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1章 農園始めます!

第4話 農園の始まりはカブから

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 「……分かりました。いえ、正直まだ色々理解できてませんし、上手くやれるかどうかも分かりませんが、それでも良いなら農園、やります」

 元々ゲームの牧場○語は好きだったんだ。

 ……現実の肉体労働の上儲けるのが難しく、最近の異常気象やそれに伴う災害をモロに被りがちな農業ができるとは思えなかったけど。
 何かスキルをくれると言うなら……

 「では、これを」

 すっと、細く白く綺麗な、でも少し骨ばった男性の手にそれを乗せて差し出した。
 白くて丸い、まるでラムネ菓子の様なそれを。

 「口に入れてください」

 指示の通り、親指と人差し指で摘める小さな球体を口に放り込めば、スッとソーダの様な爽やかな後味を残して、飲み込むまでもなくそれは口の中で溶けて消えた。

 「これで、貴女はスキルを使えるようになったはず。そしてこれはプレゼントです」

 渡されたのは、金の腕輪。アクセントとして水色の宝石が一つ付いている。

 「その石に、触れてみて下さい」
 「え、はい……」

 すると、ホログラムのような画面が現れる。
 そう、異世界あるあるのステータス画面的なヤツが。

 だけど、そこに記されているのは私自身のステータスではなく、この辺り一帯の土地の情報らしい。

 小さな小屋に、デフォルメされた私と神様の顔が描かれ、周囲には草原が広がっている。

 「それでは、外に出てみましょう」
 私がさっき開けるのに散々苦労した扉を、彼は引くのではなく、外して開けた。

 「…………」

 「取り敢えず試しにカブの種を渡しますね。あ、その腕輪、アイテムボックスにもなってますから、クワを出してみてください。欲しい物を思い浮かべながら触れれば出てきますから。あ、勿論中に入っている物限定ですがね」

 他にもジョウロやカマなど一通りの道具は入っているらしい。
 石に触れると、確かにそれらしい物が出てきた。

 「……クワなんて、今初めて触ったんだけど。これどう使うの」

 取り敢えずゲームの主人公のモーションを真似して動いてみるけど。
 地面にクワの先が突き刺さるばかりで……

 「その様に力一杯振らずとも、地面をなぞるだけで耕せる特別な道具なので、大丈夫ですよ。地面を耕せたら、まずはこれ、カブの種を撒いて下さい」

 あ、やっぱり最初の作物はカブなのね。

 「あ、ホントだ。勝手に畝が出来る」
 スルスルと地面を撫でるだけで畝ができるとか……。
 日本の農家の皆さん、デタラメでごめんなさい。

 取り敢えず種を撒き、ジョウロで水を撒く。

 改めてステータスを見てみると、草原に一つ、カブ畑の表記が増えていた。
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