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終焉

またか

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    煌々と夜空に赤々と燃える炎の色がよく映えた。
    それを背景に、広野に魔法陣が描き出された。
   「んじゃ、取り敢えず帰るか」
    そんな軽い気持ちで魔法陣に乗り、たどり着いたのはあのいつかの神楽殿だった。
    今回は四人の王子はこちら側に一緒に居るけど、あの黄色い皇子が待っていた。
   「ご苦労だった、宴の支度が整っている」
    だから着替えろ、と彼は言った。
   「着替えるのは構わんが、彼女と離されるのは拒否する」
   四人の王子は、
   「俺達は部屋の外で待つ。それで良いだろう?」
   と、頑として離れることを拒んだ。
    だけど、部屋へ通された後で、それぞれの家の人が別々に呼びに来て――そして誰もいなくなった後。
   「……またか」
    毎度お馴染みの牢へと私は押し込められたのだった。
    「あの皇子の差し金なんだろうなぁ……」
    しかも、中央以外の四国もグルな可能性があった。
    「となると……助けは絶望的かも」
     中央、それもあの皇子だけならあの四人でなんとか抑え込む事も出来ただろうけど、自国が荷担してたら……ねぇ?
    本人達は反論してくれるかもしれないけど。
    彼らの一番はこの国の民だ。
    「あーあ。私の人生はあの家に生まれた時点で終わってたって事かなー」
    なんだかもう、何もかもがどうでも良くなった。
    余程邪魔をされたくないのか、夜が明けた翌日の朝にはもう牢から引き出され、私はまたあの忌まわしい処刑台に括り付けられていた。
    観客が大勢見に来ていた。
    わぁわぁと何か言っているけど、私にはもう聞こえない。
    炎の赤がパッと目の前を彩った。
    ああ、熱い、痛い、苦しい――。
   「アオイ、しっかりしろ!」
    誰かが呼んでる……? 
   「おい、てめぇらどきやがれ!    彼女を殺すなら俺ごと殺れ!」
    炎の赤とは別の赤い色が目の前を覆った。
   「ちくょう、あの神獣共、いつの間にか居なくなりやがって!」
    炎の上がる縄に躊躇いなく触れて引きちぎり、私を救いだそうとするけれど、兵達に止められ上手くいかず、怒号を上げながら暴れまわっている。
    ちょ、そんな事してたら第二王子じゃいられなくなる……!
   「馬鹿野郎、恩人放って仇で返すような真似して王子なんて地位に留まってられっか!」
    ……和貴が吠えた。
   その言葉が嬉しくて――泣きそうになったけど……もう涙も出ない程に私の身体は枯れ果てていた。
   「おい、こら死ぬな、死ぬなよ!」
   無茶言うな……。馬鹿……。
    「ちくしょ、ちくしょう、お前らまじでどけ!」
   意識が闇に呑まれていく。
   もう目は見えず、唯一残った聴覚だけが最後まで和貴の声を脳に届けていた。
    だけど――その脳もやがて燃えて――
    「ざっけんなよ!」
     その和貴の叫びと同時に、雲一つ無かったはずの晴天の空から突如稲光が落ちた。
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