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私、ざまぁ系ヒロインに転生してしまったかも……!?
初めてのお茶会
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……あれ?
ふと違和感を覚えたフィリーネは、円卓の右隣に座る義姉が主催者のマナーとして一番に手にした香りの良い高級茶葉を使った紅茶の入った、華やかな花柄の華奢な高級ティーカップに口を付け、茶菓子のクッキーを口に含む様をそっと眺めやる。
ここは、侯爵家の庭園にある東屋。
芝生のグリーンに日差しが降り注ぐ天気の良い昼下り。
カラフルなバラの中、白いパーゴラが映える。
その美しい景色の中にも埋没しない、躾の行き届いた良家のご令嬢らしく、完璧なテーブルマナーで音もなくカップをソーサーに戻した義姉に促され、フィリーネも主催者の身内として先にお茶と茶菓子に手を伸ばす。
義姉に比べれば付け焼き刃も同然のマナーだが、一応家庭教師にビシバㇱ扱かれたので、一応形にはなっているはず……である。
「改めまして、本日は当家主催のお茶会にお集まりいただき、御礼申し上げます。
まずは紹介させていただきますわね。
私の隣に座る娘、彼女は私の義妹となりましたフィリーネですわ」
「初めまして、先日より侯爵家の養女となりましたフィリーネと申します。色々と不慣れな点も多く、お恥ずかしい限りですが、何か失礼がありましたらご指摘いただけると幸いです」
このお茶会は、私の正式な社交デビューの前に社交マナーの実践経験を積む為にお義姉様と親しいご令嬢をお招きしているのだ。
「義妹は我が侯爵家に来てまだ日も浅く……。覚えは悪くないのですがいかんせん父がこの娘に選んだ家庭教師がカルラ女史でして。
一応彼女の合格基準には達しましたので今回の会を開く運びとなった訳なんですけれど……」
「……ああ、あの噂のカルラ女史かい。体罰上等で厳しいを通り越した意地悪姑の様だと評判の。
それは苦労しただろうね、同情するよ。何せ由緒正しい家に生まれ育った大人しい子でさえ泣き出すらしいから。
あ、ちなみに私はマルグリットだ。マルグリット=エンゲル、辺境伯家の次女さ。
ついでに後ろに控えているのは私の執事のカイだ。私の護衛も兼ねているから大体一緒に居るからよろしく頼むよ」
庭の白薔薇の背景が実によく似合う微笑みを浮かべるのは、実際はご令嬢らしくドレスを身に纏っているのに、後ろに控える執事と衣装を交換させて男装して欲しくなる、カッコ良い系の美女だ。
女子校にいたら女子にモテそうな、金髪ショートに灰色の瞳をした彼女が纏うのは、アオザイの様な身体の線がくっきり見えてしまう、黒のワンピースを着こなしている。
夜会ではなくお茶会だから、派手なドレスではないけれど。
「あら、このクッキー美味しいわね。マルグリット様も召し上がってみて?」
マルグリット様が自己紹介している横で、先にお茶とお菓子に手を伸ばしていた赤毛の美女が嬉しそうな声を出す。
鮮やかな赤毛のソバージュに緑の瞳のゴージャス美女。
こちらは赤薔薇が似合いそうだ。
「あ、私はジークリンデ=エッカルト。エッカルト公爵家の長女ですわ。よろしくお願いしますわね」
髪色に負けない鮮やかな赤いゴージャスなドレスを嫌味なく着こなす、ザ☆公爵令嬢だ。
「あ、ホントだ。紅茶にも良く合うね、美味しいよ、これ」
「このお菓子、どこのお店の物かしら、ロジーネ様? ああ、後ろに控えているのは私の侍女のリーゼロッテとギーゼラですわ」
「お気に召したなら光栄ですわ。こちらはフィリーネが考案し、我が侯爵家の料理人に作らせた菓子ですわ。よろしければお包みして、お帰りの際にお土産としてお渡し致しますわ」
……うーん、考案したって大袈裟な。
クッキー自体は多少甘さの調整をしただけの何の変哲もない普通のクッキーなのに。
ただ、クッキーの間にジャムをサンドしただけなのに。
まぁ、砂糖はお高いから裕福な侯爵家だからこそ作れるお菓子ではあるけれど。
ついでに紅茶と合わせるとロシアンティーみたいになって確かに美味しいんだけど。
「ちなみに私のお薦めはこのミルクジャムを挟んだものなのですよ、お二人共是非お試しになってみて?」
美しい銀の髪をハーフアップにしたお義姉様が、同じく銀の瞳を友人達に向ける。
……お義姉様には青薔薇が似合いそうだけど、さすがに青い薔薇はこの庭には存在しない。
と、いうか、この世界に存在するのだろうか、青い薔薇。
「ああ。いただこう」
「あら、他のは甘酸っぱくて美味しかったのですが、こちらは甘さが濃厚で……、これを食べてお茶をいただくとまるでミルクティーの様ですわね」
こうして、和やかにお茶会は始まる。
それにしても……、何だろう、お義姉様以外は皆初めて会った人ばかりだというのに、何故か既視感がある様な……?
しかし、明確な答えに辿り着けぬまま、フィリーネは何とか話についていかねばと気合を入れ直した。
ふと違和感を覚えたフィリーネは、円卓の右隣に座る義姉が主催者のマナーとして一番に手にした香りの良い高級茶葉を使った紅茶の入った、華やかな花柄の華奢な高級ティーカップに口を付け、茶菓子のクッキーを口に含む様をそっと眺めやる。
ここは、侯爵家の庭園にある東屋。
芝生のグリーンに日差しが降り注ぐ天気の良い昼下り。
カラフルなバラの中、白いパーゴラが映える。
その美しい景色の中にも埋没しない、躾の行き届いた良家のご令嬢らしく、完璧なテーブルマナーで音もなくカップをソーサーに戻した義姉に促され、フィリーネも主催者の身内として先にお茶と茶菓子に手を伸ばす。
義姉に比べれば付け焼き刃も同然のマナーだが、一応家庭教師にビシバㇱ扱かれたので、一応形にはなっているはず……である。
「改めまして、本日は当家主催のお茶会にお集まりいただき、御礼申し上げます。
まずは紹介させていただきますわね。
私の隣に座る娘、彼女は私の義妹となりましたフィリーネですわ」
「初めまして、先日より侯爵家の養女となりましたフィリーネと申します。色々と不慣れな点も多く、お恥ずかしい限りですが、何か失礼がありましたらご指摘いただけると幸いです」
このお茶会は、私の正式な社交デビューの前に社交マナーの実践経験を積む為にお義姉様と親しいご令嬢をお招きしているのだ。
「義妹は我が侯爵家に来てまだ日も浅く……。覚えは悪くないのですがいかんせん父がこの娘に選んだ家庭教師がカルラ女史でして。
一応彼女の合格基準には達しましたので今回の会を開く運びとなった訳なんですけれど……」
「……ああ、あの噂のカルラ女史かい。体罰上等で厳しいを通り越した意地悪姑の様だと評判の。
それは苦労しただろうね、同情するよ。何せ由緒正しい家に生まれ育った大人しい子でさえ泣き出すらしいから。
あ、ちなみに私はマルグリットだ。マルグリット=エンゲル、辺境伯家の次女さ。
ついでに後ろに控えているのは私の執事のカイだ。私の護衛も兼ねているから大体一緒に居るからよろしく頼むよ」
庭の白薔薇の背景が実によく似合う微笑みを浮かべるのは、実際はご令嬢らしくドレスを身に纏っているのに、後ろに控える執事と衣装を交換させて男装して欲しくなる、カッコ良い系の美女だ。
女子校にいたら女子にモテそうな、金髪ショートに灰色の瞳をした彼女が纏うのは、アオザイの様な身体の線がくっきり見えてしまう、黒のワンピースを着こなしている。
夜会ではなくお茶会だから、派手なドレスではないけれど。
「あら、このクッキー美味しいわね。マルグリット様も召し上がってみて?」
マルグリット様が自己紹介している横で、先にお茶とお菓子に手を伸ばしていた赤毛の美女が嬉しそうな声を出す。
鮮やかな赤毛のソバージュに緑の瞳のゴージャス美女。
こちらは赤薔薇が似合いそうだ。
「あ、私はジークリンデ=エッカルト。エッカルト公爵家の長女ですわ。よろしくお願いしますわね」
髪色に負けない鮮やかな赤いゴージャスなドレスを嫌味なく着こなす、ザ☆公爵令嬢だ。
「あ、ホントだ。紅茶にも良く合うね、美味しいよ、これ」
「このお菓子、どこのお店の物かしら、ロジーネ様? ああ、後ろに控えているのは私の侍女のリーゼロッテとギーゼラですわ」
「お気に召したなら光栄ですわ。こちらはフィリーネが考案し、我が侯爵家の料理人に作らせた菓子ですわ。よろしければお包みして、お帰りの際にお土産としてお渡し致しますわ」
……うーん、考案したって大袈裟な。
クッキー自体は多少甘さの調整をしただけの何の変哲もない普通のクッキーなのに。
ただ、クッキーの間にジャムをサンドしただけなのに。
まぁ、砂糖はお高いから裕福な侯爵家だからこそ作れるお菓子ではあるけれど。
ついでに紅茶と合わせるとロシアンティーみたいになって確かに美味しいんだけど。
「ちなみに私のお薦めはこのミルクジャムを挟んだものなのですよ、お二人共是非お試しになってみて?」
美しい銀の髪をハーフアップにしたお義姉様が、同じく銀の瞳を友人達に向ける。
……お義姉様には青薔薇が似合いそうだけど、さすがに青い薔薇はこの庭には存在しない。
と、いうか、この世界に存在するのだろうか、青い薔薇。
「ああ。いただこう」
「あら、他のは甘酸っぱくて美味しかったのですが、こちらは甘さが濃厚で……、これを食べてお茶をいただくとまるでミルクティーの様ですわね」
こうして、和やかにお茶会は始まる。
それにしても……、何だろう、お義姉様以外は皆初めて会った人ばかりだというのに、何故か既視感がある様な……?
しかし、明確な答えに辿り着けぬまま、フィリーネは何とか話についていかねばと気合を入れ直した。
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