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ダンジョン村で

8-6 エリアボス

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    「ところで今さらですけど……私達何処へ向かってますの?」
    「何処へ……っていうかエリアボスを探してるのさ」
    大抵のダンジョンに共通するセオリーとしてレンが言うには、各階ごとにまずフロアボスが存在するらしい。これを倒すと次のフロアへの階段が出現するのだ。
    「けど、そのボス部屋に入るのにカギが要る。それを持つのがエリアボスだ」
    ただしこのエリアボス、一体とは限らないらしい。
     「こんな上層階ならそんな強いのは出て来ないし大抵は一体しか居ない。けど、下層にいくにつれボスは強くなるし、複数のカギが必要になったりするんだよ」
    つまり、カギが手に入らないことには次へは進めない。
    「ちなみにエリアボスは倒しても何度でも復活するけど、フロアボスは二度は出現しない。……このフロアボスを倒すと、一瞬でダンジョンを出れる魔法陣と、それを一度だけ起動できるアイテムが出る。――ごく稀に永久式の起動アイテムが出るらしいが、市場に出れば豪邸が変えるような値段が付くのに即売り切れる。今回狙うスキルスコアには及ばないもののかなりのレアアイテムになる。……だから普通の一回だけのアイテムも、上層階のうちは可能な限りは取っておいて、自力で往復するのがセオリーなんだ」
    そしてボスはどちらもそのフロアに居る魔物のユニークや上位個体だそうで。
    「だからこの階のエリアボスは倒すより正直見つける方が大変な気がしてたんだが……案の定だ。最初からこうも歩かされるとはな。このダンジョン、思ってたより厄介かもな」
    口では面倒そうに言うけど、とても好戦的な笑みを浮かべて一点を示した。
   「やっと見つけたぜ」
    それは、このダンジョンで最初に戦った角ウサギの上位種、イッカクウサギ。
    身体は角ウサギより大きくミニ豚くらいのサイズで、イッカク獣みたいな長い角を持つ。
    「見つけるのは大変だったがこんなちっこいウサギ一体狩るくらいなら俺でも楽勝だ」
   「……そうですね、見せ場はお譲りしますわ」
    レンは短剣でその長い角を払い、ウサギの脛椎に刃を突き立て力任せに埋めていく。
   ――まあ、瞬殺である。
   「やっぱり低階層のボスじゃ手応えねぇな」
    「――あ、これがカギですか?」
    その場に残されたのは討伐証明部位と綺麗な石が一つ。
    「そうだ。……けど、今日は思った以上に歩いたから、今日はこの辺で戻ろうぜ」
    「え、もうですか?」
    「ああ。お前らこれが初ダンジョンだろ?    初心者はな、こうして最初の階が楽勝だったからって油断して欲をかいて失敗して死んでくんだ。――下手に調子づく前に一回頭冷やせや」
    ダンジョンを複数知っているレンの忠言を無視して痛い目に合うのも嫌だから、私達は素直に街へ戻り、またしてもソーセージで夕飯を済ませる事になったのだった。
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