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第五章 嫁入り支度は慌ただしく
現竜王陛下への謁見
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明日には帰国する、その前日。
私達候補者は改めて広間に集められた。
そして私には先に告げられた結果が宰相様から発表される。
リュセ様は悔しげな表情をしながらも何処かホッとしてたし、アリス様は心から安堵の吐息を吐き出していた。
スーザン様は「色々修行不足を思い知らされたよ」とさっぱり笑っていたけれど。
「明日、光の国へお送りする竜便を手配しております。今日の内に荷物をまとめておいて下さい」
そして。
「エルシエル様には、現竜王陛下へご報告のため、新竜王陛下フォンセ様と謁見をお願いします」
部屋に戻され、着せ替え人形させられ、正装姿の陛下の前に立たされる。
うっ、美形が着飾って更に美しさが増してて……眩しいです!
全身真っ黒なんだけど、すらっとした体型がさらに引き締まって見えて、けどヒョロっちくは決して見えない筋肉質な身体がいかんなく男の色気を振りまいている。
……鼻血吹かなかった私を誰か褒めて?
しかも、折った肘をエスコートの為に差し出してくれるんです、この美形。
エスコートなんて生まれてこの方父と兄と従兄弟にしかされた事ありませんよ。ええ、初の親族以外のエスコートですよ、これ。
え、親族じゃないってだけで、同じ行為な筈なのにめっちゃドキドキするんですけど!
うひゃーって心の中で叫びながら、表面上は何とか取り繕ってフォンセ陛下の腕を取る。
わー、フォンセ陛下が凄く嬉しそうなのが見てすぐ分かるくらいニコニコしてる。
そんなに嬉しそうにされたら、恥ずかしがってるのが馬鹿みたいに思えてくる。
エスコートされるがまま歩いて、辿り着いた部屋で。
「ヘイアン陛下、フォンセが婚約予定者をご紹介したく。謁見を賜りたく存じます」
「……入れ」
私は、それまでの浮かれた感情を全て剥ぎ取られた気がした。
開かれた扉の先の玉座に座るのは、疲れ果てて病人のような老人だった。
明らかに肩で息をしている。見るからに苦しそうな表情をしながらも、寂しそうに微笑んだ。
「その娘が、そうか。ははは、先日の城の騒ぎは中々愉快であった。……お前は、真の花嫁を手に入れられそうなのだな?」
「――はい。大変幸運な事に」
「そうか。……エルシエルと言ったか。
――闇の竜王の務めというのは、他の国の竜王と比べ、遥かに辛く苦しいものだ。
歴代の王は、今の私のように、多くが苦しみの中で王の責務を負ってきた。
……どうか、この若き王を彼の隣で、良く支えてやって欲しい。
その苦痛を、分け合ってやって欲しい……」
それは、魂からの懇願。
「は、はい……」
返事はしたものの……
「(どういう、事……?)」
私達候補者は改めて広間に集められた。
そして私には先に告げられた結果が宰相様から発表される。
リュセ様は悔しげな表情をしながらも何処かホッとしてたし、アリス様は心から安堵の吐息を吐き出していた。
スーザン様は「色々修行不足を思い知らされたよ」とさっぱり笑っていたけれど。
「明日、光の国へお送りする竜便を手配しております。今日の内に荷物をまとめておいて下さい」
そして。
「エルシエル様には、現竜王陛下へご報告のため、新竜王陛下フォンセ様と謁見をお願いします」
部屋に戻され、着せ替え人形させられ、正装姿の陛下の前に立たされる。
うっ、美形が着飾って更に美しさが増してて……眩しいです!
全身真っ黒なんだけど、すらっとした体型がさらに引き締まって見えて、けどヒョロっちくは決して見えない筋肉質な身体がいかんなく男の色気を振りまいている。
……鼻血吹かなかった私を誰か褒めて?
しかも、折った肘をエスコートの為に差し出してくれるんです、この美形。
エスコートなんて生まれてこの方父と兄と従兄弟にしかされた事ありませんよ。ええ、初の親族以外のエスコートですよ、これ。
え、親族じゃないってだけで、同じ行為な筈なのにめっちゃドキドキするんですけど!
うひゃーって心の中で叫びながら、表面上は何とか取り繕ってフォンセ陛下の腕を取る。
わー、フォンセ陛下が凄く嬉しそうなのが見てすぐ分かるくらいニコニコしてる。
そんなに嬉しそうにされたら、恥ずかしがってるのが馬鹿みたいに思えてくる。
エスコートされるがまま歩いて、辿り着いた部屋で。
「ヘイアン陛下、フォンセが婚約予定者をご紹介したく。謁見を賜りたく存じます」
「……入れ」
私は、それまでの浮かれた感情を全て剥ぎ取られた気がした。
開かれた扉の先の玉座に座るのは、疲れ果てて病人のような老人だった。
明らかに肩で息をしている。見るからに苦しそうな表情をしながらも、寂しそうに微笑んだ。
「その娘が、そうか。ははは、先日の城の騒ぎは中々愉快であった。……お前は、真の花嫁を手に入れられそうなのだな?」
「――はい。大変幸運な事に」
「そうか。……エルシエルと言ったか。
――闇の竜王の務めというのは、他の国の竜王と比べ、遥かに辛く苦しいものだ。
歴代の王は、今の私のように、多くが苦しみの中で王の責務を負ってきた。
……どうか、この若き王を彼の隣で、良く支えてやって欲しい。
その苦痛を、分け合ってやって欲しい……」
それは、魂からの懇願。
「は、はい……」
返事はしたものの……
「(どういう、事……?)」
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