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第六章
婚約の打診
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私に与えられた男爵位はあくまで私自身に与えられたもので、世襲は不可能な物だ。
しかし、陛下からの打診には、第四と婚約せよとの文字が見える。
第四とは第四王子、つまりアルトリート様の事。
一代限りの男爵の私では、第四とはいえ王子と婚姻など不可能だ。
それは陛下も当たり前だけど理解していて、一年以内に何か功績を上げるよう要求している。
その功績にかこつけて私を伯爵に上げ、アルトリートを婿に入れたいらしい。
これで襲爵可能な伯爵家を興し、跡継ぎに男爵位を名乗らせれば良い、と陛下は記されているんだけど……
「功績……、功績ねぇ……」
スキルから出したバラを育てる事には今の所成功している。
バラの季節になったら生花の出荷は出来そうだが、何しろ生花はあまり保たない。
やはり主は加工品の方なのだけど、こちらは中々……
スキルで作った品の品質にはまだ及ばないのだ。
失敗作は失敗作でご近所に配ってるんだけど、評判は悪くない。
決して質が悪いわけでなく、むしろ今普通に出回っている物より良い位の出来ではあるんだよね。
ただ、スキル産の品が規格外の良品過ぎて、その差がなかなか埋められない。
「期限は一年、か……。王族の結婚なんて政略結婚が当然とはいえ、アルトリート様は納得しておられるのかしら?」
友人としては悪くないと思うけど。
そして彼はあのアホ王子と比べるのも失礼な程まともな王子様だから、流石にもうあの二の舞はないと信じたいけど。
彼の気持ちは、やはり気になる。
「というか、彼はこの話をもう知っているのかしら……?」
同じ城に居るんだし、まず話を持っていくなら彼からだろうが、まだ条件を満たせるか分からない以上は、正式に候補になれると決まってから話が行く可能性も……
「返事が必要な書状じゃないし、まだ功績を上げられると決まった訳でもないし……後で考えよう」
頭がオーバーヒートしそうになった私はポイとあるかないか分からない未来に悩みを投げ捨て、目の前の仕事に集中する事にした。
何しろ机の上にはまだ書類の山が……
ウジウジ悩んでいる暇なんて私には無いのだ。
そう、そうして忙しいおかげで私はすっかり忘れ去っていたのだ。
あの忌まわしい実家の事を。
一回使用人が私の店とは知らずに訪れた事は忘れてはいなかったけれど、その後に起こる事に頭が回っていなかったのは私のミスだ。
だけどその時の私はそれらに一切気づかず、ひたすら自分の仕事に邁進していたのだ。
その成果か。
陛下の手紙を受け取って半年。
ようやく庶民向けのブランドとして申し分ない品質の商品が市場に出回るようになり。
私は城への招待を受けるのだった。
しかし、陛下からの打診には、第四と婚約せよとの文字が見える。
第四とは第四王子、つまりアルトリート様の事。
一代限りの男爵の私では、第四とはいえ王子と婚姻など不可能だ。
それは陛下も当たり前だけど理解していて、一年以内に何か功績を上げるよう要求している。
その功績にかこつけて私を伯爵に上げ、アルトリートを婿に入れたいらしい。
これで襲爵可能な伯爵家を興し、跡継ぎに男爵位を名乗らせれば良い、と陛下は記されているんだけど……
「功績……、功績ねぇ……」
スキルから出したバラを育てる事には今の所成功している。
バラの季節になったら生花の出荷は出来そうだが、何しろ生花はあまり保たない。
やはり主は加工品の方なのだけど、こちらは中々……
スキルで作った品の品質にはまだ及ばないのだ。
失敗作は失敗作でご近所に配ってるんだけど、評判は悪くない。
決して質が悪いわけでなく、むしろ今普通に出回っている物より良い位の出来ではあるんだよね。
ただ、スキル産の品が規格外の良品過ぎて、その差がなかなか埋められない。
「期限は一年、か……。王族の結婚なんて政略結婚が当然とはいえ、アルトリート様は納得しておられるのかしら?」
友人としては悪くないと思うけど。
そして彼はあのアホ王子と比べるのも失礼な程まともな王子様だから、流石にもうあの二の舞はないと信じたいけど。
彼の気持ちは、やはり気になる。
「というか、彼はこの話をもう知っているのかしら……?」
同じ城に居るんだし、まず話を持っていくなら彼からだろうが、まだ条件を満たせるか分からない以上は、正式に候補になれると決まってから話が行く可能性も……
「返事が必要な書状じゃないし、まだ功績を上げられると決まった訳でもないし……後で考えよう」
頭がオーバーヒートしそうになった私はポイとあるかないか分からない未来に悩みを投げ捨て、目の前の仕事に集中する事にした。
何しろ机の上にはまだ書類の山が……
ウジウジ悩んでいる暇なんて私には無いのだ。
そう、そうして忙しいおかげで私はすっかり忘れ去っていたのだ。
あの忌まわしい実家の事を。
一回使用人が私の店とは知らずに訪れた事は忘れてはいなかったけれど、その後に起こる事に頭が回っていなかったのは私のミスだ。
だけどその時の私はそれらに一切気づかず、ひたすら自分の仕事に邁進していたのだ。
その成果か。
陛下の手紙を受け取って半年。
ようやく庶民向けのブランドとして申し分ない品質の商品が市場に出回るようになり。
私は城への招待を受けるのだった。
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