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私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?
お茶会という名の試練の場へのお誘い
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「え、お茶会……ですか?」
トビアス様がいらっしゃった要件というのが、おのお茶会へのお誘いだったらしい。
「えっと、それだけなら従者にでも招待状を届けさせれば済んだ話では……?」
練習でお茶会をしたばかりの私の常識ではそのはずなのだが……。
「ええ。ただのお茶会ならばそうでしょうね。特にご婦人方だけの気楽な場であれば尚更に」
……つまりは、そういう場ではない、と。
「主催は名目上ジークリンデ様。
参加されるのはジークリンデ様のご婚約者であられる第二王子殿下と、その側近候補であるトビアス様とギレッセン伯爵令息様よ。
勿論パートナーとして私とマルグリット様も招待されているわ。
トビアス様はそのお茶会用のドレスと宝飾品を贈って下さったのよ」
「え……? 夜会ではないのに、ですか?」
「お茶会のお題目がね、フリードリヒ第二王子殿下とジークリンデ様の王族教育の一環なのよ。
さすがにそれだけの為に夜会は開けないからお茶会という体裁を取っているけれど、だからダンスもすると思うのよ」
つまり、お茶会と言う名の夜会のリハーサルって事ですか。
そりゃドレスも要るわな。
まぁ、お義姉様ならダンスも完璧だろう。
パートナーががトビアス様なのが心配ではあるけれど……。
と、そこまでは義姉に同情しつつもまだ他人事だったフィリーネだったが。
「それで。我が侯爵家が最近養女を迎えたと言う噂を、トビアス様が王子殿下のお耳に入れたそうで。……フリードリヒ第二王子殿下が、会ってみたい、と仰ったそうよ」
――コルネリウス侯爵家の養女って……、もしかしなくとも私ですよね?
「貴女もそのお茶会に参加するようにと、第二王子殿下のご下命だそうよ」
え……。私、まだお義姉様のお友達とのお茶会練習会を頑張ろうね、って言う段階じゃありませんでしたっけ?
一応ダンスも習ったけど、やっとステップを覚えたけど先生の足を何度も踏みつけちゃう様な有様で。
まともなパートナー相手に踊った事は一度も無い、と言う。
「あの、それに、私のエスコート役は……、どなたが……?」
女性同士のお茶会ならパートナーは必要ないけれど、男性も居る社交の場にパートナーのエスコートなしで行くのは、『男漁りをしに来た』とされ、未亡人でもなければみっともなくはしたない事とされるお国柄。
しかし、私に貴族男性の知り合いなんて、義父と義弟しか居ないんだけど……。
いや、一応侯爵家に仕える家令や上級使用人には下級貴族の出身の者も居るとは言えそこはカウントしちゃ駄目だよね?
「あちらから特に指定はなかったから……、これから急いで心当たりを当たってみるわ。
取り敢えず貴女は明日からダンスと王族相手のマナーの集中レッスンよ」
「なっ……!」
そ、そんな……!
そりゃ近々には必要となるスキルだからだけど、そんな突然ブートキャンプ化するなんて……!
何で余計な情報を王子の耳に入れたんだ、トビアス様!
何で興味なんかもってつまらない命令を下したんだ、フリードリヒ様!
「私も練習に付き合うし。……ドレスは既製品になってしまうけど、執事に商人を呼ぶよう言いつけたから、明日には来るはずよ」
まあ、ね。
ちょっとしたお茶会に来ていくドレスは数着、この屋敷に来た折に用意して貰ったけど、エスコートの必要な場のドレスコードに適うドレスは私のクローゼットには無いし、お義姉様の物は色々な場所のサイズが合わないし……
私は自分で作ったタルトケーキをつつきながら、後でミヒャエルに愚痴ってやろうと自分を慰めたのだった。
トビアス様がいらっしゃった要件というのが、おのお茶会へのお誘いだったらしい。
「えっと、それだけなら従者にでも招待状を届けさせれば済んだ話では……?」
練習でお茶会をしたばかりの私の常識ではそのはずなのだが……。
「ええ。ただのお茶会ならばそうでしょうね。特にご婦人方だけの気楽な場であれば尚更に」
……つまりは、そういう場ではない、と。
「主催は名目上ジークリンデ様。
参加されるのはジークリンデ様のご婚約者であられる第二王子殿下と、その側近候補であるトビアス様とギレッセン伯爵令息様よ。
勿論パートナーとして私とマルグリット様も招待されているわ。
トビアス様はそのお茶会用のドレスと宝飾品を贈って下さったのよ」
「え……? 夜会ではないのに、ですか?」
「お茶会のお題目がね、フリードリヒ第二王子殿下とジークリンデ様の王族教育の一環なのよ。
さすがにそれだけの為に夜会は開けないからお茶会という体裁を取っているけれど、だからダンスもすると思うのよ」
つまり、お茶会と言う名の夜会のリハーサルって事ですか。
そりゃドレスも要るわな。
まぁ、お義姉様ならダンスも完璧だろう。
パートナーががトビアス様なのが心配ではあるけれど……。
と、そこまでは義姉に同情しつつもまだ他人事だったフィリーネだったが。
「それで。我が侯爵家が最近養女を迎えたと言う噂を、トビアス様が王子殿下のお耳に入れたそうで。……フリードリヒ第二王子殿下が、会ってみたい、と仰ったそうよ」
――コルネリウス侯爵家の養女って……、もしかしなくとも私ですよね?
「貴女もそのお茶会に参加するようにと、第二王子殿下のご下命だそうよ」
え……。私、まだお義姉様のお友達とのお茶会練習会を頑張ろうね、って言う段階じゃありませんでしたっけ?
一応ダンスも習ったけど、やっとステップを覚えたけど先生の足を何度も踏みつけちゃう様な有様で。
まともなパートナー相手に踊った事は一度も無い、と言う。
「あの、それに、私のエスコート役は……、どなたが……?」
女性同士のお茶会ならパートナーは必要ないけれど、男性も居る社交の場にパートナーのエスコートなしで行くのは、『男漁りをしに来た』とされ、未亡人でもなければみっともなくはしたない事とされるお国柄。
しかし、私に貴族男性の知り合いなんて、義父と義弟しか居ないんだけど……。
いや、一応侯爵家に仕える家令や上級使用人には下級貴族の出身の者も居るとは言えそこはカウントしちゃ駄目だよね?
「あちらから特に指定はなかったから……、これから急いで心当たりを当たってみるわ。
取り敢えず貴女は明日からダンスと王族相手のマナーの集中レッスンよ」
「なっ……!」
そ、そんな……!
そりゃ近々には必要となるスキルだからだけど、そんな突然ブートキャンプ化するなんて……!
何で余計な情報を王子の耳に入れたんだ、トビアス様!
何で興味なんかもってつまらない命令を下したんだ、フリードリヒ様!
「私も練習に付き合うし。……ドレスは既製品になってしまうけど、執事に商人を呼ぶよう言いつけたから、明日には来るはずよ」
まあ、ね。
ちょっとしたお茶会に来ていくドレスは数着、この屋敷に来た折に用意して貰ったけど、エスコートの必要な場のドレスコードに適うドレスは私のクローゼットには無いし、お義姉様の物は色々な場所のサイズが合わないし……
私は自分で作ったタルトケーキをつつきながら、後でミヒャエルに愚痴ってやろうと自分を慰めたのだった。
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