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この世界の生き方

十日に一度の日常

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   もう、何日経っただろう?
    「ーー悪いが頼む」
    少なくとも十日は過ぎたらしい。

    「……まだかかるのかな?」
    「流石に距離の分時間はかかるからなぁ。俺はむしろ暗い所で有り難いが、空気の心配はあるからな。まあ、見たところあと二、三日だろうさ」

    プチプチと首周りのボタンが外され首筋の肌が据え膳の様に晒される。
    夏は平気で人目に晒している部分だし、流石にもう慣れたとはいえやはりちょっと羞恥心はある。
    吐息が触れてこそばゆいのもあるし、唇が触れる瞬間の妙な胸の高鳴りが私の経験値の無さを突きつけてくる。

    彼の方はごく普通にサッと牙を埋め血を啜り飲み下している。
    コンビニで買ったパック入り飲料にストローをさして吸い上げる、その何気ない行為と同等の日常をこなしているだけ。

    決してキスとか、男女の交わり的なナニかじゃないんだから、私だって平気な顔をしていられれば良いのに。
   「あ……」
    その感覚に吐息と共に小さく声が漏れる。

    最初は安全確保のための代償で義務的な行為だったはずなのに。
    だんだんと嫌々ではなくなってきている。

    いやいやいや、いくら喪女とはいえそりゃないでしょ、と自分でも突っ込みたい。
    なのに、僅かな吸血が済むと何故か物足りなさを感じる自分に内心焦る。

    「じゃ、あと一息頑張るか」
     ……まぁ、イケメンなんだけどさ。
     吸血鬼、なのにね。
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