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第二章
やっぱり中華は美味しい。
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まず一つ。お箸でつまんで。
醤油に酢を垂らしたタレにとぷんと浸けて、ぱくりと頬張る……前に息を吹きかけ少し冷まして――
「うっま、この餃子大当たりだわ」
羽がパリッと、噛んだ瞬間中から肉汁が溢れてタレの味と相まって、どうにも白飯が欲しくなるけど。
「……ちょっと、我慢しないと」
今日はラーメンを頼んだので。
ラーメン✕白飯という、炭水化物✕炭水化物という悪魔の誘惑には屈しないのだ、私は……。
しかし、ついつい箸は次の餃子に伸びる。
ああ、美味しい……、幸せ……
「あい、お待ち! ラーメンだよ」
「はい、わたしです!」
「熱いから気をつけて食べな」
「ありがとうございます」
それは。まさに昔ながらの中華そば、という雰囲気の醤油ラーメン。
乗ってる具材はチャーシューに煮卵、ノリとほうれん草。
……日本にいた頃には超こってり系のラーメンが好きで、家系の系列店によく足を運んだものだけど。
あの濃いスープとは全く似ていない、澄んだ茶色いスープを、まずはレンゲですくって一口。
「わぁ、すごいあっさり」
家系好きとしてはちょいと物足りない気もしなくもないが、なにせこの世界に生まれて初めてのラーメン。
その感動が、スープの味をより引き立てる。
実に美味しい。
「お待ち、餡かけ焼きそばと中華丼だよ」
お、レストとミルフィの分も来たね。
「ほう、美味いな。……しかしシャリーは麺を食べるのが上手いな? どうやっているんだ、それは」
あ、やっぱり。レストは麺を啜るスキルをお持ちでないらしい。
麺を箸で手繰るように食べている。
……ちょっと食べづらそう。
けど、味は良かったようで。
口に入れてしまえば後は味わうだけと言わんばかりに咀嚼し、普段以上に口数が減った。
ミルフィちゃんも、レンゲでご飯をすくう。
「おいしー!」
「くぅ、餃子は美味いがやっぱ飯がほしいぜ……」
「はは、遅くなって悪いね、お待ちどう、炒飯だよ」
「おおっ、ありがとうございます! いただきます!」
こちらもレンゲを手に取り、ネギや卵と共に米を口いっぱいに頬張る。
「う、美味い。何だろうこの味、醤油? 塩? だけじゃないのは分かるけど、これっていう候補が浮かばねぇ」
「ちょっと味見して良い?」
「……ならそっちもちょっとよこせ」
「あー、これオイスターソースかな。あと鶏がら出汁。あとは具材のチャーシューがいい仕事してるわね。卵の塩加減もいいし、見事に米はパラッパラ。美味しいわ、これ」
たかがチャーハン、されどチャーハン。
ベースはシンプルな料理ながらアレンジは数多く存在する。
作るのは簡単だけど、本当に美味しいチャーハンを作るのはなかなか難しいのに。
「この店、大正解だったわね」
醤油に酢を垂らしたタレにとぷんと浸けて、ぱくりと頬張る……前に息を吹きかけ少し冷まして――
「うっま、この餃子大当たりだわ」
羽がパリッと、噛んだ瞬間中から肉汁が溢れてタレの味と相まって、どうにも白飯が欲しくなるけど。
「……ちょっと、我慢しないと」
今日はラーメンを頼んだので。
ラーメン✕白飯という、炭水化物✕炭水化物という悪魔の誘惑には屈しないのだ、私は……。
しかし、ついつい箸は次の餃子に伸びる。
ああ、美味しい……、幸せ……
「あい、お待ち! ラーメンだよ」
「はい、わたしです!」
「熱いから気をつけて食べな」
「ありがとうございます」
それは。まさに昔ながらの中華そば、という雰囲気の醤油ラーメン。
乗ってる具材はチャーシューに煮卵、ノリとほうれん草。
……日本にいた頃には超こってり系のラーメンが好きで、家系の系列店によく足を運んだものだけど。
あの濃いスープとは全く似ていない、澄んだ茶色いスープを、まずはレンゲですくって一口。
「わぁ、すごいあっさり」
家系好きとしてはちょいと物足りない気もしなくもないが、なにせこの世界に生まれて初めてのラーメン。
その感動が、スープの味をより引き立てる。
実に美味しい。
「お待ち、餡かけ焼きそばと中華丼だよ」
お、レストとミルフィの分も来たね。
「ほう、美味いな。……しかしシャリーは麺を食べるのが上手いな? どうやっているんだ、それは」
あ、やっぱり。レストは麺を啜るスキルをお持ちでないらしい。
麺を箸で手繰るように食べている。
……ちょっと食べづらそう。
けど、味は良かったようで。
口に入れてしまえば後は味わうだけと言わんばかりに咀嚼し、普段以上に口数が減った。
ミルフィちゃんも、レンゲでご飯をすくう。
「おいしー!」
「くぅ、餃子は美味いがやっぱ飯がほしいぜ……」
「はは、遅くなって悪いね、お待ちどう、炒飯だよ」
「おおっ、ありがとうございます! いただきます!」
こちらもレンゲを手に取り、ネギや卵と共に米を口いっぱいに頬張る。
「う、美味い。何だろうこの味、醤油? 塩? だけじゃないのは分かるけど、これっていう候補が浮かばねぇ」
「ちょっと味見して良い?」
「……ならそっちもちょっとよこせ」
「あー、これオイスターソースかな。あと鶏がら出汁。あとは具材のチャーシューがいい仕事してるわね。卵の塩加減もいいし、見事に米はパラッパラ。美味しいわ、これ」
たかがチャーハン、されどチャーハン。
ベースはシンプルな料理ながらアレンジは数多く存在する。
作るのは簡単だけど、本当に美味しいチャーハンを作るのはなかなか難しいのに。
「この店、大正解だったわね」
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