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ざまぁの対価
15-6 一時休止
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「え、残る……?」
夜会の翌日。
……朝、起きるに起きれなかった私はランチを共にしながらケントの台詞に驚いた。
マリーが残るのは分かっていた。元伯爵から爵位を譲って貰ったからね。これから立て直さなきゃいけない国を抱えて忙しくなるはずの彼女は生き生きとしていたから、ちょっと寂しいけど一生会えないわけじゃないからね。快く送り出すつもりだったんだけど……。
「その……、な、情けない事に逆プロポーズを受けまして……」
真っ赤になって俯くケントがぼそぼそと理由を口にした。
あー、そっか。マリーが押しきったか。最初からもう尻に敷かれちゃってるのね、ケントは……。
「おほほほほ、どちらの式が先になるかしらね?」
俯くケントとは対照的に高笑いをするマリーは心なしか色々と艶々してる。そう、イマルも……。
これは……まさか……
「夕べ、夜会の後でマリーが部屋に来て、酒なんかのませるから……! 夜会の間緊張しっぱなしで、部屋に戻って疲れて油断してたから酔っぱらって……。うう、最低です……。責任とらないと……」
いや、それは確実にマリーが確信犯なだけでしょう。夜に男の部屋を訪ねてお酒飲ませて酔っぱらわせて……って。合意なしに襲われても、女の私でも流石に自業自得としか思えないもの。あーあ、ケントってば真面目だからなぁ……。
「まさかマリーも、とはね……」
「うふふ、だってあなた達を見てたら私も……ってつい思ってしまったんですもの」
「なっ、だからこの間のは誤解だって……!」
「あら、私も……とかこの間は……って……。ではもしかしなくともあなた達も昨夜は……」
「……あ」
し、しまった。やらかした。思いっきり自爆じゃん、私ってば……!
「だが、本格的に奴らの後始末が済むまではお互い行き来は頻繁にあるだろうし、パーティーは一時休止程度で良いだろう」
「……ですわね。一度離脱したイマルもこうして一時復帰してますしね。完全に解散してしまうのはやはり嫌ですもの。名前だけでも残しておきたいですわ」
「ですね。伯爵なのはあくまでマリーで、俺は婿養子扱いになるそうで、直接政治に関わる事は当分なくて……。どちらかというと軍の方に関わる事になりそうですし、何かあったらいつでも声をかけて下さい」
「ああ。……さっき一応黙らせては来たが、まだまだ聖女の件で余計な事を企む連中は沸くだろうから気を付けろよ」
そう。朝起きれなかったのはあくまで私だけで、イマルは朝からどこかで暴れて来たらしいのだ。……詳しい事を教えてくれる気はなさそうなんだけど。
……そして。その翌日。私とイマルはマリーとケントをヘルナイト王国に残し、アルソレスに帰国した。
夜会の翌日。
……朝、起きるに起きれなかった私はランチを共にしながらケントの台詞に驚いた。
マリーが残るのは分かっていた。元伯爵から爵位を譲って貰ったからね。これから立て直さなきゃいけない国を抱えて忙しくなるはずの彼女は生き生きとしていたから、ちょっと寂しいけど一生会えないわけじゃないからね。快く送り出すつもりだったんだけど……。
「その……、な、情けない事に逆プロポーズを受けまして……」
真っ赤になって俯くケントがぼそぼそと理由を口にした。
あー、そっか。マリーが押しきったか。最初からもう尻に敷かれちゃってるのね、ケントは……。
「おほほほほ、どちらの式が先になるかしらね?」
俯くケントとは対照的に高笑いをするマリーは心なしか色々と艶々してる。そう、イマルも……。
これは……まさか……
「夕べ、夜会の後でマリーが部屋に来て、酒なんかのませるから……! 夜会の間緊張しっぱなしで、部屋に戻って疲れて油断してたから酔っぱらって……。うう、最低です……。責任とらないと……」
いや、それは確実にマリーが確信犯なだけでしょう。夜に男の部屋を訪ねてお酒飲ませて酔っぱらわせて……って。合意なしに襲われても、女の私でも流石に自業自得としか思えないもの。あーあ、ケントってば真面目だからなぁ……。
「まさかマリーも、とはね……」
「うふふ、だってあなた達を見てたら私も……ってつい思ってしまったんですもの」
「なっ、だからこの間のは誤解だって……!」
「あら、私も……とかこの間は……って……。ではもしかしなくともあなた達も昨夜は……」
「……あ」
し、しまった。やらかした。思いっきり自爆じゃん、私ってば……!
「だが、本格的に奴らの後始末が済むまではお互い行き来は頻繁にあるだろうし、パーティーは一時休止程度で良いだろう」
「……ですわね。一度離脱したイマルもこうして一時復帰してますしね。完全に解散してしまうのはやはり嫌ですもの。名前だけでも残しておきたいですわ」
「ですね。伯爵なのはあくまでマリーで、俺は婿養子扱いになるそうで、直接政治に関わる事は当分なくて……。どちらかというと軍の方に関わる事になりそうですし、何かあったらいつでも声をかけて下さい」
「ああ。……さっき一応黙らせては来たが、まだまだ聖女の件で余計な事を企む連中は沸くだろうから気を付けろよ」
そう。朝起きれなかったのはあくまで私だけで、イマルは朝からどこかで暴れて来たらしいのだ。……詳しい事を教えてくれる気はなさそうなんだけど。
……そして。その翌日。私とイマルはマリーとケントをヘルナイト王国に残し、アルソレスに帰国した。
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