ざまぁ系ヒロインに転生したけど、悪役令嬢と仲良くなったので、隣国に亡命して健全生活目指します！

乙女ゲームからエスケープ！ 留学します！

人気者は辛いのです……

　「あ、フィリーネさんよ！」

　「え、彼女が？
　私の友達が彼女の講座に出てから明らかに痩せたのよ。
　それで私もその話を元にダイエット始めたの……。
　体重は減ってはいるんだけど、他のダイエットより短期的には効果が薄くて……、毎日体重計に乗ってはため息の毎日でね。
　だけど一月前の体重を改めて見返してみたら確実に減っていたのよ」

　「あ、私も！」

　「私は……、途中で投げ出したくなっちゃってダメね。
　栄養のバランスを考えるのって、たまには思い出すけど毎日毎日だとキーッてなってくるし、運動だって……。
　筋トレとかキツいじゃない。
　何か運動部やってて目的があっての事ならやる気も出るけど……。
　いや、ココのお肉をどっかへやりたいって動機はあっても、一人で黙々と続けるのって難しいわ……」

　そんな声があちらこちらから聞こえてくる。
　最近では私に質問しにメモ帳と筆記具持参で突撃してくる人も多くなった。

　最初の内は律儀に答えていたけど……、
　次から次へと引っ切り無しに来る質問者にそろそろ辟易してきた。

　そんな頃。

　「ねぇ、フィリーネ。
　このまもう、講義を定期開催する方が良くないかい？」

　ミヒャエルと二人、教室移動で廊下を歩くほんの数分の間に５人も質問者が現れ、私がピリピリしているのを感じ取ったのか、彼はそんな事を言い出した。

　いやいやいや。
　先の一回は確かに質問攻めから逃れたくてついポロッと失言したのがきっかけだったけど。
　そして幾つかの授業を受けなくて良くなり空いた時間は確かにあるけれど！
　だからって……

　「でも、向こうから来る質問者は多分減らないよ。
　それが嫌なら代替案を提示しないと」

　つまり、授業で纏めて相手にするか、こうしてのべつまくなく押し寄せる質問者を根気強く片付けるか。

　「……はぁ、最近イェニーさんも以前に増して態度悪いし問題だらけね」

　その時はため息を吐いて息と一緒に話題も流したのに……。

　「フィリーネさん、貴女のダイエット講座に興味を示した先生方もいてね。
　フィリーネさん、臨時講師を引き受けてくれないかしら？
　一応アルバイト扱いになるからお給料も出るし、就職活動する時には職歴にも書けるわ。
　それに講座の評判が良ければ内申にもその旨記載されるでしょうね」

　と、担任のロッテ先生からも推されてしまい。

　決して強制させる様なものではなかったのだけれど。
　私にとって自分で稼いだ、正真正銘の自分のお金が出来るのは魅力的過ぎた。
　内申についてはオマケみたいなものだけど、無視は出来ない。

　私は……、私は……。

　「分かりました……」
　こうしてダイエット講座の定期講座開催が決定したのである。

　しかもその告知をしたらあっという間に参加希望者が殺到し……。
　中教室どころか大教室を使うよう勧められる程。

　やっぱり皆、ダイエットには興味あるんだなぁ。
　気持ちは分からんでもないけど。

　とすると……、これは……、もしかしたら……。
　お金になるかもしれない、と。
　私はその時ふと思った。