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異世界へ
無自覚な想い
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……そうじゃないかとは、薄々思ってたけどね。
「――やはり、政府機関を探る必要がありそうですね」
「うわ、この人数だけで?」
「後方支援なしの隠密か。……難しいな」
「しかし、やらなければ我らの仕事は全て水の泡、元の木阿弥になりますぞ」
「……取り敢えず王都まで行こっか。それからまた情報収集……かな」
と、まずはそれだけ決めたら今晩はもう寝ることにした。
まだ得られた情報は少ないし、これ以上議論する議題も無い。
「一応、念のため廊下側の寝台は俺と嶺仙、窓側に幸守と影家。お前は真ん中な。どっちに寝るかは好きにしろ」
……案内された部屋は六人部屋だから、寝台は一つ余る。
和貴と幸守、嶺仙と影家とで別れた寝台の、私は和貴と幸守と並ぶ側のベッドを選んで寝転がった。
……ベッドは当然それぞれ独立してはいるけど、寝起きに綺麗過ぎる嶺仙の顔や影家の顔を見るよりはまだこちらの方が精神的負担が少ない気がするから。
血を四人分も吸わせたからか、それともやっぱり必要以上に気を張っていたのか、横になった体は一気に重くなり、もうそこから離れたくなくなって。
そのまま意識は眠りの中へと落ちていった。
「……おいおい、即寝かよ。こいつ男が嫌いと言いながら無防備過ぎねぇか?」
「疲れていたのでしょう。今日は確かに彼女の助けがなければこうも順調に事は運ばなかったはずです」
「それに。それだけ信頼してくれるようになったって事でしょ? 良い事じゃない」
「良い意味で異性として意識されなくなったのではないかな?」
「……それもそれで何か複雑だ」
「そう? ずっと警戒されてたからちょっと嬉しいけどな」
「私達と彼女の関係はあくまで勇者とその守役です。もう少し踏み込むなら戦友でしょう。男女の関係は必要無いのですから、我々が自制すれば良いのです」
「ねぇ、和貴。さっきの血の吸い方にも思ったんだけど……。もしかしてアオイを女の子として見てない?」
「は、はぁ!?」
影家の問いの含みに気付いた和貴は思わず声をあげた。
「いやいやいや、そりゃ最初の頃に比べりゃ可愛くもなったが、さっきだって俺達を嬉々として見世物にしやがった奴だぞ?」
と、慌てて反論するが、言いながらその言い訳にまず自分が納得しきれていないのに気付いて更に慌てる。
「は……。まさか、俺が……?」
確かに自分で言った通り、出会った当初よりは好感度も上がっていたとは思うが。
それでも恋愛対象として見ていたつもりは全く無い。
……が、その一方で大勢居る部下と言う名の戦友――勿論女隊員も居る――と同じに思えるか、と言われれば違うと答えるしかない。
「……う、嘘だろ?」
和貴はぽろりと弱りきった様に小さく呟いた。
「――やはり、政府機関を探る必要がありそうですね」
「うわ、この人数だけで?」
「後方支援なしの隠密か。……難しいな」
「しかし、やらなければ我らの仕事は全て水の泡、元の木阿弥になりますぞ」
「……取り敢えず王都まで行こっか。それからまた情報収集……かな」
と、まずはそれだけ決めたら今晩はもう寝ることにした。
まだ得られた情報は少ないし、これ以上議論する議題も無い。
「一応、念のため廊下側の寝台は俺と嶺仙、窓側に幸守と影家。お前は真ん中な。どっちに寝るかは好きにしろ」
……案内された部屋は六人部屋だから、寝台は一つ余る。
和貴と幸守、嶺仙と影家とで別れた寝台の、私は和貴と幸守と並ぶ側のベッドを選んで寝転がった。
……ベッドは当然それぞれ独立してはいるけど、寝起きに綺麗過ぎる嶺仙の顔や影家の顔を見るよりはまだこちらの方が精神的負担が少ない気がするから。
血を四人分も吸わせたからか、それともやっぱり必要以上に気を張っていたのか、横になった体は一気に重くなり、もうそこから離れたくなくなって。
そのまま意識は眠りの中へと落ちていった。
「……おいおい、即寝かよ。こいつ男が嫌いと言いながら無防備過ぎねぇか?」
「疲れていたのでしょう。今日は確かに彼女の助けがなければこうも順調に事は運ばなかったはずです」
「それに。それだけ信頼してくれるようになったって事でしょ? 良い事じゃない」
「良い意味で異性として意識されなくなったのではないかな?」
「……それもそれで何か複雑だ」
「そう? ずっと警戒されてたからちょっと嬉しいけどな」
「私達と彼女の関係はあくまで勇者とその守役です。もう少し踏み込むなら戦友でしょう。男女の関係は必要無いのですから、我々が自制すれば良いのです」
「ねぇ、和貴。さっきの血の吸い方にも思ったんだけど……。もしかしてアオイを女の子として見てない?」
「は、はぁ!?」
影家の問いの含みに気付いた和貴は思わず声をあげた。
「いやいやいや、そりゃ最初の頃に比べりゃ可愛くもなったが、さっきだって俺達を嬉々として見世物にしやがった奴だぞ?」
と、慌てて反論するが、言いながらその言い訳にまず自分が納得しきれていないのに気付いて更に慌てる。
「は……。まさか、俺が……?」
確かに自分で言った通り、出会った当初よりは好感度も上がっていたとは思うが。
それでも恋愛対象として見ていたつもりは全く無い。
……が、その一方で大勢居る部下と言う名の戦友――勿論女隊員も居る――と同じに思えるか、と言われれば違うと答えるしかない。
「……う、嘘だろ?」
和貴はぽろりと弱りきった様に小さく呟いた。
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