上 下
110 / 125
第二章

スパでの一時(女性編)

しおりを挟む
 「うわぁ、流石です……」

 女性騎士のルイーゼさんは、脱いだらすごかった。
 胸はどちらかと言えばささやかな方だったが、きっちり鍛え上げられた腹筋に、上腕二頭筋。
 それでいて男性のものとは異なる曲線ライン。
 特にキュッと引き締まったお尻から太もものラインなど、同性のはずのシャリーでさえついついゴクリと唾液を飲み込んでしまう程。

 ミルフィちゃんは……、うん、典型的な幼女体型。まぁ、可愛いよね。
 けどアジア人にありがちな蒙古斑はない。

 リストバンド仕様になった更衣室のロッカーの鍵を左腕に嵌め、シャリーは3人連れ立って浴場のドアを開けた。

 換気はよくされていて、いきなり湯気に襲われるなんて事はなかったけれど、日替わりの“変わり湯”に浮かぶ柑橘系の果実の爽やかな香りが室内に漂っていた。

 「わー、いい匂いする!」
 きゃっきゃとはしゃぐミルフィちゃんを連れて、まずはシャワーブースに向かう。
 「お風呂入る前に体を洗わないとね」

 ブース毎に備え付けられたシャンプーにリンス、洗顔にボディーソープで自分とミルフィを、頭から順に顔、体と洗い流していく。
 ……おぉ、ルイーゼさん、なかなか豪快な洗いっぷりだ。というか早いな!

 一通り洗い終えたら、早速いくつもある湯船から、一番空いている一番広い湯船に身体を沈める。
 「あー、気持ち良い……」

 ああ、やっぱり湯ぶねに足伸ばして浸かれるって良い……。

 その後変わり湯や外の露天風呂を楽しみ。
 サウナは……
 「暑いよぅ……」
 うん、まぁミルフィちゃんにはまだ早いわな。

 興味本位で入ったはいいけどすぐにギブアップを宣言したミルフィちゃん。

 お風呂を楽しんだ後は、アカスリやマッサージを満喫する。

 ミルフィちゃんは早々に飽き、ルイーゼさんと交代で面倒を見つつリラクゼーションを楽しむ。

 合間に水分補給に果実水を飲んだり、軽食をつまんだり。

 「たまにはこういう休暇も良いものだな。特にマッサージ。何時もトレーニングの後に筋肉をほぐすとか、そういう意味合いのマッサージはよく受けるが、香油やら何やら塗りたくられて肌までこんなにキレイになったのはいつぶりだろう……」
 ルイーゼさんも意外に楽しんでいた。

 「私の隊の女性は居るには居るが、やはり兵舎は圧倒的に男所帯だ。のんびり風呂に入りたがる男も居なくてな。
 一応風呂場は男女分かれてはいるが、時間に追われて取り敢えず汗を流すだけになる時も多いんだ」

 と、愚痴をこぼす。
 まぁ、綺麗好きな男性も中には居るが、ちょっとズボラな男性のが圧倒的に多いだろうし。
 場合によっちゃ変なニオイがしててもお構いなしな男すら存在する。

 そんな中で生活していれば、そりゃ一日オフロでのんびりなんて天国だろう。

 「わたしもおふろすきー! 外のお風呂、気持ちよかったから、最後にもう一回入りたい!」
 「そうね、最後にもう一度汗を流してあがろうか」

 こうして、旅の疲れを一気にリフレッシュした私達はルンルン気分で宿へと帰るのだった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね

いくみ
ファンタジー
パトリシアは卒業パーティーで婚約者の王子から婚約破棄を言い渡される。 しかし、これは、本人が待ちに待った結果である。さぁこれからどうやって私の13年を返して貰いましょうか。 覚悟して下さいませ王子様! 転生者嘗めないで下さいね。 追記 すみません短編予定でしたが、長くなりそうなので長編に変更させて頂きます。 モフモフも、追加させて頂きます。 よろしくお願いいたします。 カクヨム様でも連載を始めました。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

処理中です...