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魔王対策

特別仕様

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    翌日。
    私達は改めて教会へと招かれた。
     ――流石に総本山のそこは、他より数倍は広い。
     だから、私達もこの教会に設置する魔道具は特別仕様にして搬入していた。
     ……とはいえ隠している本丸の魔道具は他と何ら変わらない。仕様変更はあくまで偽装用魔道具の方だ。
    本来なら舞台上をメインに彩る魔道具を、この部屋全体をステージに変えるため、偽装の為だけの魔道具を子機として別に制作。本丸と共にセットすれば――
    四方の壁と天井一杯使って、何種かセットした神話が映し出される。……勿論降り注ぐキラキラした光の量も少し多目にしてある。
    「……成る程、悪くはないな」
    それを見た神官達は、不機嫌そうにしつつも取り敢えずは認めてくれたらしい。
    「いいだろう。これを各国に広める栄誉をそなたらに与えよう。尽力致せ」
    随分と上から目線の台詞ではあるが、認められさえすればこちらの勝ちである。
   「承りまして御座います」
    彼らの言い様はムカつくけれど、ここで言い争っても良い事は無いんだから、今は大人になってぐっと文句を喉の奥に押し込め、頭を下げる。
    そしてその翌日。
    私達はさっさとエルシー大陸を後にし、自らの船の中、外洋を悠々と航海していた。
    ……城に戻らなきゃ出来ない仕事でもなければ、船に持ち込んで執務をこなしている。
    城でやっても良いんだけどさ、天気の良い日のオーシャンビューというのは中々に開放的で。
    鬱屈としていた気分を良い具合に晴らしてくれるのだ。
    勿論特別仕様のこの船だからこそともいう。
    ついでに海に居るお陰でお魚料理が食べられるのも良い。
    ウチの商会で魚を扱い、回転寿司を普及させたのは私だけどさ。
    何というか……気分的に、釣りたてのお魚のお刺身は美味しい、って事で。
    なんせウチの国には海がないから、日々の食事は魚より肉や野菜が多目の献立が多い。
    お刺身も食べられなくはないけど。
   「やっぱりたまのお刺身三昧は最高の贅沢だと思うの!」
     毎日食べてりゃそりゃ飽きるけど。
     元日本人として、お刺身は好物だからね。
    「おおう。舟盛りなんて現物は初めて見たぜ。確かにこれは良いな」
    ちゃっちい小舟じゃない。木造の大きな船模型に尾頭付きで盛り付けられた鯛にえんべらからゲソまでキレイにさばかれた透明なイカ。生ダコにウニやイクラに貝にエビ。白身に光り物。マグロにサーモン。
    「いただきます!」
     ――大陸に着き次第また忙しくなるけど。
    今はとにかく美味しい魚に舌鼓を打ち白飯をかきこんでおこうと思う。
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