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ざまぁの対価

15-5 喪女返上しました

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    えーっと。……つまり、それってそういう事だよね!?
    その後もパニックになりそうな思考をなんとか抑えて必死に社交をこなし、ようやくお開きムードになる頃にはぐったりしていた。
    隣でイマルは涼しい顔をしながら私をエスコートしてくれていたけど……。
    会場を後にし、着替え要員が待機している部屋までおくりとどけてくれた後は一人で部屋に戻っていった。
    再び皆様に取り囲まれてドレスを脱がされ髪をほどかれ、メイクを落とされ風呂に放り込まれ……また新たなアロマを塗りたくられた。
    ちょっと一人で考えたいのに、そんな暇なんか全く無くて。
    気付いた時には既に夜着姿にされて彼の部屋の扉の前まで送り届けられていた。……いや、陛下に言って別の部屋を用意して貰おうなんて思ってないけど!    その、心の準備とか色々あるでしょう!?    だって私これまで喪女だったんだよ?    いや、ついこないだ全身を撫でくりまわされたばっかだけど……結局最後まではしなかったんだし……!    経験が……!
    とにかく羞恥とパニックで頭がまともに働かない。
    普段なら無意識にでも当たり前に出来てるはずの呼吸すら意識しないとままならない。
    ……なのに。
    「――聖女様のお部屋はこちらか?」
    「……いえ。あの貴族の娘の部屋と剣士の男の部屋、そして吸血鬼の部屋は記載があるのですが……聖女様の名前がありません。しかし、城の者に尋ねたところ、彼の部屋には夫婦用の寝台があるとの事で」
    等と男達の声が聞こえてくる。
    部屋に居ても面倒に巻き込まれそうだけど、このままここに一人で居るのが見つかると厄介さに拍車がかかりそうで、とっさに部屋の中へと逃げ込んだ。
    「――どうした?」
    ソファーで寝酒を楽しんでいたイマルも風呂上がりのガウン一枚だけ。合わせからのぞく素肌の鎖骨と胸板……既にキャパオーバー寸前の私にとどめを刺すレベルの破壊力があったけど、すぐに扉をノックする音がして、フッと興奮が覚めた。
    イマルも目付きを鋭くして私を支えるように腰に手を回す。
    「このような時間に何用だ?」
     扉を開けないまま、イマルが扉の向こうへと返答を促した。
    「……その、聖女様はそこに居られるのでしょうか?」
    「――その問いの真意は何だ?    聖女に用があるにしても、このような時間に女の部屋を訪ねて来るというのはいささか非常識では?    明日にでも陛下に取り次ぎを願い出れば良い。出直せ」
    「いや、しかし……」
    「聖女様に部屋が支度されていない様で……ご確認に参り……」
    「ほう?    今頃?    この部屋を陛下から割り振られたのはもう三日も前の事だぞ?」
    「ですが……!」
    「うるさい。こちらは陛下公認の婚約者だ。外野に文句を言われる筋合いはない。ましてや就寝前の彼女を他所の男の目に晒してたまるか。とっとと去れ」
    ……何が目的かなんて考えたくもないけど。イマルに断固として断られた彼らは文句を言いながらも去っていった。
   「……で。そんな格好で俺のところに来たからには覚悟は良いんだな?」
    ホッとしたのも束の間、そのまま抱き上げられて寝台へと運ばれ押し倒され。
    あ、と気付いた時にはもう手遅れで。
    ……しっかり大人の階段上らされました。
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