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第二章

初の屋台営業の勝敗は……?

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 客席側に長く伸ばしたテント屋根の先にのれんを出し、いざ営業開始。

 今回はテイクアウトではなくその場で食べて行って貰うシステムだ。
 その事の説明係と客の整理をレストに任せ、私はいつも通り調理に専念する。

 「ほーう、天津飯ねぇ? 聞いたことの無い料理だな。美味いかどうか、話の種に丁度良い。不味かったら正直に不味かったって宣伝してやる。この町の飯屋は他の街に比べてレベルが高い。その分辛口評価になるぜ?」

 「望むところです。それで、ご注文は何になさいますか?」
 「そうだな、一番誤魔化しの効かなそうなシンプルなやつを頼むぜ」

 今日の最初の注文はシンプル、か……。

 「シンプル一人前でよろしかったですか?」
 「おうよ」
 「では、少々お待ちを」

 中華鍋とフライパンを火にかけ、中華鍋ではチャーハンを。フライパンではオムレツを作る。

 チャーハンにも卵にもカニ出汁を少ーし入れている。
 シンプルでもあんに蟹身が浮いてないだけで、カニ風味の天津飯に仕上がる。

 チャーハンを更に盛り付け、上にオムレツを乗せて中央に包丁を入れると、ふわとろ卵がチャーハンを包むように広がり。

 そこに、前世ではそれが苦手と言う人が多かった為、酸味を抑えて作った特性のあんをかける。
 トッピングに卵の上にグリーンピースを数粒散らせば……これで今回のシンプル天津飯は出来上がり。

 「お待ちどうさま、どうぞ召し上がれ」
 「ほう……? 昔隣国で食べた『オムライス』とやらに似ているな」
 「あら、私達の祖国にいらした事が……?」
 「ああ。俺は食材を扱う商家の三男坊でね。今は家を出て自警団に所属してるが、まだ子供……っつってもンな幼い子供でもない、成人間近って頃にはあちこち仕入れに付き合わされたんだよ。
 そん時に、な」

 確かに、天津飯って中華風オムライスと言えなくもない料理よね。

 お喋りしてる間に、彼はレンゲで卵を崩し、あんと炒飯と共に頬張る。
 まず一噛み、一瞬目を見開き、そこからもぐもぐと無言で咀嚼し飲み込む。
 次にあんのみすくって味わい、次にチャーハンのみ味わい、そしてもう一度全て一緒に頬張り、ゆっくり味わいながら咀嚼し、飲み込む。

 「……美味い、な。確かに飯を卵で包んでる所はオムライスそのものだが、飯もあんもあれとは全く別物だ。
 チャーハンも美味いが、これだけだと不味いとは言わないが、正直この町の店のが確実に美味い。俺はそう宣伝しただろう。
 が、このあんと一緒に食べるとこれが美味くて止まらなくなる。
 この町の飯屋で出すただチャーハンより美味くなる。
 しかもこの卵がいい仕事してやがる。
 いや、マジで美味いよこれ」

 と、大絶賛され。
 その様子を見たお客さんが次々来店してくださる。

 ふふふ、ありがとうございます!
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