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魔王対策

是正勧告決議案

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    そして。
    エルシー国にまた各国の代表が集う。
    この様な短期の間に何度も会議が開かれるというのは千年近い歴史の中でも非常に稀なことであり、故に、各国それぞれピリピリしていた。
    あ、ウチの国の扱いは初回に比べたらまぁ改善はされてました。……が。数多ある国々の中じゃせいぜい中の下といった扱いだったけど。
    そこで議題に挙げられたのが、神殿に下された神託の発表と、その神託内容についての議論。
    即ち――
   「前々から少々問題だとは思っていたが……」
   「自国内、あるいは周辺国で何とか自浄してれる事を期待し待っていたのだが」
   「この度、神託により是正を勧められた。……故に、我らはこの会議の決議を以て、対処に乗り出す事と事前の議会で決定しておる」
    そこで幾つかの事が決まった。
    期限付きで制度改革などの対策を命じる事。期限内にある程度効果のある政策を打ち出せなかった場合は、周辺国総出で圧力をかける事。それでも足りなければエルシー国のエリート神官様が直々に出向いて指導する事。
     ……ここまで来ると先五十年から百年はその国々はエルシー国の属国同然の扱いになる。
    そしてそれでも押さえ込めなければ、エルシーの軍勢が出て、各国が地図から消えることになるのだ。
    それが出来てしまう国だからこそ、エルシー国は各国から一目置かれるのだ。
    ……だけど。
    私には懸念があった。
    対策に乗り出せば、どんな形にせよそう遠くない未來にかの土地は平和になるだろう。……が。そうなるまでの間には少なくない混乱が起きるのは致し方のない事、だ。   
    そんな混乱の最中に一番しわ寄せが行くのは立場の弱い者。……それこそかつてのレイフレッドの様な。
    私が拾わなければ魔王になっていたというのが本当であるなら、ただでさえ危険エリアなのに、そこでより邪気が高まれば。
    「改革を命じるのと同時に、救済案も検討すべきかと」
    だから私はそう提案したんだけど。
    ……どうやら神々は魔王うんちゃらの説明はまるっとすっ飛ばし、ただ件のエリアの状態が気に食わんと言っただけであったらしい。
    だから、やりたいなら各自で好きにやれば良い、エルシー国は関わらないと言われて終わってしまった。
    自国に影響があるならまだしも、そうでないなら、見返りの見込めない慈善事業に国庫を開ける気のない国が大半なのは……まぁ仕方の無いことなんだろう。
    流石に周辺国は、難民が増えたり盗賊などのチンピラ被害も予想出来ることから多少の援助はもぎ取れたけど、ウチの商会主導なのは決定事項となってしまったのだった。
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