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お約束が果たされる時

12-6 ざまぁのお時間です

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    「カイル、負担かけて悪いけど、少しだけ頑張ってね」
    勇者ご一行様をロープで縛り上げみのむし状態にして一纏めにしてカイルの背にくくりつける。
    カイルの負担を少しでも減らすため、イマルが容赦なく彼らの装備を剥ぎ取り、只今の彼らの装備はまさに「ぬののふく」だけ。「ひのきのぼう」さえ無い初期装備すら不備のある状態となっている。
    ただ一人、紅一点の聖女様を除いては。
    彼女だけは武装解除のみで衣服はそのまま、拘束もしていない。
    そのままカイルに乗せている。
    ここからは兵士達の頭上を越えていく必要があるからニールも使えずケントとマリーも武装したままカイルの背に乗っている。
    流石にカイルもキツそうだ。
    「ああ。距離は大したことはない。すぐに着く」
    私達の戦闘中も進軍を続けていた両軍の先頭がそろそろ本格的に戦闘体制に入る。
    その群衆の向こう。
    地平線の先にあの始まりの地、王都が――王城がある。
    カイルはゆっくりとその地へ向けて飛ぶ。
    私達の目は、まだ見えてこないその一点に向けられ、その時を今か今かとはやる気持ちを抑えながら待つ。
    そして。
    私達は王都の門の上空を越え、カイルを王城のとあるバルコニーに横付けし、勇者ご一行を引きずりながら直に乗り込む。
   「……ここは、議会場に一番近い控え室ですの。彼らが必ず議会場に居るとは限りません。……流石に寝室に篭りきりなんて事はないと信じたいですが、執務室や謁見の間に居る可能性もありますが」
    と言うマリーの先導で、その扉の前に立つ。
   「いや、中に人の気配がある。王が居る可能性はまだ五分五分だが、居なければ引きずり出すまでだ」
    イマルが重厚な扉を蹴り開け、いつかの机のように粉微塵に砕く。
    「ひっ、何者!」
    「衛兵は何を!」
     ……ああ、制服を着て武器を持った人は居たけどね?
    人手がなくて本職を戦場に送り出しちゃったんだから、農民のコスプレ兵士なんかとっくに逃げてったからね、助けは来ないよ。
    「……おや、俺の顔さえ覚えてくれてなかったのか」
    「あら、私の顔さえ分からないの?」
    イマルとマリーが薄笑いを浮かべ、まるで国会議事堂の本会議室みたいな議会場に居並ぶ面子を睨み付ける。
    「だが、こいつらの面は流石に覚えているよな?」
    イマルがみのむしさん達を床に転がす。
    「俺はアルソレスで侯爵の位に在る者。――この意味が分かるか?」
    「私はマリー。かつてここに転がる男の婚約者でありこの国の伯爵令嬢だった女ですわ」
    「……そして彼女は、お前達が禁忌の術で無理やりこの世界に召喚したくせにほぼ無一文で放り出した娘だ」
    「勇者パーティーは私達銀の剣の前に破れましたわ。さあ、これらの落とし前をどうつけてくださるのか……楽しみですわね」
    さあ、ざまぁの本番を始めようじゃないか。
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