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❖グレイな恋人❖
異種接近交遊 Part.5『適合』
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「幸いなことに、地球人に害のあるモノは持ってないって“入星検査”で判明してます、僕は」
「僕は……って」
「だから、気をつけてください? 普通に、梅毒とかも気をつけなきゃいけないのに、なんか広まってますよね、今この国」
……ああ、昨日、テレビのニュースで観たし、聞いた。
梅毒に冒された男の話を、漫画の神様の作品で読んだの思いだしたっけ。
無防備セックス駄目絶対! って、思ったもんね。
あ。そういえば、ライ普通に付けてくれてたけど。
「アレって、避妊ていうより、感染予防の意味合いになるの?」
「あはは、突っ込みますね、秋良さん」
茶化すライに、私は眉を寄せる。
「あのね、生きる上でと自分の身体を守る意味で結構重要なんだよ、コンドームって」
「解ってますよ。だから、犬とか猫とかにキスしちゃダメですよ、な例え話もしたんですから」
そうじゃなくて、と、ライは至って真面目な顔になって、私の手に自分の手を重ねた。
「秋良さん。僕との間に、子供、欲しいですか?」
「へっ?」
唐突な質問ではあるけれど、的外れな問いかけではないのに。
私は、一瞬、言葉につまった。
「……ごめん。いまは、そこまで考えてない」
「はい。僕も、そこまで考えてはないです」
お互いに、生殖行為でなく、性的欲求の行為であった感は否めない。
……ま、大概の世のカップルって、まずはそうじゃないの?
だから、避妊の問題が問われるわけでさ。
「さっき、少し話かけたんですが、僕、地球上の生き物でいうネコ科とイヌ科の特性に似てて。
実は、生殖器がネコと同じような働きをするんです」
「……ん? ごめん、それって?」
いまの話の流れと関係ある?
「あれ。秋良さん、犬派ですか?」
「まぁ、どちらかと言うと?」
ライの苦笑いに、正直に応じた私に対し、彼がしてくれた説明によると。
ネコの雄の生殖器は、交尾の際に『棘』を出して雌の排卵を促すらしい。なので、受精確率が他の生物より高いのだそう。
つまり、ライは私の身体を傷つけるリスク(棘といっても、実際の棘とは違うみたいだけど)と。
遺伝子的に適合するかはともかく、確率の上では未知数の妊娠の可能性を考えて、避妊具(コンドームに似てたけど厳密には違うとのこと。宇宙人御用達らしい)を使ってくれた訳だ。
「そうそう。遺伝子の話が出てきたところで───秋良さん、契約の履行をお願いしますね」
「は? 契約の履行って、何? あの同意書って、ライと恋人になるってことなんでしょ?
具体的に何かするの?」
後出し契約じゃん、そんなの。
いや、私がちゃんと契約書の文言を読まなかったのが悪いの?
やっぱり、マルチ商法まがいな契約だった?
うーん……異星人相手にクーリングオフは効かないよね……。
自分のうかつさに唇をとがらせていると、ライがちょっと笑いながらズボンのポケットから何かを取り出した。
パッキングされた、綿棒に見えますが? これは、アレですかね?
「サンプリングデータの話です。
異星人間における、交遊交接の結果、お互いにどういう影響が出るかという───」
「遺伝子学の研究実験動物扱いってコト?」
「いやだな、恋人たちの標本調査ですよ。ホッペの横、こすっておしまいですから」
ね? と、邪気のない顔で微笑まれ、仕方なしにその袋を受け取って破く。
まぁね。確かに同意したしね。
大人しく綿棒で自分のDNAを採取していると、そんな私を見つめ、ライが意味ありげに言った。
「結果次第では、さっきの話、僕たち真剣に考えたほうがいいかもしれませんね」
「僕は……って」
「だから、気をつけてください? 普通に、梅毒とかも気をつけなきゃいけないのに、なんか広まってますよね、今この国」
……ああ、昨日、テレビのニュースで観たし、聞いた。
梅毒に冒された男の話を、漫画の神様の作品で読んだの思いだしたっけ。
無防備セックス駄目絶対! って、思ったもんね。
あ。そういえば、ライ普通に付けてくれてたけど。
「アレって、避妊ていうより、感染予防の意味合いになるの?」
「あはは、突っ込みますね、秋良さん」
茶化すライに、私は眉を寄せる。
「あのね、生きる上でと自分の身体を守る意味で結構重要なんだよ、コンドームって」
「解ってますよ。だから、犬とか猫とかにキスしちゃダメですよ、な例え話もしたんですから」
そうじゃなくて、と、ライは至って真面目な顔になって、私の手に自分の手を重ねた。
「秋良さん。僕との間に、子供、欲しいですか?」
「へっ?」
唐突な質問ではあるけれど、的外れな問いかけではないのに。
私は、一瞬、言葉につまった。
「……ごめん。いまは、そこまで考えてない」
「はい。僕も、そこまで考えてはないです」
お互いに、生殖行為でなく、性的欲求の行為であった感は否めない。
……ま、大概の世のカップルって、まずはそうじゃないの?
だから、避妊の問題が問われるわけでさ。
「さっき、少し話かけたんですが、僕、地球上の生き物でいうネコ科とイヌ科の特性に似てて。
実は、生殖器がネコと同じような働きをするんです」
「……ん? ごめん、それって?」
いまの話の流れと関係ある?
「あれ。秋良さん、犬派ですか?」
「まぁ、どちらかと言うと?」
ライの苦笑いに、正直に応じた私に対し、彼がしてくれた説明によると。
ネコの雄の生殖器は、交尾の際に『棘』を出して雌の排卵を促すらしい。なので、受精確率が他の生物より高いのだそう。
つまり、ライは私の身体を傷つけるリスク(棘といっても、実際の棘とは違うみたいだけど)と。
遺伝子的に適合するかはともかく、確率の上では未知数の妊娠の可能性を考えて、避妊具(コンドームに似てたけど厳密には違うとのこと。宇宙人御用達らしい)を使ってくれた訳だ。
「そうそう。遺伝子の話が出てきたところで───秋良さん、契約の履行をお願いしますね」
「は? 契約の履行って、何? あの同意書って、ライと恋人になるってことなんでしょ?
具体的に何かするの?」
後出し契約じゃん、そんなの。
いや、私がちゃんと契約書の文言を読まなかったのが悪いの?
やっぱり、マルチ商法まがいな契約だった?
うーん……異星人相手にクーリングオフは効かないよね……。
自分のうかつさに唇をとがらせていると、ライがちょっと笑いながらズボンのポケットから何かを取り出した。
パッキングされた、綿棒に見えますが? これは、アレですかね?
「サンプリングデータの話です。
異星人間における、交遊交接の結果、お互いにどういう影響が出るかという───」
「遺伝子学の研究実験動物扱いってコト?」
「いやだな、恋人たちの標本調査ですよ。ホッペの横、こすっておしまいですから」
ね? と、邪気のない顔で微笑まれ、仕方なしにその袋を受け取って破く。
まぁね。確かに同意したしね。
大人しく綿棒で自分のDNAを採取していると、そんな私を見つめ、ライが意味ありげに言った。
「結果次第では、さっきの話、僕たち真剣に考えたほうがいいかもしれませんね」
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