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3章 農園カンパニー
第1話 その羊の名はセバスティアーノ
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「それでは始めますよ」
場所はユージーンを喚び出したのと同じ場所。
そこだけはコレに使うからと開拓しないまま、草原のまま残してあったから。
ユージーンの時と同じように魔法陣が光り、人影が現れる。
背は、ユージーンより少し低いけど、十分長身の部類だし、身体もユージーンの様な鍛えて引き締まった細マッチョではないけれど、文官の様なすらっとした体型。
髪は、まるで音楽室に飾られたバッハの肖像の様な、白くてくるくるした髪(バッハのアレはカツラと聞いたけど彼のは地毛っぽい)に白いちょび髭と顎髭をつけている。
そして、何よりかによりロマンス・グレーな美しい顔。
ご年配な分その顔面の攻撃力はアグリ様やユージーンには及ばないものの、残念ながら私の心の平穏はどうやら遠のいてしまったらしい。
一通りの説明をアグリ様から聞かされ、ユージーンの時と同様に、アグリ様の部屋でより詳細な説明をし、私とユージーンの自己紹介をする。
「ワタシはセバスティアーノの申します。羊人族でございます」
……おっと、セバスチャンじゃないのか、惜しい!
「しかし……農園、ですか……」
少し困ったような表情で考え込んでしまう。
「ワタシは長年身分ある方に仕える仕事をして参りました。なので、使用人の統率や財務管理、また若い頃は見習いとしてフットマンなど下級使用人の仕事もしておりましたので、掃除などは出来なくもありませんが……」
見た目は50代程に見えるセバスティアーノさん。
確かにこの歳から未経験の農業するのは大変そうです……。
「あの、なら在庫管理とかは出来ませんかね? 収支のバランスとか、今は私の独断で回してますけど、経験や知識のある方が入ってくれるなら助かるんですけど……」
特に今は布と糸が余っている事など説明すると。
「ご婦人のドレスの様な複雑な衣装は無理ですが、作業着のような簡単な衣服でしたら私が作れますよ? ……凝ったデザインセンスを期待されると困りますが、シンプルなデザインなら問題ありません」
何と! 今一番欲しかった人材がここに!
「よろしくお願いします。一通りの研修が住むまでにセバスティアーノさん専用の執務室と工房を用意しますので」
私は即深々と頭を下げてお願いする。
「いえいえ、ワタシにも出来る仕事があってよかった。それとセバスティアーノのでは呼び難いでしょう。皆様、ワタシの事はどうぞセバスとお呼び下さい」
こうしてまた一人、牧場で働く仲間が増えたのだった。
場所はユージーンを喚び出したのと同じ場所。
そこだけはコレに使うからと開拓しないまま、草原のまま残してあったから。
ユージーンの時と同じように魔法陣が光り、人影が現れる。
背は、ユージーンより少し低いけど、十分長身の部類だし、身体もユージーンの様な鍛えて引き締まった細マッチョではないけれど、文官の様なすらっとした体型。
髪は、まるで音楽室に飾られたバッハの肖像の様な、白くてくるくるした髪(バッハのアレはカツラと聞いたけど彼のは地毛っぽい)に白いちょび髭と顎髭をつけている。
そして、何よりかによりロマンス・グレーな美しい顔。
ご年配な分その顔面の攻撃力はアグリ様やユージーンには及ばないものの、残念ながら私の心の平穏はどうやら遠のいてしまったらしい。
一通りの説明をアグリ様から聞かされ、ユージーンの時と同様に、アグリ様の部屋でより詳細な説明をし、私とユージーンの自己紹介をする。
「ワタシはセバスティアーノの申します。羊人族でございます」
……おっと、セバスチャンじゃないのか、惜しい!
「しかし……農園、ですか……」
少し困ったような表情で考え込んでしまう。
「ワタシは長年身分ある方に仕える仕事をして参りました。なので、使用人の統率や財務管理、また若い頃は見習いとしてフットマンなど下級使用人の仕事もしておりましたので、掃除などは出来なくもありませんが……」
見た目は50代程に見えるセバスティアーノさん。
確かにこの歳から未経験の農業するのは大変そうです……。
「あの、なら在庫管理とかは出来ませんかね? 収支のバランスとか、今は私の独断で回してますけど、経験や知識のある方が入ってくれるなら助かるんですけど……」
特に今は布と糸が余っている事など説明すると。
「ご婦人のドレスの様な複雑な衣装は無理ですが、作業着のような簡単な衣服でしたら私が作れますよ? ……凝ったデザインセンスを期待されると困りますが、シンプルなデザインなら問題ありません」
何と! 今一番欲しかった人材がここに!
「よろしくお願いします。一通りの研修が住むまでにセバスティアーノさん専用の執務室と工房を用意しますので」
私は即深々と頭を下げてお願いする。
「いえいえ、ワタシにも出来る仕事があってよかった。それとセバスティアーノのでは呼び難いでしょう。皆様、ワタシの事はどうぞセバスとお呼び下さい」
こうしてまた一人、牧場で働く仲間が増えたのだった。
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