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乙女ゲームからエスケープ! 留学します!

本格授業の開始です!

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 それは、運命の週末。
 選択授業及び部活動の選択結果の申請期限日。

 何がやりたいかがはっきりしている人はさっさと申請を終えて早速学生生活に邁進しているが、流石にそれは少数派。
 多少方向性は決めていても、魅力的な授業も多く、時間割と最後までにらめっこしている人も多かった。

 かくいう私も。
 自分の興味ははっきりしているものの、“将来”を考えた時、何を選択すべきか分からなくて。
 結局そこは最後まで分からないまま、学びたいものを学びたいだけ、というスタンスで選んだ。

 部活は調理部。

 やっぱり料理が好きだし、食べるのも好きだから。
 けど、好き放題食べて前世の二の舞いも嫌だから、多少体力作りと健康の為の保健体育基礎。

 それと前世じゃ絶対学べなかった魔法関連の授業は満遍なく選択。

 「流石に選択授業は皆分かれたな」
 「部活も……ですわね」

 「ああ。しかし、私達は仲良しこよしがしたくて留学したのではないのだからな。
 寮やHRでは一緒なのだし。
 やりたい事を令嬢だからと窘められる事もなく好きに、存分にやれるのは楽しみだな」

 「マルグリット、令嬢としてのマナーはともかく人としてのマナーまで忘れるのはやめて下さいましね?」
 「分かっているよ。その醜さは祖国で嫌になる程見てきた。
 あれと同じ穴のムジナになるなど寒気がする」

 そんなやり取りを寮でしたその翌週、ついに本格的な学校生活が始まる。

 それは朝のHRでも、担任のロッテ先生が連絡事項として口にした。

 「皆さん、申請書はきちんと提出していますね?
 ……よろしい。年に何人かは期限を守らない方がいらっしゃるのですが、このクラスはきちんとした方が多いようで安心しました。
 つきましては、今週から本格的に授業が始まります。
 何か困った事、悩み事などありましたら申告になる前に何時でも先生に申し出ること。
 ただし、以前もお伝えした通り、出席日数や成績は全て自己責任がこの学校の基本方針です。
 その点は決して忘れないよう、各自気をつけるように」

 ――と。

 私としては学業より、背中にちくちく突き刺さる、イェニーさんの視線のが問題なんだけど。

 ……それとは別に、テオ君はやけにマルグリットさんに話しかけている。
 いつの間に仲良くなったんだろう?
 もう友達を作るなんて、マルグリットさんのコミュニケーションスキル凄いなぁ。

 今週最初の授業は……、先週同様必修科目の数学なので、クラスメイト全員で先週同様にCの5番教室へと移動した……の、だが。

 「フィリーネさん、貴女については次週には試験を受けていただきます。余程の事がない限り間違いなく合格するでしょう。
 貴女にこの授業で教えられる事はありません」

 あ~、まぁ……ね。一応これで大学出てますからね。
 授業でまともに数学習ってたのは高校までだけど、それでも基礎と名の付くレベルは流石に越している自覚はあった。

 「……分かりました」

 「本日は習熟度別の班分けです。これから配るプリントに書かれた記号と同じ記号のある席に着き、プリントの課題に取り組むように。
 分からなければ都度私に質問して下さい。
 フィリーネさんは私と一緒に指導に回って下さい」

 こうして、のっけからイレギュラーな授業が始まったのだった。
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