唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

魔王対策

無人島で海水浴！

    「おー、なんつーか絵に描いた様な南国の無人島だな」
    と、カイルが呆れるくらい、そこはとても快適な島だった。
     三日月の形の島の内側の、湾の形をした浜は白く綺麗な砂浜ビーチ。
     その浜を囲むように、南国フルーツの木々が生え、カラフルな鳥や可愛い小動物が、興味深げにこちらを影から眺めている。
    その白い砂浜にテントを張り、ビーチパラソルやレジャーシートにテーブルセット等々用意し、バーベキューの支度を整え、ウチの料理人にレシピを、給仕のメイドや執事にマニュアルを渡して後はお任せする。
    後はそれぞれのタイミングで遊び、舌を楽しませれば良い。
    勿論日焼け止めオイル塗りや、筋肉痛防止のマッサージ係も抜かりなく用意している。
    無人島だけど、しっかりバカンス出来る環境は整えた。
    そして船に繋がる空間で、それぞれの場所との行き来も可能。
    この半年度々仕事しに城へ帰ってはいたけれど、建前上は国に居ない事になっている私達が表の仕事をする訳にはいかず、その分の負担がずっしりのしかかっていた宰相を始め、重臣及びその家族と商会幹部関係者もお呼びしてのイベントとなった。
     新鮮な魚介に肉、野菜を使った野外料理の匂いを気にしつつ、ビーチバレーやビーチフラッグに熱くなる者も、普通に海水浴を楽しむ者、ボート遊びをする者と、それぞれに楽しんでもらっている。
    うん。平和って良いよね。
    こうしてダラダラ出来るのってある意味贅沢な事だよね？
    プカプカ浮かぶ巨大浮き輪に寝転がる。まぶしい太陽は風船のようにふわふわと浮かぶ魔道具パラソルで遮り日陰を作っている。
    潮風にうっかり飛ばされないようきっちり浮き輪に紐をくくりつけてるからね。
    程よい潮風が心地良い、絶好のお昼寝スポットになってますよ。……流石に熟睡してしまっては潮の流れに乗ってどこまで流されてしまうか分からないから、うとうとと浅くうたた寝程度ではあるけど、それがまた気持ち良いのだ。
    ちなみにレイフレッドは……。あぁ、メイド達をはじめとする女の子達にめっちゃ注目されてる……。
    ムキムキマッチョじゃないけど、鍛えているからね、良い身体してるのよね、子供の居るおっさんには見えないくらいに。
    私は日々愛でてるけど、半裸姿なんて早々目にすることはない彼女達には目の保養扱いされて戸惑っているらしい。
     ……仕方ない、逃がしてやるか。
     レイフレッドに来い来いと手招きしてやると、助かったとばかりに微笑み、さっさと海に入って泳ぎだしたのだった。