ローズガーデン

彩世幻夜

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第六章

王家主催の夜会に出席します

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 王家主催の夜会への招待状。

 もう一度言おう。主催のへの招待状だ。

 「夜会用のドレスなんて何年も着てないのに! しかも王家の主催ですってぇ!?」

 そんな物、公爵家のクローゼットに置き去りのままよ!
 私がいなくなった今、とうに捨てられるか売られるかしているだろう。

 「新しくドレスを仕立てないと!」
 それに夜会に出るなら遅くとも前夜までには王都のタウンハウスに入らなければ。

 男爵になった以上は必要だと買ったは良いが、書類だけで決めた屋敷に私はまだ一度も足を踏み入れていなかった。

 「セバスチャン、一月程王都に滞在するわ」

 「……でしたら、前倒しで仕事をして頂かねばなりませんね」

 微笑みながら、セバスチャンは机の上に仕事を積み上げていく。
 山が山脈になる程に。

 「え、これ全部?」
 「いえ、これ以上は乗り切りませんから……済んだものを退けたら追加でお持ちしますよ?」
 「……マジで?」
 「主様、お言葉遣いにお気をつけを」

 鬼……! 羊……ではなく執事の皮を被った鬼だわ、セバスチャン!

 泣きそうになりながら、何とか仕事を片付け、王都へ向かう船に乗り込んだ私は完全にグロッキー状態に成り果てていた。

 しかも、この後タウンハウスに着いたら即座に仕立て屋を呼びドレスを発注する予定になっている。
 つまり採寸地獄と着せ替え人形地獄がダブルで待っているのだ。

 どうにも私はトドメを刺される気がしてならないのだけど、ドレスを作るには相応に時間がかかるものと知っているから、なるべく早くに採寸を終えなければいけないのは分かっているから、そのスケジュールにOKを出した。

 ……けど、せめて一日くらい遅らせても良かったのではと後悔し始めていた。

 「……買って以来さして手入れもしていなかったのだから当然といえば当然なのでしょうけど……これは……」

 屋敷が狭いのは問題ない。
 最低限寝室と食堂、応接間にキッチンと使用人の居室さえあれば良い。
 元は日本の庶民、狭い家には馴染みがある。

 長い事住む家でないのだからなおさらに最低限あれば良くない? って思ってしまうからね。

 けど、思った以上にボロかったのよ。
 掃除でなんとかなるレベルじゃないわ、これ。

 掃除でとりあえずの見栄えはなんとかなっても、今にも抜けそうな床とかは修理を呼ばなきゃ……

 ああ、でも今はドレスのが先か。

 面倒臭さが更に増す。

 そして、ドレスの発注が済んだ私は疲れ切って、かび臭いベッドに倒れ込んだ。

 「とっとと研究所に戻りたい……」
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