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魔王対策

カイルの休日

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    「……こんなアクティブに働いた経験なんて、前世含めて初めてだぜ」
    素材採取の旅から帰った日の夜、カイルは汗を流した後で自室の寝台にダイブした。
    「チートだとは思っていたけど、あそこまでとはな……。ちょっと甘く見すぎてた」
    そういえばカイルがこれまで見てきた両親の戦いは大概が人間相手だった。
    カイルの宿敵とも言えたには迷惑をかけられまくったけれど、下らない策さえ労さなければ、そういえば戦力的に両親の苦戦した姿って見た事が無かったと思い出す。
    考える頭がある分厄介ではあるが、所詮人。魔物に比べれば弱いのだ。
    それをああも易々と……。
    「……ああ、余計な事を考えながら寝たからか?    悪夢を見たぜ」
     ――特に最後のトレントゾンビの群れの襲撃はあまりにインパクトが強すぎて……。
    「夢でも奴らに追っかけられるとか最悪だし」
     画面越しのゲームなら笑って見ていられても、現実に追いかけられたらパニックになる。
    「……今日は一日休みを貰えたし、何をするかな」
     取り敢えずあの悪夢を忘れられるくらいにはまったりしたかった。
     散々身体を動かしてきたんだからあんまり動き回りたくはないけど、この部屋でまったりは……昨夜の夢を思い出しそうでいただけなかった。
    「……温泉にでも浸かりに行くか」
     商会用に開かれている空間の道を使って国外の温泉施設へお忍びで遊びに行くことにした。
    「うあー、やっぱ気持ち良いや」
    今でこそこの世界の住人だが、やはり根っこは日本人なんだと思う。
    湯上がりに抹茶ミルク――これも疾風の牙の商品のひとつだ――を飲み、マッサージのコースを堪能する。
    「あー極楽……」
     今現在、まだ成人直後の若造なのに、我ながら爺臭い事だと思わなくもないが、精神年齢的にはそろそろ四十代なのだから仕方あるまい。
     てか、旅で疲れきってる分、本当に気持ち良い。
    「おお、体が軽くなった」
     気分良く食事処でラーメンを啜り、リラックスルームで本を読んでだらだら過ごす。
     最後にもう一っ風呂楽しんで、カイルは城へと戻った。
     城で夕食を食べて部屋に戻る。
     昨日と違って程好い程度の疲れに睡魔がそろりと這い寄る。
    「……今夜は悪夢を見ないと良いな」
    着替えてベッドに入る。
    侍従に用意させた安眠に良いお茶で喉を潤し、カイルは明かりを落とした。
   「……あんま意味は無いんだけどな」
    吸血鬼の目は夜目が利く。
    天蓋付のベッドの天幕を下ろし、視界を遮る。
    明日からは本格的に魔道具造りが始まる。
    カイルはそっと目を閉じた。
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