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第一章
次の旅、次の未来へ
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「……では、今回の収支の勝敗を発表します」
「まぁ、手応えとして大体は分かってるけどな」
「げふん。えー、結果としましては、バッチリ黒字、利益もがっつり出てます。ウチの店単体の売上としたら大勝利です!」
勿論この街で長いこと店をやってる所と比較すればまだまだヒヨッ子の背伸びレベルかもしれないけど。
それでも私達からすれば、確かな足跡を残せたという実績に他ならず。
つまりは、大勝利と言って良いだろう。
「よっしゃ、なら今夜は打ち上げだな! ちょっと奮発しようぜ」
そして、選んだのは天ぷらのお店。
新鮮な魚介や野菜を揚げ、お塩や天つゆでいただきつつ、お酒や白飯をいただくスタイル。
だけど、日本の銀座の名店的な敷居の高い店ではなく、むしろ大衆向けの焼き鳥屋のノリがある、そんな店で。
「それで、次はどうするんだ?」
そう、ここは当初考えていた終着地。
ゴールしてしまったからには、また新たなゴールを定めスタートを決めなければいけない。
場所のみならず、商売の目標も。
「というかね、私的な屋台料理って、何かコレじゃないのよね……」
これまで上手く行ってきた私達の商売は、基本テイクアウト。
買った客がその場で食べるも、食べ歩きをするも、お持ち帰りした先で食べるもご自由に、というスタイルだった。
確かにそういうスタイルの屋台も、日本ではスタンダードだった。
でも、私のイメージからすると、日本は九州福岡は博多天神の屋台。
それは、テイクアウトではなく、その場で調理し、その場で飲んで食べて、一期一会の出会いと会話を楽しむ。
そんなスタイルの商売。
「つまり、あの寿司屋みたいな?」
「そうね、あれが近いわね」
これまで予算に余裕もなかったから、負けない、できる限り勝てる勝負ばかりしてきた。
「でも、ここまでで資金に余裕は大分出来たと思うの」
だから。
私の夢は……
「もっともっと従業員を増やして、屋台も増やして、各地を回る。そんな商会を立ち上げるのよ!」
「だったらもっと稼がないとな?」
「ならば、自らを磨くためにも、王都に向かうのはどうだ? やはりどんな物も良いものは都に集まるものだ。一部の生鮮食品を除けば、だかな」
「そういうのは旅の途中に立ち寄って拾えば良くね?」
と。トントン拍子に事は決まっていく。
将来はともかく、今の私達は小回りの利く極小商会なのだし、まぁそれで……良いのか? ……良いか。
そう、結局私達の旅はこれからも続いていく。それだけの話なのだから。
「まぁ、手応えとして大体は分かってるけどな」
「げふん。えー、結果としましては、バッチリ黒字、利益もがっつり出てます。ウチの店単体の売上としたら大勝利です!」
勿論この街で長いこと店をやってる所と比較すればまだまだヒヨッ子の背伸びレベルかもしれないけど。
それでも私達からすれば、確かな足跡を残せたという実績に他ならず。
つまりは、大勝利と言って良いだろう。
「よっしゃ、なら今夜は打ち上げだな! ちょっと奮発しようぜ」
そして、選んだのは天ぷらのお店。
新鮮な魚介や野菜を揚げ、お塩や天つゆでいただきつつ、お酒や白飯をいただくスタイル。
だけど、日本の銀座の名店的な敷居の高い店ではなく、むしろ大衆向けの焼き鳥屋のノリがある、そんな店で。
「それで、次はどうするんだ?」
そう、ここは当初考えていた終着地。
ゴールしてしまったからには、また新たなゴールを定めスタートを決めなければいけない。
場所のみならず、商売の目標も。
「というかね、私的な屋台料理って、何かコレじゃないのよね……」
これまで上手く行ってきた私達の商売は、基本テイクアウト。
買った客がその場で食べるも、食べ歩きをするも、お持ち帰りした先で食べるもご自由に、というスタイルだった。
確かにそういうスタイルの屋台も、日本ではスタンダードだった。
でも、私のイメージからすると、日本は九州福岡は博多天神の屋台。
それは、テイクアウトではなく、その場で調理し、その場で飲んで食べて、一期一会の出会いと会話を楽しむ。
そんなスタイルの商売。
「つまり、あの寿司屋みたいな?」
「そうね、あれが近いわね」
これまで予算に余裕もなかったから、負けない、できる限り勝てる勝負ばかりしてきた。
「でも、ここまでで資金に余裕は大分出来たと思うの」
だから。
私の夢は……
「もっともっと従業員を増やして、屋台も増やして、各地を回る。そんな商会を立ち上げるのよ!」
「だったらもっと稼がないとな?」
「ならば、自らを磨くためにも、王都に向かうのはどうだ? やはりどんな物も良いものは都に集まるものだ。一部の生鮮食品を除けば、だかな」
「そういうのは旅の途中に立ち寄って拾えば良くね?」
と。トントン拍子に事は決まっていく。
将来はともかく、今の私達は小回りの利く極小商会なのだし、まぁそれで……良いのか? ……良いか。
そう、結局私達の旅はこれからも続いていく。それだけの話なのだから。
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