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断罪

14-9 断罪 - 勇者パーティー -

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    「……どうして」
    ぽつりと聖女がこぼす。
    「私は召喚されて、言われた通りにしていただけなのに。どうして貴女はそちら側に居られて、私はこちらで立たされているの!」
    ……だから、昨日説明して上げたのに。理解できなかったの?    頭悪いのこの子?
    あの時着ていた制服の学校は知ってる。私が通うより上のランクの高校だったはずなのに……。あれかな、勉強出来る子と本当に頭の良い子は実は別だって話の良い見本という感じの子なのかな?
    呆れた目で彼女を見れば、
    「ねぇ、貴方達も何か言ってやってよ!」
    と、疲れきった様子の勇者パーティーにすがりついて可愛らしく上目遣いに頼みながら私を指差す。
    「……はぁ。あの時俺が拾ったのがヒカル、お前の方で良かったと今心底思ったよ」
   くつくつと、イマルが嘲笑を彼女に向けながら言う。
    「あの時、ヒカルはきちんと説明していたはずだ。それを理解できなかったか、理解するつもりがないのか、どっちだ?    ……まあ、どちらにせよもし放り出されたのがお前の方だったら、お前は今頃何処かでのたれ死んでただろうが」
    「なっ……!」
    「俺はこの世界の常識も知らない彼女の面倒は見たが、甘やかしたつもりはない。むしろかなり厳しくした」
    「……ええ。それについては私も見ていましたから、事実であると証言致しますわ」
   「それなら俺も。……ついもう少し優しくしてやれって言いたくなるくらいのスパルタでしたよ。でも、ヒカルは必死に努力してそれに付いていこうと必死でした」
    「……同行していた勇者の一人は私をアホな理由で婚約破棄した馬鹿ですから、イマルのような優れた指導者ではなかったのだろう事はお察ししますし、その点は同情致します。無論、召喚されてしまった事自体こちらの不手際である事も。ですから、先程裁かれた者のような刑罰は課されませんわ」
   「ああ。そこはマリー殿の言う通りだ。勇者パーティーにしても、連中が画策した計画に踊らされた事は分かっている、が。国外で騒ぎを起こし混乱を招き、戦争にも参加していた。……あの兵士と同様全くのお咎め無しって訳にはいかない」
    既にイマルとの戦力差と身分差を体に叩き込まれた勇者達はやけに静かだ。
    「聖女殿には国の監視員付きで聖女の仕事をしてもらう。……これはヒカル君にも頼む仕事だ。そして勇者パーティーは聖女殿の護衛を命じる。ああ、ヒカル君の護衛役はイマルに頼もう。……暇があればケント殿にも頼みたいが……まあそれは後でゆっくり話し合うとして――」
   「えっ、それじゃ今までと変わらな――」
   「いや、言っただろう。監視員付きだと。ヒカル君にはそんなの付けないよ。まあ、イマルに報告書は提出させるけど。勿論旅に出る前にはきっちり勉強して貰うし、贅沢は言わせない。――侯爵夫人となるヒカル君にはそれに相応しい旅をして貰うが、な」
    「何で、何でなんで何で……!」
    「その理由は、後でしっかり学んで理解すると良い。……勇者君らもな」
    魔王様は最後にそれだけ言うと、衛兵に指示を出す。
   「――これにて全ての審問は終了した。さあ、その者達も下がらせろ」
    最後まで聖女ちゃんは騒いでいたけど、兵に連れられ部屋を出され、後には静寂が戻る。
    「……さて、ここから本当の面倒ごとになる訳だが。今宵はこれからの労を慮り、ささやかながら夜会を支度させた。一時部屋に下がりゆるりと寛いだ後、宴を楽しまれよ。……そして今後の労苦を共に乗り切る英気を養おうぞ」
    との王のお達しにより、その場は解散されたのだった。
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