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プロローグ

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「聖女アリア。お前との婚約を破棄する。」


そう彼は宣言した。


舞踏会という大切な場で婚約破棄をした皇太子とその後ろにいる少女、そしてアリアに興味深そうな視線を貴族達は浴びせてきた。


「婚約破棄・・・ですか。それはなぜですか?」


アリアは本心フリーになって嬉しかったのだ。


「なぜ聞く?お前も分かっているのだろう?私の恋人、リルアをいじめた。それだけだ。」


「・・・。申し訳ございませんが見に覚えがありません。まず、リルアとはどなたでしょうか?会ったこともないのにいじめるも何も。」


「お前!またそうやっておのれの罪から逃げる気だな?会ったことがないのはそのはずだ。お前は、自分の取り巻きに命じてやらせたんだ。」


「証拠があってこのような場で言っておられるのですよね?」


「そうだ!クライスト男爵家が証明してくれた。」


「そうですか。あなた方は最低ですね。私の友人を取り巻きなどと言うのは。」


「まだ言うのか?それなら証明してやれ。」


皇太子の一言で通っていた学園の友人、5人の女性が出てきた。


「証明します。証拠ならたくさんあります。」


「それは、私たちは心優しいアリア様にリルア嬢をいじめてだなんて頼まれた記憶はありません。」


「それにリルア嬢とアリア様とでは教室が離れすぎているでしょう。休み時間ごときでそんな離れた教室に行けますか。」


「それにアリア様がリルア嬢をいじめる理由なんてありません。」


「ないだと!あるではないか!私とリルアがどんどん仲良くなっていくのを婚約者として止めようとした!私にも愛するものと結婚する権利ぐらいあるだろう!」


アリアの無罪を証明しているなか突然皇太子が割り込んできた。


「皇太子殿下。慎んでください。」


アリアの友人の1人が勇敢にも皇太子を睨む。


突然皇太子が笑い出した。


「あはははは!なんと面白い証明をしてくれるのだろう?面白くてたまらない。だが、アリアは処刑する。お前達の話したことが本当だとしても私はアリアではなくリルアが好きだ。邪魔者は処刑する。誰かが言っていなかったかい?」


はっとしたように何人もの人が気まずそうに下をむく。


「お父様。あなたが言いました。私はその息子としてその言葉に従う!その女を連行せよ。」


「はっ。」


衛兵達に連れられてアリアは地下牢に入れられた。


その日の夜。


アリアは処刑された。


聖女を失った教会は血眼になって新たな聖女を探し始めた。


また、沢山の人の命を救ったアリアを処刑した皇太子達王族に反乱が起きたのはまた別の話だ。
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