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幕間② - ある日の一幕 -

小話②:(元)お嬢様は見た! - マリー視点 -

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    私、見てしまいましたの。
    その日の昼、私は小腹を満たすべくいずこかの飲食店にお邪魔するべく広場に出掛けたのです。
    ケントは冒険者ギルドの修練場に自主練に行くと言って出掛けましたし、イマルとヒカルさんは各講習の登録に行くと行っていましたので、私一人暇でしたしね。
    ケントと自主練習も悪くなかったのですけど……。
    ヒカルさんのお食事は、彼女の故郷の味に似せたと言う、珍しいお料理が多く、どれも美味しいのですけれど……少々量が物足りないのです。
    無論、彼女が忙しくしているのは存じておりますし、料理が仕事の料理人で無いことも理解しておりますわ。その上で彼女が可能な限りの量を用意して下さっていることも。
    だから私、彼女に文句を言ったことはございませんわ。むしろ味については誉め言葉さえ自然と出てくる程美味しいのですもの!
    ……ええ。無論屋敷の料理人が作る様な料理とはまた別物ではありますけれど。
    でも、やはりたまには一人でたらふく食べたい欲求には勝てず、こうして良さそうな店を見繕っているのですわ。
    予算は当然私の財布から。
    ……な~んて、そのつもりだったんですけどね?
    ふふふ、もっと美味なモノを見付けてしまったのですわ!
    ええ、先の話からイマルとヒカルさんが一緒に居る事は知っていましたけどね?
    あれは……違いますわよね、明らかに!
    少なくともイマルは確信犯ですわ!
    あれは……あれは間違いなくデートではありませんか!
    と言うか、何やってますのイマル!?    何かヒカルさんの口に放り込んで……あれは……あ、あそこの菓子屋に並んでいますわね。
    「ちょっとあなた、これ一つ包んで下さるかしら?」
    「へい!    まいどぉ!」
    あら、甘……って、何ですの!    口の中がパチパチしますわ!    道理でヒカルさんが驚いていた訳です。また何か意地悪していたのですね、好きな子苛めなんて子供じゃないのですからいい加減にしないと嫌われますわよ?
    ……と思うのに。あの男、彼女のご機嫌取りがやけに上手いんですわ。
    私も何かと彼には世話になってますけれど……明らかに彼女と扱いが違いますわよね?
    いえ、正直見ていて私、彼にはそういう意味で気に入られたいとは思えなくなりましたけど。
    人としては尊敬致しますし、元婚約者殿とは比べるのも失礼な程優秀で出来た方だとは思いますのよ?    けれど身分とかそういうの抜きにしても……ええ、そういう意味ではアレについていけるヒカルさんを尊敬しますわ。
    ヒカルさんも結婚適齢期ですもの。釣書上なら超優良物件のイマルと相性も良いならとっととくっついてしまえば良いのですわ!
    相談されたら、私、本気で応援致しますわよ!
    ……途中で見失ってしまいましたけど。
    肉料理の店で満足行くまで食べた後、家に帰ればいつの間にかヒカルさんがイマルを呼び捨てていますわね……?
    問いただせば……あのパチパチするお菓子で意地悪されてたのはこの事だった様で。
    あの男……。
    彼だけはズルいと言って、私も晴れてお互い名前呼び捨てで合意しましたわ!
    これで普通のお友達みたいに呼び合えますもの。
    イマルはちょっと面白くなさそうな顔をしてましたけど……ね。
    いい大人なんだから、もうちょっとやり方考えなさいな、って耳打ちしたらしかめっ面になりましたわ。
    ほほほほほ、これでしばらく娯楽に困りませんわね!
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