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番外編 - 好きな人の攻略法 -
④ 覚悟
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一度話が決まれば、多少貴族らしい面倒な鞘当てこそあるものの、対外的にはトントン拍子に事は進み。
いよいよ出陣の時が迫ってくる。
……あちらにとっては勝ち目の無い戦。とっとと白旗を振れば良いのに、戦うことを決めた王や貴族は安全な城に籠り、敵軍の前に並べたのは徴兵した民兵。
祖国の愚かさに目眩と吐き気を覚えます。
でも、私はその愚かな血を引く者。被害者である彼らの前では泣けません。
それよりも、お馬鹿な元婚約者様のお尻を叩いてお仕置きしなければ。
ヒカルはイマルとカイルに乗り、私はケントと組んでニールに乗って彼らに迫りました。
あのお馬鹿さんは、冒険中ならまだしも人同士の戦場に後方支援担当の人間を連れてきていました。
聖女さんだって、本来なら後方支援専門で、戦いの場に居るべき人じゃありません。
ヒカルは賢者職を持っているからこの場に居られるのに、それが理解できていないご様子。
……あの方は軍を厭うて訓練など一度も顔を出しませんでしたからね。
貴族の男であるなら――しかも魔術師の職を持つなら最低限の指揮は学ぶべきでしたでしょうに。
ケントは故郷の幼なじみだったと言っていた剣士を相手に戦っています。……ならばあの彼はただの村人ですから、学など無くて当然。
しかし、この男は貴族なのです。最低限の教育は仕込まれているはずで、だからその分責任は重いはずなのに、まるでそれを分かっていらっしゃらない。
……というか、あれから丸二年以上経っていると言うのに成長が全く見られません。
ヒカルやケントの努力を目の前で見ていたからこそ、この男の情けなさが際立ちます。
他にもぞろぞろ仲間が居るので少々手こずりはしましたが、こちらはほぼ無傷のまま、勇者パーティーの捕縛に成功。
そのままヘルナイト王国の王城に攻め入りました。
この城にこの中で一番詳しいのは私。……というかむしろ私しか知りませんから、必然的に私が先頭に立って仲間を導くかたちになりました。
……その最中に、私はお父様に正式に爵位を譲っていただき、伯爵家の女当主になりました。
城の制圧後の断罪の場で、王を始め上に居た者達の大半が一掃されたため、国の安定を図るためには早急な舵取り役を立てる必要がありました。
――だから。
私は、お父様に爵位をいただいた時以上の覚悟をもって挑むことにしたのです。
私はこの国に尽くす覚悟で爵位を継ぎましたが、それでもヒカルの様に幸せになりたかったのです。
だから私は、その晩に彼の部屋の扉を叩いたのです。
いよいよ出陣の時が迫ってくる。
……あちらにとっては勝ち目の無い戦。とっとと白旗を振れば良いのに、戦うことを決めた王や貴族は安全な城に籠り、敵軍の前に並べたのは徴兵した民兵。
祖国の愚かさに目眩と吐き気を覚えます。
でも、私はその愚かな血を引く者。被害者である彼らの前では泣けません。
それよりも、お馬鹿な元婚約者様のお尻を叩いてお仕置きしなければ。
ヒカルはイマルとカイルに乗り、私はケントと組んでニールに乗って彼らに迫りました。
あのお馬鹿さんは、冒険中ならまだしも人同士の戦場に後方支援担当の人間を連れてきていました。
聖女さんだって、本来なら後方支援専門で、戦いの場に居るべき人じゃありません。
ヒカルは賢者職を持っているからこの場に居られるのに、それが理解できていないご様子。
……あの方は軍を厭うて訓練など一度も顔を出しませんでしたからね。
貴族の男であるなら――しかも魔術師の職を持つなら最低限の指揮は学ぶべきでしたでしょうに。
ケントは故郷の幼なじみだったと言っていた剣士を相手に戦っています。……ならばあの彼はただの村人ですから、学など無くて当然。
しかし、この男は貴族なのです。最低限の教育は仕込まれているはずで、だからその分責任は重いはずなのに、まるでそれを分かっていらっしゃらない。
……というか、あれから丸二年以上経っていると言うのに成長が全く見られません。
ヒカルやケントの努力を目の前で見ていたからこそ、この男の情けなさが際立ちます。
他にもぞろぞろ仲間が居るので少々手こずりはしましたが、こちらはほぼ無傷のまま、勇者パーティーの捕縛に成功。
そのままヘルナイト王国の王城に攻め入りました。
この城にこの中で一番詳しいのは私。……というかむしろ私しか知りませんから、必然的に私が先頭に立って仲間を導くかたちになりました。
……その最中に、私はお父様に正式に爵位を譲っていただき、伯爵家の女当主になりました。
城の制圧後の断罪の場で、王を始め上に居た者達の大半が一掃されたため、国の安定を図るためには早急な舵取り役を立てる必要がありました。
――だから。
私は、お父様に爵位をいただいた時以上の覚悟をもって挑むことにしたのです。
私はこの国に尽くす覚悟で爵位を継ぎましたが、それでもヒカルの様に幸せになりたかったのです。
だから私は、その晩に彼の部屋の扉を叩いたのです。
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