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変わらない2人
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アメリアが精神病院に入院してから2年後。いつものように洗濯物をたたんでいたアメリアのもとに受付係のアニーがやってきた。
「あの、アメリア。あなたのご家族が来てるんだけど。ええっとリリアさんとその恋人のカルスさんっていう人。」
アニーは一昨日精神病院に入院したばかりでアメリアの家族との確執について知らなかった。
「一応本人確認取れたから応接室に案内したよ。よろしくね。」
アニーは戻っていった。アメリアはうつむいた。たたむのを手伝っていたレイラが不安そうな表情になる。
「アメリアお姉ちゃん。大丈夫?」
「あ、うん。少し話してくるだけだから。レイラはたたみ終わったら遊んでいていいよ。」
アメリアの言葉にレイラはうなづいた。
「わかった。」
しかしアメリアが部屋を出て応接室に向かうとすぐに掃除係のカンナと厨房係のアンナに伝えに行った。
「お待たせしました。」
応接室に入ったアメリアの目にはにこにこと笑っているリリアとカルスがいた。幸せそうに笑っている2人を見てアメリアの胸が痛んだ。
「もう、お姉ちゃんったら遅いんだから。」
「それで何の用でここに?」
とっとと用件を言えとアメリアは急かす。
「そう急がないで。えっとね、私とカルス、結婚することになったの!」
「・・・だから?」
アメリアの思ったことは至極当然のこと。あんなに最低なことばかり言って、アメリアのことを傷つけた2人の結婚がなんだというのか。
「えー、祝福してほしくて!結婚式への招待状がこれね。あと、お祝い金。ちょうだい?」
「は?」
リリアの言葉にアメリアは固まった。そしてリリアは変わってないんだと気づいた。
「アメリア、確か貯金あったよね。それ全額くれるくらいでいいから。手帳ちょうだい。あとパスワード。」
リリアの要求にさすがのアメリアも我慢の限界だった。
「私からカルス奪っておいて次は金をよこせと?無理だから。あなたたちの結婚式に行く気もないし、お祝いする気もない。だから私はお祝い金払わなくてもいいよね?」
「ひ、酷い!実の妹でしょ!お祝いしてよ。」
リリアが泣き出し、カルスがリリアを抱きしめアメリアを睨みつけた。
「お前、それでも実の姉なのか!?」
「さっきから聞いてれば酷いってあんたたちの方でしょ?」
突然声が割り込んできた。部屋の入り口に立っていたのはカンナとアンナ。その後ろには一緒に住む仲間たちの姿があった。
「は?」
リリアとカルスは彼女たちを見る。
「実の姉の恋人寝取って家族そろって責め立てて精神病院に無理やり入院させて。挙句の果てにはお金まで奪おうとするだなんて人間のクズだわ。」
「こんな性格も顔も可愛いアメリアの妹だからどれだけ可愛いのかと思ったけどこれのどこがこの男は良かったのかな?顔も全然可愛くないし性格も醜いしー。全部においてやばい。」
すかさずカンナとアンナが言う。
「なっ!?わ、私は可愛いもん!ね、カルス?」
リリアは顔を引きつらせる。そして咄嗟にカルスに尋ねた。
「うん、リリアは世界一可愛いよ。」
「あんたにとってその子の顔が可愛くても性格は最悪だからねぇー。そんな子と結婚だなんて正気の沙汰じゃないわよ。いつか浮気されるって。」
「そもそもその子が産んだ子供って本当にあんたの子供なの?姉の恋人寝取る時点で他の男とも寝てるでしょ、確実に。それじゃあ、誰の子かもわかったもんじゃないでしょ。」
そんな2人の攻撃にリリアは泣きそうな表情になるがカルスはどこか不安そうな表情になった。
「リリア、本当にテッドは僕との子供なんだよね?他の男と寝てなんかないよね?」
「ね、寝てるわけないでしょ。私はカルス一筋よ。」
リリアは必死に訴える。
「そうだよね。びっくりしちゃった。」
カルスがほっとしたように言った。
「どんだけその女のこと信じてんのよ。馬鹿じゃないの?」
アンナが鼻で笑った。
「そういえば僕の家、アメリアの家と近いんだけど。そこの女、あんた以外の男と腕組んで歩いてたよ。」
レイが爆弾発言をし、カルスは硬直し、リリアの顔が引きつった。
「な、なんのこと!?」
「リリア、どういうこと!?」
カルスがリリアに詰め寄る。
「喧嘩ならよそでやってちょうだい。アヴィーナ、お客様がお帰りよ。」
カンナが受付係のアヴィーナに言う。
「オッケー。お2人とも本日は面会ありがとうございました。また1か月後に面会可能です。」
そう言ってアヴィーナは2人を精神病院から叩き出した。ほっと一息ついたアメリアにアニーが謝った。
「アメリア、ごめんなさい!私、アメリアのこと何も知らなくて勝手に通しちゃった。」
「大丈夫。みんなが来てくれたからこうして撃退できたの。」
アメリアがほほ笑む。
「レイラが呼びに来てくれたの。アメリアが危ないって。」
カンナがレイラの背中を押して前に出す。
「勝手に呼びに行ってごめんなさい。」
レイラが上目遣いで言う。
「ううん、逆に呼びに行ってくれてありがとう。おかげで助かった。私ひとりじゃ負けてたから。」
アメリアがレイラを抱きしめた。
「皆、私ここを去ろうと思うの。いつまたあの子がここに来るのかもわからない。またみんなに迷惑をかけるわけにはいかないから。」
「あの、アメリア。あなたのご家族が来てるんだけど。ええっとリリアさんとその恋人のカルスさんっていう人。」
アニーは一昨日精神病院に入院したばかりでアメリアの家族との確執について知らなかった。
「一応本人確認取れたから応接室に案内したよ。よろしくね。」
アニーは戻っていった。アメリアはうつむいた。たたむのを手伝っていたレイラが不安そうな表情になる。
「アメリアお姉ちゃん。大丈夫?」
「あ、うん。少し話してくるだけだから。レイラはたたみ終わったら遊んでいていいよ。」
アメリアの言葉にレイラはうなづいた。
「わかった。」
しかしアメリアが部屋を出て応接室に向かうとすぐに掃除係のカンナと厨房係のアンナに伝えに行った。
「お待たせしました。」
応接室に入ったアメリアの目にはにこにこと笑っているリリアとカルスがいた。幸せそうに笑っている2人を見てアメリアの胸が痛んだ。
「もう、お姉ちゃんったら遅いんだから。」
「それで何の用でここに?」
とっとと用件を言えとアメリアは急かす。
「そう急がないで。えっとね、私とカルス、結婚することになったの!」
「・・・だから?」
アメリアの思ったことは至極当然のこと。あんなに最低なことばかり言って、アメリアのことを傷つけた2人の結婚がなんだというのか。
「えー、祝福してほしくて!結婚式への招待状がこれね。あと、お祝い金。ちょうだい?」
「は?」
リリアの言葉にアメリアは固まった。そしてリリアは変わってないんだと気づいた。
「アメリア、確か貯金あったよね。それ全額くれるくらいでいいから。手帳ちょうだい。あとパスワード。」
リリアの要求にさすがのアメリアも我慢の限界だった。
「私からカルス奪っておいて次は金をよこせと?無理だから。あなたたちの結婚式に行く気もないし、お祝いする気もない。だから私はお祝い金払わなくてもいいよね?」
「ひ、酷い!実の妹でしょ!お祝いしてよ。」
リリアが泣き出し、カルスがリリアを抱きしめアメリアを睨みつけた。
「お前、それでも実の姉なのか!?」
「さっきから聞いてれば酷いってあんたたちの方でしょ?」
突然声が割り込んできた。部屋の入り口に立っていたのはカンナとアンナ。その後ろには一緒に住む仲間たちの姿があった。
「は?」
リリアとカルスは彼女たちを見る。
「実の姉の恋人寝取って家族そろって責め立てて精神病院に無理やり入院させて。挙句の果てにはお金まで奪おうとするだなんて人間のクズだわ。」
「こんな性格も顔も可愛いアメリアの妹だからどれだけ可愛いのかと思ったけどこれのどこがこの男は良かったのかな?顔も全然可愛くないし性格も醜いしー。全部においてやばい。」
すかさずカンナとアンナが言う。
「なっ!?わ、私は可愛いもん!ね、カルス?」
リリアは顔を引きつらせる。そして咄嗟にカルスに尋ねた。
「うん、リリアは世界一可愛いよ。」
「あんたにとってその子の顔が可愛くても性格は最悪だからねぇー。そんな子と結婚だなんて正気の沙汰じゃないわよ。いつか浮気されるって。」
「そもそもその子が産んだ子供って本当にあんたの子供なの?姉の恋人寝取る時点で他の男とも寝てるでしょ、確実に。それじゃあ、誰の子かもわかったもんじゃないでしょ。」
そんな2人の攻撃にリリアは泣きそうな表情になるがカルスはどこか不安そうな表情になった。
「リリア、本当にテッドは僕との子供なんだよね?他の男と寝てなんかないよね?」
「ね、寝てるわけないでしょ。私はカルス一筋よ。」
リリアは必死に訴える。
「そうだよね。びっくりしちゃった。」
カルスがほっとしたように言った。
「どんだけその女のこと信じてんのよ。馬鹿じゃないの?」
アンナが鼻で笑った。
「そういえば僕の家、アメリアの家と近いんだけど。そこの女、あんた以外の男と腕組んで歩いてたよ。」
レイが爆弾発言をし、カルスは硬直し、リリアの顔が引きつった。
「な、なんのこと!?」
「リリア、どういうこと!?」
カルスがリリアに詰め寄る。
「喧嘩ならよそでやってちょうだい。アヴィーナ、お客様がお帰りよ。」
カンナが受付係のアヴィーナに言う。
「オッケー。お2人とも本日は面会ありがとうございました。また1か月後に面会可能です。」
そう言ってアヴィーナは2人を精神病院から叩き出した。ほっと一息ついたアメリアにアニーが謝った。
「アメリア、ごめんなさい!私、アメリアのこと何も知らなくて勝手に通しちゃった。」
「大丈夫。みんなが来てくれたからこうして撃退できたの。」
アメリアがほほ笑む。
「レイラが呼びに来てくれたの。アメリアが危ないって。」
カンナがレイラの背中を押して前に出す。
「勝手に呼びに行ってごめんなさい。」
レイラが上目遣いで言う。
「ううん、逆に呼びに行ってくれてありがとう。おかげで助かった。私ひとりじゃ負けてたから。」
アメリアがレイラを抱きしめた。
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