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不揃いな旅立ち

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    異世界召喚。
    今現在私が体験しているのは、つい先日までファンタジーだと疑わなかった事。

    そして、今聞いた言葉も実にファンタジックな名詞だった。……うっかり聞き流しそうになったけど。

    「ええと……それ何のジョーク?」
    「悪いが冗談じゃなく事実だ。信じたくなければ信じなくても良いが、俺がこの環境じゃ生きていけないのも事実だから、俺は次の夜に出ていく」

    ……既に何度かされている離別宣言。その度に何となく有耶無耶にしてきたけど、その言葉が本気なのだけは分かった。
    だけどこの異世界で、一人ぼっちになるのは不安しかない。

    特に私なんて、サバイバルスキル皆無のただのOLなんだし。
    吸血鬼って、あのチートの数々もスキルでなく彼自身の能力だと言うならこんな頼もしいを逃がす訳にはいかない。

   「つまり、“食料”があれば良いんですよね?」

    要は献血、ボランティアだと思えば良い。
    ……もっと他に切羽詰まった事情があるんだし、色々厄介な感情や考えはとっとと捨てるに限る。
    流石に命より惜しいものもないしね。

    「私が“食料”になれば、出て行く理由も無くなるよね?」

    だから私は精一杯の笑顔で言ってやった。
    「これからもよろしくね」
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