上 下
352 / 370
魔王対策

ちょっと調子に乗り過ぎました。

しおりを挟む
    「――で。アンリ、何か言う事は?」
    「う、ご、ごめんなさい……」
    「……高ランクの冒険者とは聞いていたが――随分と規格外なのだな。突然ドラゴンが空を舞った時には流石に一瞬怯んじまったぜ」
    あ、止めのブレスを受けた鯨は腹出して海上にプカプカ浮かんでます。勿論息絶えたのは確認済み。今兵士さんが人海戦術で解体中で、今夜は鯨肉の焼き肉パーティーの予定……なのですが。
    皆を驚かせてしまったので、現在お説教中です。
   「まぁ、結果的に助かったから良いけどな。……取り敢えずあんたの国と武力で争う未来が来ない様、外交官にはキツく言い聞かせておこう。さて、ではそろそろパーティーの支度を始めさせねばな。大食らい共が暴動を起こしかねん」
    「――お手伝いしますよ」
    「……今度は普通に手伝ってくれると助かる」
    「勿論です」
    こらこらレイフレッドさんや、それはどういう意味かな?
    鯨肉……。日本じゃ散々捕鯨問題がニュースになったりしてたけど……。鯨肉なんて、戦争中の給食メニューだったんだよね?
    どうにもあまり美味しそうなイメージがない。
    無いけど……こいつは魔物だから普通の鯨とも違うし……。肉が焼ける匂いはまぁ美味しそう……ではある。
    「鯨肉か……。俺も飲み屋で馬肉は食ったことあるけど鯨は無いなぁ」
    「いや、だから魔物だから真っ当な鯨じゃないし。聞いたけど、あんな化け物級に大きいのが出たのは初めてらしいけど、普通の軍船で狩れる程度のは今までも出てたってよ。結構な美味らしいよ、あいつの肉。大きくなったせいで大味にさえなってなきゃ期待しても良いんじゃない?」
    「あ、本当だ。美味い。何だろ、とろとろの豚角煮食べてるみたいなのに脂がしつこくなくてさっぱりしてるのに……凄い甘い」
   「これ、焼き肉なんだよね?    煮込み料理じゃないのにこの厚さでこの柔らかさってのも凄いね」
   「魔物とはいえ海の生き物なんだし焼き肉っつーよりは焼き魚って言う方が正しそうだけど……。この食感は魚じゃなく肉なんだよなぁ」
   「そんなのどっちでも良いじゃない、美味しければ!    ……希少な魔物素材でなければ養殖して売りさばきたいくらいの味なのよ!」
    ……我が娘ながら相変わらず商魂逞しい娘である。
    「けど、この味……あの調味料を試してもらいましょうか。これでウケればこの国で売れる商品がまた一つ増えるわ!」
    こうして美味しいお肉でお腹を満たした私達はその翌日、改めて港を離れ次の国を目指して航海を再開する。
    「では、お仕事をお願いしますね?」
    ……たっぷりの仕事と共に。
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件

なかの
ファンタジー
異世界に転生した僕。 そこで与えられたのは、この世界ただ一人だけが持つ、ユニークスキル『スキル合成 - シンセサイズ』だった。 このユニークスキルを武器にこの世界を無双していく。 【web累計100万PV突破!】 著/イラスト なかの

僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。 ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。 『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』 『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』 そんな感じ。 『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。 隔週日曜日に更新予定。

47歳のおじさんが異世界に召喚されたら不動明王に化身して感謝力で無双しまくっちゃう件!

のんたろう
ファンタジー
異世界マーラに召喚された凝流(しこる)は、 ハサンと名を変えて異世界で 聖騎士として生きることを決める。 ここでの世界では 感謝の力が有効と知る。 魔王スマターを倒せ! 不動明王へと化身せよ! 聖騎士ハサン伝説の伝承! 略称は「しなおじ」! 年内書籍化予定!

転生したらチートでした

ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!

元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
最強キャスターズギルド『神聖魔術団』所属のSSSSS級キャスターとして魔王を倒し、英雄としてその名を轟かせたアーク・シュテルクストは人付き合いが苦手な理由でその名前を伏せ、レイナード・アーバンクルスとして引きこもりのニート生活を送っていた。 35歳となったある日、団のメンバーの一人に学園の魔術講師をやってみないかと誘われる。働くという概念がなかったアーク改めレイナードは速攻で拒絶するが、最終的には脅されて魔術講師をする羽目に。 数十年ぶりに外の世界に出たレイナード。そして学園の魔術講師となった彼は様々な経験をすることになる。  注)設定の上で相違点がございましたので第41話の文面を少し修正させていただきました。申し訳ございません!  〇物語開始三行目に新たな描写の追加。  〇物語終盤における登場人物の主人公に対する呼び方「おじさん」→「おばさん」に変更。  8/18 HOTランキング1位をいただくことができました!ありがとうございます!  ファンタジー大賞への投票ありがとうございました!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子
ファンタジー
【旧題】秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ。 【あらすじ】 イケメン魔術師一家の超虚弱体質養女は史上3人目の魔力0人間。 しかし本人はもちろん、通称、魔王と悪魔兄弟(義理家族達)は気にしない。 ついでに魔王と悪魔兄弟は王子達への雷撃も、国王と宰相の頭を燃やしても、凍らせても気にしない。 そんな一家はむしろ互いに愛情過多。 あてられた周りだけ食傷気味。 「でも魔力0だから魔法が使えないって誰が決めたの?」 なんて養女は言う。 今の所、魔法を使った事ないんですけどね。 ただし時々白い獣になって何かしらやらかしている模様。 僕呼びも含めて養女には色々秘密があるけど、令嬢の成長と共に少しずつ明らかになっていく。 一家の望みは表舞台に出る事なく家族でスローライフ……無理じゃないだろうか。 生活にも困らず、むしろ養女はやりたい事をやりたいように、自由に生きているだけで懐が潤いまくり、慰謝料も魔王達がガッポリ回収しては手渡すからか、懐は潤っている。 でもスローなライフは無理っぽい。 __そんなお話。 ※お気に入り登録、コメント、その他色々ありがとうございます。 ※他サイトでも掲載中。 ※1話1600〜2000文字くらいの、下スクロールでサクサク読めるように句読点改行しています。 ※主人公は溺愛されまくりですが、一部を除いて恋愛要素は今のところ無い模様。 ※サブも含めてタイトルのセンスは壊滅的にありません(自分的にしっくりくるまでちょくちょく変更すると思います)。

お妃さま誕生物語

すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。 小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。

処理中です...