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魔王対策

素材採集

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    「それじゃ、一番簡単なフィールドから挑戦して行こうね!」
    私達が最初に目指したのは周囲に遮るものが何もないだだっ広い草原だった。
    「ここで必要なのは染料用の植物だから、採集……という名の草むしりが主だけど、当然魔物は居るわ。この通り見晴らしが良いから、ネズミみたいな小さいものでなければ、見つけやすいけど、逆に向こうもこっちを見つけ易い。作業しながらの警戒の仕方を覚えなさい」
    このエリアにネズミ型みたいな小型の魔物はほぼ居ない。狼や猪系の魔物がメインで出現する場所だから、このまだ明るい時間なら魔物が近づけばすぐに分かる。
    魔物自体は見習いや見習い上がりレベルの冒険者にはちと大物過ぎるが、私やレイフレッドからしてみれば雑魚魔物だ。
    カイルを現場に慣れさせるなら悪くない場所だった。
    リストを見ながら必要な草だけ採集していく。
    ……あ。来たな。
    運良くと言うべきか、それはカイルが向いていた丁度その方向から文字通り猪突猛進で突っ込んで来ている猪型の魔物だ。
    「来た!」
     ……あの程度の魔物なら、派手な魔法をぶっ放す必要なんかない。ただの魔法矢で十分である。
    私の放った矢は見事猪の額に命中し、魔物は息絶えた。
    「これは、夕飯が楽しみですね」
    魔物としては雑魚だけど、こいつ味は結構良かったりするんだよね。
    ……それからしばらくして二匹目はカイルの背後から来た。カイルは猪の足音でその接近に気づき振り向いた。
    「うわっ!」
     まだ少し距離はあるけど、他にメンバーが居なければ、カイルは逃げ切れない。
    「遅いよ!」
     だけど、先に気づいていた私が矢を放ち、そいつを瞬殺した。
    「カイル、魔物は魔力がある。――五感に頼り過ぎずに魔力を探ってみなさい」
    と、ここでアドバイスをする。
    ……こういうのは失敗した直後の方が身に染みて理解出来るからね。
    一日かけて採集し、他にも狼を仕留めてここでの仕事はこれで終了。だけど、旅は始まったばかりだ。
   「次行くよ!」
    まぁ、一旦一晩の休憩は入れるけど。
    草原を適当に離れた所でフロスを召喚。見張りを頼み、私達は空間の屋敷で休む。
   「この旅らしくない旅も今や懐かしいですね」
   「あの車だってキャンピングカーみたいで寝泊まりだけなら問題ないのに空間で屋敷付とか……。正統派冒険者に知れたら怒られそうだ……」
    「まぁ、毎日お風呂に入れるのは有り難いですからね。……一々突っ込むよりいち早く状況に適応する方が色々と楽なんだと経験から学びましたから」
    ……何か色々言われてるけど。ちょっと拗ねてもいいかな、これ?
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