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急転直下の激震

6-3 告白

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    どれ程そうしていたんだろう。
    地球の星座だって、都会じゃ光害もあって滅多に見られなくて有名どころしか知らないのに、この世界星座で自分が居る場所を割り出すなんて大航海時代の船乗りみたいなテクを使えるはずもなく。
    時間の経過がいまいち分かり辛い。けど、夕飯を食べに行くつもりで出て来てこれだから、さっきから頻りに腹が鳴る。
    私のすぐ後ろでカイルの手綱を握り、私を抱える様に座るイマルには全部丸聞こえのはず。
    さっきから小刻みに震えているのだって、寒いからじゃないのは間違いない。
    「もうそろそろ着く。――が、飯を食わせてやるのはもう少し待って貰わなきゃならん。取り敢えずこれで誤魔化しとけ」
    口に入れられたのは―― 
    「チョコレート?」
    前に一度、カカオの実モドキが市場に並んでいたのは見たことがあった。店主が遠く南の国から貿易港へ運ばれ、大半は珍しいからと王都へ運ばれたが、その一部を必死に競り落として来たんだと熱~く語ってくれた。
    ……値札を見て気絶したくなったけど。
   「ちょ、これどこで……!    いくらしたんですか……!」
    少なくとも日本のように気軽に買える値段じゃない事だけは間違いない。
    「まあ、餞別だとでも思ってくれ」
     ……何だろう、さっきからどうもイマルの台詞の端々に私達から離れて行くつもりみたいな事を口にする。
    いやまあ、彼の実力的にはウチのパーティーに居るのがおかしいんだけど、それでも居心地良さそうにはしてたと思ったのに……?
    「……見えたな」
    ああ。星が瞬く夜空と違って闇に覆われた大地に、ふわりと浮かぶ光の塊。――街だ。
    どうやらあそこが目的地らしい。
    ふわりと門の前に降りるカイル。
    「お待ちしておりました、イマル閣下……!」
    すると、兵士らしい格好をした男の人達がわらわらと駆け寄って来る。
    「馬車の仕度は整っております!    さあどうぞ!」
    「ああ」
    カイルを戻し、彼らが扉を開けた馬車へと私をしてくれる、イマル。
    そう、だ。手を引かれるんじゃない。……私はお嬢様じゃないから、そんなの知らないけど、でもこれは……違う。
    パタンと扉が閉まり、御者が鞭を振るう音がして馬車が走り出す。
    窓のカーテンに遮られ、外の風景は見えないけど。
    「イマル……さん。これは一体……。貴方は……」
    「俺は、ヘルナイト王国のとある田舎で生まれた村人。それに嘘はない」
    彼はこちらを見ずに答える。
    「ただ、それが全てでもない」
    静かに、淡々と。
    「――俺は、人間じゃない」
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