上 下
27 / 114
私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?

カイザー大陸

しおりを挟む
 「素養については学園入学時に報告義務がありますからね、いずれ侯爵家の負担で教会へ鑑定を依頼するつもり……の、はずですわ。
 その報告を元に、一応入学直後のオリエンテーションで皆の前で鑑定を行うのが通例となっているそうですわ」

 「……元は報告義務など無かったのですがね、中には魔力量が多すぎて、高価な鑑定魔導具の許容値を越えて壊してしまったり、はたまた微力過ぎて鑑定不能とされてしまったのが運悪く高位の貴族のご長男だったりと過去に何度かトラブルがあった故の事と聞きますが」

 あー、やっぱり居たんだ。お約束を踏んだ運の悪い人が。

 「なら、魔法関連はその鑑定後にやるべきかな。
 それじゃあ先に地理と歴史中心に進めるか。
 ガイアが造ったとされる大地は海に囲まれ、空に覆われている。
 さて、その大地の総称……名前は?」

 「カイザー大陸」

 そう、まるで蝶ネクタイの様な形の大陸。
 そして世界唯一の大陸。

 ……まぁ、唯一なんて思うのは私に前世の記憶があるからなんだろう。

 船も航海技術も、大陸を三つの地方に分ける大河と、巨大な湖、そして大陸を囲う海の近海を航行するレベル。
 海の果ては、かつての地球で信じられていた天動説の様に、滝になって流れ落ちているとされ、誰もその先へ行こうとはしない。

 だって誰もその先があるなんて考えないから。
 世界を創ったガイアがそうだと言ったと、精霊女王ティタニアの聖女となった方が証言した記録が残っている……らしいからね。

 「正解。かつて、ガイアが創りし大地には全てのヒト族が差別なく暮らしていた。
 まぁ、基本的にはそれそぞれの種族ごとに暮らし易い場所で集落を作り暮らしていた様だが。
 しかし人が集まり生活をするとなれば、次第に統治者リーダーを必要とするのは必然。
 やがて全ての種族が平和に暮らす楽園ユートピア、カイザー帝国が誕生する。
 そしてその国の名残が、この大陸の名だ」

 「当時の皇帝は竜人族が代々担っていたそうですわ」

 「文官としても武官としても優秀な人の多い、バランス良く能力の高い種族だからな、竜人族は。
 そこに精霊と相性が良く頭脳労働の得意な者の多いエルフ族と、妖精と相性が良く肉体労働の得意な者の多い獣人族が手脚となって国を回し、その統治は長く続いた。
 ……が、能力や生活習慣の違いから、小さな諍いは絶えずあったとされているな。……その小さな諍いが長い時を経て大きな隔たりとなり、やがて争いが起きた。
 結果、種族ごとに分かれて国を興しては争い、そして滅びまた新たに国を興すというサイクルを繰り返し、現在いまに至るわけだ」

 「直近で一番新しくできた国が我がセイントランド聖国とフライハイト王国。かつてはシルヴェスター神聖国と言う一つの国だったんだけどね。 
 だからこそこのカイザー大陸の中心部をシルヴェスター地方と呼び、バーンズ湖の東側……セイントランド聖国のあるこちら側をシルイースト、西側のフライハイト王国のある方をシルウェストと呼ぶのは、そのかつての国でそう呼ばれていたからだ」

 「ちなみにノーブル川で隔てられた北側の大地をサザーランド地方、ノエル川で隔てられた南側の大地をロイエンタール地方と呼ぶ」

 「サザーランド地方には亜人の国が多く、ロイエンタール地方には各獣人族の王が治める王国を皇帝がまとめるリオン帝国がある」

 そう、それが現在のウィルガイア、この世界の姿なのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断罪ルートを全力で回避します~乙女ゲームに転生したと思ったら、ヒロインは悪役令嬢でした~

平山和人
恋愛
平凡なOLの私は乙女ゲームのヒロインに転生した。貧乏な男爵家の娘ながらも勉強を頑張って、奨学生となって学園に入学したのだが、蓋を開ければ、悪役令嬢が既にハーレムを作っていた。どうやらこの世界は悪役令嬢がヒロインのようで、ざまぁされるのは私のようだ。 ざまぁを回避すべく、私は徹底して目立たないようにした。しかし、なぜか攻略対象たちは私に付きまとうようになった。 果たして私は無事にざまぁを回避し、平穏な人生を送ることが出来るのだろうか?

クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜

アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。 そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。 とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。 主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────? 「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」 「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」 これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

生まれ変わったら極道の娘になっていた

白湯子
恋愛
職業専業主婦の私は、車に轢かれそうになってた子どもを守ろうとして死んでしまった。しかし、目を開けたら私は極道の娘になっていた!強面のおじさん達にビクビクしながら過ごしていたら今度は天使(義理の弟)が舞い降りた。やっふぅー!と喜んだつかの間、嫌われた。何故だ!構い倒したからだ!!そして、何だかんだで結婚に焦る今日この頃……………。 昔、なろう様で投稿したものです。

悪役令嬢に転生したら溺愛された。(なぜだろうか)

どくりんご
恋愛
 公爵令嬢ソフィア・スイートには前世の記憶がある。  ある日この世界が乙女ゲームの世界ということに気づく。しかも自分が悪役令嬢!?  悪役令嬢みたいな結末は嫌だ……って、え!?  王子様は何故か溺愛!?なんかのバグ!?恥ずかしい台詞をペラペラと言うのはやめてください!推しにそんなことを言われると照れちゃいます!  でも、シナリオは変えられるみたいだから王子様と幸せになります!  強い悪役令嬢がさらに強い王子様や家族に溺愛されるお話。 HOT1/10 1位ありがとうございます!(*´∇`*) 恋愛24h1/10 4位ありがとうございます!(*´∇`*)

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました! 裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。 ※2019年10月23日 完結

処理中です...