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第二章
山の中の一軒家のお約束。
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果たして。今どきの若い人にコレが通じるのか少々不安なのですが。
私がまだ日本人だった頃、三時のおやつを少し過ぎた頃合いに、再放送していたのですよ、某水戸の御老公が主人公の時代劇。
アレに登場するような、絵に描いたようなお茶屋ですよ?
うっかり八兵衛あたりが喜び勇んでお団子頼みに行きそうな……
「何か良い匂いする! 食べ物屋っぽい……、あのー、すみませ~ん!」
あ、あのお馬鹿! 行った! 行きやがった!
いや、これが時代劇的なお約束で美人の看板娘がお茶を持って微笑みながら「いらっしゃいませ」してくれる店なら良いんだけどね?
こんな山の中の一軒家って、時代劇でなく日本昔話的なお約束だと……
「ふひひ、いらっしゃい……」
「……、ぎ、」
あ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
恥も外聞も、礼儀すらなく大声で悲鳴を上げるロイス。
出てきたのは美人な看板娘ではなく老婆。
手に持っているのは刃物ではなくお茶だけど……、
お世辞にも可愛いお婆ちゃんではなく、失礼ながら暗い所で見たら確実に山姥だと思ってしまいそうなお顔……、
「何だい、突然大声を出して。ワシャまだ耳は遠くないんだ、いきなり叫ぶんじゃないよ、小僧!」
「ははは、はい! すみません!」
「んで、お前さんたちは客かい?」
「え、えーと、このお店は……食べ物屋さん、で合ってますか?」
「ああ、茶屋だから大したもんは作っとらんが」
「はい、なら客です! メニューあります?」
「今持ってくるから茶でも飲んでな」
ロイス、凄いな。あのお婆さんと会話が出来てる。
ロイス、恐ろしい子……。
躊躇いなく茶を一気飲みし、むせ返る。
な、すわ毒物か? ここは日本ではなく異世界だし、この世界の山姥はナタではなく毒物攻撃を得意とするのか!?
「な、これ、茶? よく見りゃ緑色してるし……」
「ああん? 全くつくづく礼儀のなっとらんクソガキだね。そりゃ緑茶だよ、この辺りに住む者なら当たり前に飲む茶さね」
メニューを書いた木札を持ってきた老婆が凄む。……怖い。
けど、つまり飲み慣れない緑茶の味に驚いただけ……?
何と人騒がせな。
まあ、普段紅茶を飲み慣れた舌に、そうと知らずいきなり緑茶を飲めば驚くか……。
お品書き、と書かれた板にはお茶屋らしいお団子や餅菓子の他、せんべいやおむすびやお稲荷もある。
「私は塩むすびとお稲荷一つずつ、食後に草餅下さい」
「なら俺は赤飯を頂こう。食後にせんべい盛り合わせも頼む」
「私はお稲荷さんとお団子食べるー!」
「あいよ、ちょっと待ってな」
「ちょ、待って! 俺の注文……!」
「はん、礼儀のなっとらんガキに食わせるモンは無いよ!」
「すいません! 謝るんで、俺にも飯を……!」
しばらくの問答の後、お婆さんに土下座を教わり必死に謝り倒したロイスは、辛い大根おろしの醤油餅を泣きながら食べていた。
ま、どんまい☆
私がまだ日本人だった頃、三時のおやつを少し過ぎた頃合いに、再放送していたのですよ、某水戸の御老公が主人公の時代劇。
アレに登場するような、絵に描いたようなお茶屋ですよ?
うっかり八兵衛あたりが喜び勇んでお団子頼みに行きそうな……
「何か良い匂いする! 食べ物屋っぽい……、あのー、すみませ~ん!」
あ、あのお馬鹿! 行った! 行きやがった!
いや、これが時代劇的なお約束で美人の看板娘がお茶を持って微笑みながら「いらっしゃいませ」してくれる店なら良いんだけどね?
こんな山の中の一軒家って、時代劇でなく日本昔話的なお約束だと……
「ふひひ、いらっしゃい……」
「……、ぎ、」
あ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
恥も外聞も、礼儀すらなく大声で悲鳴を上げるロイス。
出てきたのは美人な看板娘ではなく老婆。
手に持っているのは刃物ではなくお茶だけど……、
お世辞にも可愛いお婆ちゃんではなく、失礼ながら暗い所で見たら確実に山姥だと思ってしまいそうなお顔……、
「何だい、突然大声を出して。ワシャまだ耳は遠くないんだ、いきなり叫ぶんじゃないよ、小僧!」
「ははは、はい! すみません!」
「んで、お前さんたちは客かい?」
「え、えーと、このお店は……食べ物屋さん、で合ってますか?」
「ああ、茶屋だから大したもんは作っとらんが」
「はい、なら客です! メニューあります?」
「今持ってくるから茶でも飲んでな」
ロイス、凄いな。あのお婆さんと会話が出来てる。
ロイス、恐ろしい子……。
躊躇いなく茶を一気飲みし、むせ返る。
な、すわ毒物か? ここは日本ではなく異世界だし、この世界の山姥はナタではなく毒物攻撃を得意とするのか!?
「な、これ、茶? よく見りゃ緑色してるし……」
「ああん? 全くつくづく礼儀のなっとらんクソガキだね。そりゃ緑茶だよ、この辺りに住む者なら当たり前に飲む茶さね」
メニューを書いた木札を持ってきた老婆が凄む。……怖い。
けど、つまり飲み慣れない緑茶の味に驚いただけ……?
何と人騒がせな。
まあ、普段紅茶を飲み慣れた舌に、そうと知らずいきなり緑茶を飲めば驚くか……。
お品書き、と書かれた板にはお茶屋らしいお団子や餅菓子の他、せんべいやおむすびやお稲荷もある。
「私は塩むすびとお稲荷一つずつ、食後に草餅下さい」
「なら俺は赤飯を頂こう。食後にせんべい盛り合わせも頼む」
「私はお稲荷さんとお団子食べるー!」
「あいよ、ちょっと待ってな」
「ちょ、待って! 俺の注文……!」
「はん、礼儀のなっとらんガキに食わせるモンは無いよ!」
「すいません! 謝るんで、俺にも飯を……!」
しばらくの問答の後、お婆さんに土下座を教わり必死に謝り倒したロイスは、辛い大根おろしの醤油餅を泣きながら食べていた。
ま、どんまい☆
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