上 下
22 / 114
私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?

学園都市……だと……?

しおりを挟む
 「それは朗報ですね、少なくともフライハイト王国大使の思惑としては志願者は多い方が有り難い」

 ミヒャエルは、お義姉様の言葉に余裕の笑みを返した。

 「ほう、大使の……と言う事は、即ちフライハイト王国の意向……だと?」
 「勿論。……我がフライハイト王国は、基本的に外交政策は成功している方だと思うんですよ。
 当然、関税やら入国税やら細かな交渉の勝ち負けなんかはあるにしても、ね。
 例外は――言うまでもなくこの国、セイントランド聖国だ」

 ミヒャエルに出したお菓子を、彼はお義姉様にも勧めながら言葉を続ける。

 「常に揚げ足を取ろうと日々ちょっかいをかけてきてはこちらのミスを誘い、戦争の口実を虎視眈々と伺われるのもいい加減面倒でね。
 少なくともこちらにはセイントランド聖国と戦争するメリットも無ければむしろデメリットしかないのに、何故かこの国ではフライハイト王国こそがこの国を狙っていると考える人が多すぎて。」

 うん、そうだね。あの三人はちょっとで考えなしかつ極端な例ではあるけど、似たような考えをする人は少なくない。

「だから、そんな事は無いと、この国の人を堂々と我が国に招いてフライハイト王国の気風を知って貰おう、と。
 そもそもセイントランド聖国以外の国とは既に結んでいる留学制度をこの国にも適用したいんだけど、まぁ上手くいかないらしいですよ、義父の話だと」

 「つまり、私達が志望して、制度の最初の使用者になって広告塔にしたいと?」
 「まぁ、端的に言えばそう言う事ですね。
 先日いらしたお嬢様方なら身元も確かなので、入学先の学校の入学試験に合格していただく必要はありますが、滞在先の寮などのも整っていますし、問題なく過ごしていただけるかと。
 ……制度を、セイントランド聖国が認めさえすれば、ですが……あの親父の事なんで口八丁でいずれOKの返事をもぎ取ってくるでしょう。
 が、制度だけあっても利用者が居なければお飾りにもなりませんから」

 「それ。あの学園に入学しなくて済むなら、私は行きたい、フライハイト王国に。
 ……ただ、義父が許可するかどうか。それが一番の問題よ。普通に考えれば無理だと思うわ」

 「そうね……。でも、そこは根気強く説得するしかないわね……」

 「ただ、その入学試験だけど、少なくともこの国の“学園”の入試より難易度は高いと思う。
 試験の四分の三は正解しないと合格にはならないし、不合格なら当たり前だけど入学出来ない」

 この国の“学園”では、四分の一も正解すれば入学は出来る。
 四分の三も正解出来れば上位クラスが約束される。

 「けれど、フライハイト王国には我が国と違って沢山学び舎があると聞きますわ。私達が受けるのはどのような学校なのでしょう?」

 「我が国には、学園都市と呼ばれる、様々な学校や研究施設を集めた街が存在します。
 制度が整い交渉の進んだ国の物であれば、入学に足る能力を試験で証明すれば、その街の中の好きな学校に入学が可能です。
 その中でも留学生の為の学校があります。
 制度を運用し始めて間もない国の者は、その学園でのみ受け入れています。
 セイントランド聖国も、初めはそうなるかと」

 学園都市!
 それは何とも魅力的な響きですね……?

 「よければ、僕が勉強を見てあげようか?」

 ただでさえ教養が足りていないとお義姉様にも言われている私。
 独学で間に合うかどうか……自信なんてあるはずもない。
 だから、私は一も二もなく、
 「お願い致します」
 と、ミヒャエルに頭を下げたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜

アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。 そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。 とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。 主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────? 「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」 「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」 これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。

断罪ルートを全力で回避します~乙女ゲームに転生したと思ったら、ヒロインは悪役令嬢でした~

平山和人
恋愛
平凡なOLの私は乙女ゲームのヒロインに転生した。貧乏な男爵家の娘ながらも勉強を頑張って、奨学生となって学園に入学したのだが、蓋を開ければ、悪役令嬢が既にハーレムを作っていた。どうやらこの世界は悪役令嬢がヒロインのようで、ざまぁされるのは私のようだ。 ざまぁを回避すべく、私は徹底して目立たないようにした。しかし、なぜか攻略対象たちは私に付きまとうようになった。 果たして私は無事にざまぁを回避し、平穏な人生を送ることが出来るのだろうか?

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

悪役令嬢に転生したら溺愛された。(なぜだろうか)

どくりんご
恋愛
 公爵令嬢ソフィア・スイートには前世の記憶がある。  ある日この世界が乙女ゲームの世界ということに気づく。しかも自分が悪役令嬢!?  悪役令嬢みたいな結末は嫌だ……って、え!?  王子様は何故か溺愛!?なんかのバグ!?恥ずかしい台詞をペラペラと言うのはやめてください!推しにそんなことを言われると照れちゃいます!  でも、シナリオは変えられるみたいだから王子様と幸せになります!  強い悪役令嬢がさらに強い王子様や家族に溺愛されるお話。 HOT1/10 1位ありがとうございます!(*´∇`*) 恋愛24h1/10 4位ありがとうございます!(*´∇`*)

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました! 裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。 ※2019年10月23日 完結

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

処理中です...