唖然とする鬼人だけだった。














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