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第一章
騎士見習いの冷や汗
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王太子殿下に、元婚約者の公爵令嬢を捨てて来いと命じられた日の夜。
たまに馬の休憩を挟むだけで来た次の街。
宿で食事をしていて初めて気付く。
そういや、めし食わせるの忘れてたな、と。
捨てて来る前に衰弱死でもされたら面倒臭え。
仕方なく安いパンを一切れ買って小さな明り取りの窓から放り込んだ。
トイレ?
知ったことか。
我慢できなくなりゃ垂れ流すだろ?
その時の屈辱的な表情が見たくてそのまま放置していた。
……後の掃除?
ンなモン貧民街のガキに小遣いくれてやれば喜んでやるだろ?
だから。
俺は目的地に着いて愕然とする。
「え、ど、どこ行った?」
手足こそ縛ってなかったが、出入り口の鍵は外から閉めてある。
出て行ける訳もないのに。
女の姿は何度見直してもどこにも無い。
いつからだ? どこから?
ずっと確認していなかったせいでそれすら分からない。
すうーっと肝が冷えていくのが分かる。
ヤバイ。これバレたら俺は……!
いや待て、ここに今人は居ない。
ここで指示通り捨てて来たと言えばそれで任務終了だろ?
運悪く他で奴を見かける奴が居ても、他人の空似とか……あるいはしぶとく森から生還しやがったとか言い訳も立つ。
よし、俺はちゃんと仕事した。
今夜は酒呑んで、明日とっとと帰路につこう、そうしよう。
――そして。王太子には無事任務完了の報告が届き、糠喜びする事になるのだ。
そう遠くない未来、果てしなく後悔する事になるとは思いもせずに。
たまに馬の休憩を挟むだけで来た次の街。
宿で食事をしていて初めて気付く。
そういや、めし食わせるの忘れてたな、と。
捨てて来る前に衰弱死でもされたら面倒臭え。
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トイレ?
知ったことか。
我慢できなくなりゃ垂れ流すだろ?
その時の屈辱的な表情が見たくてそのまま放置していた。
……後の掃除?
ンなモン貧民街のガキに小遣いくれてやれば喜んでやるだろ?
だから。
俺は目的地に着いて愕然とする。
「え、ど、どこ行った?」
手足こそ縛ってなかったが、出入り口の鍵は外から閉めてある。
出て行ける訳もないのに。
女の姿は何度見直してもどこにも無い。
いつからだ? どこから?
ずっと確認していなかったせいでそれすら分からない。
すうーっと肝が冷えていくのが分かる。
ヤバイ。これバレたら俺は……!
いや待て、ここに今人は居ない。
ここで指示通り捨てて来たと言えばそれで任務終了だろ?
運悪く他で奴を見かける奴が居ても、他人の空似とか……あるいはしぶとく森から生還しやがったとか言い訳も立つ。
よし、俺はちゃんと仕事した。
今夜は酒呑んで、明日とっとと帰路につこう、そうしよう。
――そして。王太子には無事任務完了の報告が届き、糠喜びする事になるのだ。
そう遠くない未来、果てしなく後悔する事になるとは思いもせずに。
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