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魔王対策

水の国

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    仕事に忙殺されながらも船は進み。
    二日後には次の国の港が見えてきた。
    この国は海に注ぐ大河とその上流には琵琶湖の倍はありそうな巨大湖と、そこに注ぐ雪山からの小川が無数に存在し、水の都――ならぬ水の国と言われるほど水資源が豊富で、海水魚・淡水魚などの水産物の養殖業や農業が盛んな国だけど、その分水害も多い国だけあって、治水に役立ちそうな技術は積極的に取り入れる国でもある。
    故に。国際会議中にはあまり興味のなかったウチの国の噂を後に聞き付け興味を持っていたらしい。
    港で入国の手続きをお願いしたら、即座に王との会談を提案された。
    ……これからこの国を回ろうというのにその王の機嫌を損ねるのは避けたい。
    そう思って招待を受けた席で、ウチの国の治水の技術について聞かれ、その訳を聞かされた。
   「無論、ただでとは言わん。金を払う用意はあるし、交易も交渉次第で容認しよう」
    まぁ、治水事業は半分は防災対策であり、あるかなしかで人命がかかってくるのだから、対価を払ってくれるのであればこちらに否やはない。
    その場では私が大まかな説明をするだけに留まったけれど、ウチの専門家のこの国での滞在許可と、所謂大使館的な物件を所有する権利をいただいた。
    翌日、早速与えられた物件を拝見。……空間の出入り口を繋ぎました。
    国を回るのに国の役人さんが色々便宜を図ってくれたお陰で仕事もスムーズに済ませる事が出来た。
    「では、お仕事お願いしますね?」
     ……国を出た途端、またしても大量の仕事に出迎えられる。
     次の国に到着するまではまた仕事漬けの日々だ。
    「……これ、内陸の国を回り終わった後の出迎えが今から恐ろしくてならないわ」
    その仕事漬けの日々も、この船なら数日で終わる。
    海沿いの国々を回るのに3ヶ月もかからなかった。
    「内陸の国を回る前に前倒しで仕事してくださいね」
    ……と。外洋に停泊した船と城とを行き来して仕事をこなし。
    私達はこの大陸最大の大河へと船を進め、そして海を持たない国へと降り立った。
    その国は、大河という物流に適した土地を生かして工業に力を入れている国だった。
    港近くには大規模な工業団地や倉庫が建ち並び、港に停泊する船の大半が貨物船だ。
    港は主要な街道の終着点で、その街道沿いにも多くの工場があると言う。
    そしてこの国に王はおらず、議会が主となり、国の代表は議員の中から代表が選ばれる。
    日本の総理大臣的な存在が代表らしいが、入国の手続きは非常にお役所仕事的でやたらと手間と時間がかかったが、それ以上の問題もなく。
    国の上層部からの接触もなく、仕事を終えた後はそのままグリフィン車で隣の国への関所を越えたのだった。
    ――あ、一応商会の支部だけは置いてきたけどね!
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